ベタノロ外伝!~ハロウィンナイトになったら大騒ぎするおバカ勇者たち~
あらすじにも書きましたが、今作は拙作の連載作品
「ベタノロ!」
https://ncode.syosetu.com/n4466gj/
の番外編でございます。
本編のスピンオフ的な立ち位置ですが、本編を知らなくてもお楽しみいただけるかと思いますので、どうかお気軽にお読みください。
「メリークリスマーーース!!」
「気は確かか?」
真っ黒い帽子と服の魔女コスプレを着こなした仲間のメリカ=テレットが、俺坂桐 吉晴に耳がキンキンするほどの大声を投げつけてくる。
「えっ、今日はハロウィンだよ? 知らないのおにーさん? 遅れてるなぁ! ほら見てよあたしの仮装! 母さんに買ってもらったんだ!」
「知ってるよ。知ってるからお前の精神を心配したんだろうが」
「ふぇ?」
「そんな真っ黒な格好しといてメリークリスマスたぁ何事だ? 闇落ちサンタがテーマなのかそのコスプレ?」
「いやぁ、実はあたし、ハロウィンについてよく分かってないんだよね! あたしの世界にそんな文化ないし! とりあえず仮装しとけって母さんから教えてもらったんだけど……」
いるよなこういう形から入るタイプの奴。
「しゃあねえな。このヨシハルくんがハロウィンについて分かりやすく教えてやるよ」
「え? おにーさん引きこもりみたいな面構えしてる分際でイベントの説明方法なんか心得てるの?」
「ジャックオーランタンで撲殺するぞチビ」
相変わらずコイツといると話が進まねえ。
「はあ…………いいか、ハロウィンってのはな? 子どもが大人に日頃の感謝を込めて、お菓子や金目の物を献上する素晴らしい日だ。ほぼ勤労感謝の日の同義だな」
「ふぇ? そうなの? なーんだ、思ってたのと違うや。つまんないの」
「だから俺より一つ年下のお前は、お兄さんである俺に感謝の気持ちを捧げなければならないってことだナヴォスッッッ!!」
「なにとんでもないウソ教えてんのよバカ」
プップカプップカとホラを吹きまくる俺の頭をバシッとはたいたのは、仲間の一人であるセクリことセクリナータ=シルベラ。
「メリカちゃんの純粋な脳ミソに適当な情報を放り込まないでくれるかしら?」
「ってえな!! なんだよセクリ、なんでウソってわかんだよ?」
「私は小さい頃から色んな本を読んで勉強してきたのよ? ハロウィンくらい知ってるわ。あんたの言ってることが全部大間違いだってこともね」
さっすが国王の娘さん、勉強熱心ですこと。
「むぅ~! やっぱりウソだったんだ! おにーさんの汚物!!」
騙されていたことに気付いたメリカは、頬をプクッと膨らませて俺に掴みかかり、頬をつねりながら罵倒を浴びせてくる。アクションと語彙のレベル合わせろや。
「それでセクリナータ様、ハロウィンってなんなんですか?」
「ハロウィンっていうのはね、さっきそいつが言ったのとは逆で、子どもが大人にお菓子を貰える日なの。その時にトリック・オア・トリート……つまり『お菓子をくれなきゃイタズラするぞ』って決まり文句を使うわ」
「イタズラ? お菓子をくれなかったらイタズラしていいってこと?」
「そういうこと。それで集まったお菓子を食べながら皆でパーティーとかをするのが定番ね」
「へえ……楽しそう! おにーさんが教えたのとは大違いじゃん!!」
「おおかたヨシハルは、ホントのことを教えたらメリカちゃんからお菓子をねだられると思って、ウソで塗り固められた話をしたんでしょうけど」
「なんて姑息な……おにーさんの汚物集合体!!」
さっきより巨大化してんじゃねえか。
くそっ、さすがセクリだ。全部お見通しってわけか。
「バレちまったら仕方ねぇな…………さらばだ諸君!!」
