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オニキス  作者: ルル兄
第1章
2/52

2.発症


薄暗くなった来た森の中を、足元を確かめるように歩く。


「まいったな…どこだよここ」


白黒のパーカーにジーンズ、運動靴にランニングキャップといった動きやすいラフな格好であった。

草の丈は低く木々の間が広くて歩きやすい森だった。


残念な事にコンビニで購入した物は袋ごと落としたらしい。

気付いた時には持っていなかった。


しかしもっと困ったのは記憶の方で酷く曖昧な部分があった。


歩いて5分のコンビニに行って、帰りだした所までは覚えていた。

5分そこらの道のりで迷うとも思えないが、角を曲がったりした記憶もなく自信が持てない状態だった。


「しかし、そもそも近くにこんな森があったか…?」


山を切り開いて出来た住宅地に自宅が有ったので森はある。

が、子供の頃に遊びに行った事もあるが、こんな森では無かったはずだ。


まだ歩きだして5分くらいしか経ってないが、森の中は一気に暗くなって来ている。

焦りと共にも急いでいたら前方に開けた場所が見えた。


「お、ようやくどこかに出たか?」


何かしら人工物があると期待したが何もなかった。

あるのは背丈の高い草の群生地と、20mほど先からまた木々が生えているだけだった。


最悪、野宿か?などと軽く考えながら草の群生地を半分過ぎた所で、

ふと目の前に紫色の靄が浮いてるのに気付いた。


「え、なんだこ…ぐぅっ!」


唐突に頭をハンマーで殴られたかのような、それも内側から殴られたかのような痛みに呻く。

いつの間にか紫色の靄が全身を包むように移動していた。


「ぐっ…ぁあ!!なんだよこれ痛ぇ…!」


一度ならず、二度三度と続けて殴られるような頭痛に襲われ、ついに頭を抱えて蹲る。

すると次は痛みの種類が変わった、まるで頭の中に棒を突っ込まれてかき混ぜられるように、


「うっ…ぅうう!おえぇええ」


耐えるなんて考える暇もなく、流れるように嘔吐する。

目が霞んできた時には逆に冷静になって(あ、これが失神する感覚ね…)などと考えていた。


「うぐっ…う、あぁ…」


そのまま気を失っていれば見たくないものを見ずに済んだかもしれない。

だが意識を失う寸前、横目で捉えてしまった。


「ぐう…嘘…だろ……」


視界がぼやけてよく見えていなかったが、動きですぐ熊だと分かった。


熊って涎を垂らしながら唸ったりするんだっけ…?頭が二つ付いてね…?

危険だと認識しつつも、意識は闇に沈んでいった。

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