2回目の2年生
拙い文章ですが、読んで頂ければ嬉しいです!
始業式。
桜舞う季節。
春休みの間、閑散としていただろう校舎は、今日は人で溢れかえっている。
クラス発表だからだろうか? やけに今日は騒がしい。
確かに、同じクラスに友達がいるのか気になるものだ。
今日から俺は晴れて2年生になった......と言いたいところだが、今年で2年生は2回目である。
そう、俺、猪瀬博之は見事に留年したのだった。
「おはよう、博之」
「おお、照彦気分はどうだ? 3年生になった」
「そうだな。特段変わったことはないが、受験生としての自覚が生まれた、というところかな」
こいつの名前は照彦。
今日から3年生の照彦は、俺の親友である。
成績優秀で、性格は温厚。他人を見下さず、自分には謙虚。
しかも、メガネ系イケメンだ。
女にモテないはずがない。
「照彦は普段から受験生のようなもんだよ。てゆーか、少しは俺を見習うんだな」
「流石に留年はちょっと嫌かな......。でも、留年が悪いっていうことじゃないぞ。 博之が決めたことだ。 僕は博之の意思を尊重するよ」
照彦は気を使ったのかそう答える。
いやー、俺が決めたことじゃないんだけどね。
本当は3年生になりたかったんだよ。
しかしながら、留年した俺を否定しない照彦の優しさには男の俺でも惚れてしまいそうになる。
「じゃあ僕はもう行くぞ。今年は留年するんじゃないぞ」
おう、ありがとう親友よ。俺はその言葉を肝に命じることにした。
******
今学期はじめてのホームルーム。
このクラス担任だろう人がゆっくりとドアを開けて教壇に向かって歩く。
「はーい。2年B組の皆さんおはようございます! はじめましても人も多いですよね。私の名前は青葉ゆみ といいます。とりあえず1年間よろしくねー」
「うわっ」
思わず驚きで声が出てしまった。
俺はこの人をよく知っている。
去年俺を容赦なく留年にしやがった先生だ。
見た目だけ見るとかわいい系。身長は高くもなく低くもない。ただし胸は大きい。
ちょっとカールがかった茶髪の髪を揺らしているゆるふわな先生。
実はこの先生、鬼のような先生だ。
土下座して「進級させてください! 」と嘆願しても、「ダメです」と満面の笑みでおっしゃるような先生だ。
あと、怒ると本当に怖い。
先生の話に耳を傾けずにそんなことを考えていると......、
「猪瀬君。ホームルーム後集合ね」
そう告げて今学期初のホームルームが終了したのだった。
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「もー、なんであなたがここにいるのよ」
「ここにいるもなんも、先生が俺を留年に...」
「留年になったのは全部あなたのせいですよ。私のせいじゃありません!」
ホームルーム後、周りの2年生は休み時間を楽しむ中、俺は教室前の廊下でゆみ先生とお話をしていた。
周りの人たちが俺たちの方を少し気にしている。
「まあ......はい」
「そもそもあなた、何で自分が留年したかわかっているのですか?」
先生、俺も自分が留年した理由がわからないほど馬鹿ではないですよ。
だから俺は自信を持ってこういう!
「そりゃー! テストが悪かったからでしょ!僕赤点以外とったことないですもん! あと出席日数が足りていませんね!」
ぺちっと、ゆみ先生に頭をチョップされる。
「自信を持っていうな! 」
「いやー、それほどでも〜」
「はあ......」とためいきをついてから、先生は少し表情を引き締めて言う。
「先生は甘くない先生です」
「は、はい? そうですねー。ゆみ先生って実は鬼のよ......」
といいかけたところで先生の顔が本気になっているのに気づき、俺は黙ることにした。
「先生はあなたが本当に心配です。だから先生からあなたに提案します」
「嫌です」
即答する。
「拒否権はありません」
「それって、提案じゃないのでは?」
「そうですね、間違えました命令です」
「命令ですか......。それって断ったらどうなるのですか? 」
ニヤリとわざとらしい笑みを浮かべて、
「うーん、毎日先生と一緒にお勉強? 」
先生も嫌いだ。
ゆみ先生が特段嫌いなわけではない。俺に勉強という凶器を向ける先生全般が嫌いなのだ。
さらに言えば、勉強はもっと嫌いだ。
勉強会という拷問だ!
「提案引き受けます! そんな死んだも同然のことしたくありません」
「うっ......さすがにそこまで言われると傷つく......。でも、引き受けてくれるならよしとします。大丈夫、そこまで酷なことではないですから」
「それで提案とは?」
「それはですね」
更新頑張っていきます!