俺は踵を返し、全速力で逃亡を始める。
「ああああああ!! 逃げるなバカおにーさああああん!!! お菓子よこせえええええ!!」
騙された怒りとお菓子欲しさに顔を真っ赤にして追い掛けてくる魔女っ娘。
「ぎひゃひゃひゃひゃ!! お前なんぞの脚力でこの俺様に追い付けると思うてか! 今宵お前が受け取るお菓子はゼロだ!! お前のハロウィンはノースイーツ・ノースナック・ノーハッピーだ!! せいぜい枕を涙でビシャらすがいいわこの貧乳魔女めが!!」
煽りに次ぐ煽りを後ろにいるメリカにぶん投げながら勢いよく角を曲がる。
そのとき。
「あぁ……バカみたいに眠ぃです。さっさと静かな森にでも行って就寝しますかね」
仲間の一人である弓使いのクムン=ハレープが、前から目をゴシゴシと擦りながら歩いてきた。
全速力で走ってくる俺には気付いていない。
「ぬぉわあああああ!! どけどけどけどけクムン!! ぶつかるぶつかるううううう!!!」
「は…………はいいいいい!? 何でそんな全力で走ってんですかヨシハル!! ちょっ、来んな来んな来んなあああああ!!!」
案の定、クムンは俺の急な接近に対処できず、俺も体にブレーキがかからず、両者はド派手に激突した。
曲がり角で女の子と衝突だなんて、我ながらベタなことをしてしまった。
「いてててて…………何してんだよクムン! ちゃんと避けろよ!!」
「ヨシハルが飛び出してくっから悪いんでしょうが!! ウチに罪はないだろ!!」
クムンと言い争っているうちに、メリカとセクリが追い付いた。
「あたしを騙した罪は重いよおにーさん……ハロウィンにちなんでとびっきりの化け物フェイスにしてあげるから覚悟してね……?」
ボコボコにされるやんけ。
「い、命だけは助けてプリーズ…………ん?」
ヒュウウウウウウウ…………。
必死に命乞いをしていると、空から何やら変な音が聞こえてくる。
嫌な予感がして上を見る。
「な、何じゃありゃあああああ!!?」
アゴが外れそうな程にあんぐりと口を開ける。
とんでもない数のお菓子が、俺に向かって落ちてくるではありませんか。
ここで一つ、説明をしておくよ!
俺、サカギリ ヨシハルはベタの呪い……ベタノロにかかっているんだ!
これは漫画やアニメでありがちなベタなことをすると、すぐさま何かしらの激しい苦痛が襲いかかるという、くっそ面倒くさいシステムなのだ!!
そして俺は先程クムンと曲がり角でド派手にぶつかるという、とんでもないベタイベントを引き起こしてしまった!
つまりあのこっちに向かってくるお菓子の流星群は、ベタなことをしたヨシハルくんへの呪いってことだね!
きゃはっ、きゃははははははははは
「いぎゃあああああああああああ!!!!」
どっさりと俺に落ちてくる無数のお菓子たち。
甘い匂いを放つクッキーやらチョコレートやらキャンディやらで体が押し潰されそうになる。
「わーいすごいすごい! お菓子がいっぱいだぁ!!」
「こんな仕掛けを用意してるなんて……見直したわヨシハル」
「ちげえわ!! いいから早く助けてくれよおおお!!」
お菓子の山から顔だけ飛び出した状態で、俺は三人に必死に助けを求める。
「そんじゃお菓子も揃ったところで…………ハロウィンパーティースタートおおおお!! ん~、おいひい~!!」
「ふふ……こんなにたくさんあるんだから、ゆっくり楽しみましょうね」
「もぐもぐ……まあ、たまにはこういうのも悪くないですね」
「ぎゃっぴいいいい!! ガン無視しないで!! お願いします助けてください!! ヨシハルくん死んじゃううううううう!!」
こうして俺たちの夜は賑やかに過ぎていった。
ハロウィンきらい。
イラストはばにら。様に描いていただきました!
ハッピーハロウィン《*≧∀≦》




