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天使と悪魔

 「仕様のないやつだ、小僧、ちょっとばかし体を借りるぞ。」

 意識を失った肉体に、己の意識を入れ込む。ぐ、満身創痍ではないか、小僧め、ちょっとは防御というものを覚えろ。

 「ま、全部我が悪いんだけどな。」

 軽口を叩き、体の動作を確認する。人間の体を使うのなど初めてのことだ。

 「貴様、なぜ立てる…?それに、その邪悪な気配は…」

 「悪いな、嬢ちゃん。選手交代だ。我も死にたくないんでな、ここからは本気で行かせてもらう。」

 「上等だ。」

 天使が剣を構え、一心に突っ込んでくる。さて、魔法は効かないから、あれを出すか。


 「大鎖錠解放!」


 発動した衝撃で、天使が怯む。

 「聖伝三魔の名において、ここに顕現せしは常世を砕く破滅の剣!出でよ、ヴァンデオン!」

 レドの背丈と同じくらいの刀身の黒い剣が手元からゆっくりと現れる。

 「こいつは我が昔愛用しとったもんでな。嬢ちゃんにはちともったいない代物だ。」

 「聖伝三魔だと…?ほざけ!複式展開:洞!併せて弐式展開:桜花!」

 天使も必死の形相となり、先ほどとは比べ物にならない速度で突撃をかけてくる。

 「その心意気は買うぞ。だが、運が悪かったな。」

 剣を構え、振りかぶる。

 「ウォル・ヴァンデオン!」

 その一刀は黒い渦となって、天使の剣を砕き、鎧までも粉々にした。もちろん直撃を受けた天使が無事なわけはなく、

 「あああぁああああ!」

 腹部に深手を負い、うずくまるように倒れこんでいた。

 「今なら見逃してやる。俺を倒したければ大天使でも呼んでくるんだな。」

 「おのれ…聖伝三魔イルガンド、覚えておけ。必ず我が術式で貴様を貫いてくれる。」

 「はは、楽しみだな。」

 天使は淡い光に包まれて消えた。天使お得意の帰還術式だ。さて、我のほうも思いのほか消耗が大きい。早いところ街で休まなければな…

 重い体を引きずり、ギルドのあるロンベルへと足を向ける。


 天使に存在を知られたのは痛いな…レドには本格的に戦い方ってもんを覚えてもらわにゃ、この先は厳しいやもしれんな。”あの地”に向かうのは癪だが、仕方ない、か。

 胸の内に生じた焦燥からか、思わずひとりごちてしまった。

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