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プロローグ


「シリル・マクドール。キミには女生徒として学園に入学して貰いたい」



しん…とした室内に、国王陛下のリンとした声が響く。



ここに居るのは、僕の能力を知る人物――― 双子の兄レイルと、宰相である父、そして陛下と能力講師のリュミエールだ。



「ええと、ちょっと待ってください。女生徒として入学、というのは…」

「むろん、キミの能力で。ということだ」

「なんでですか!」



間髪入れずに質問を投げると、横から父が口を開いた。



「最近ちょっと学園を通して隣国との交流を図っている者がいるようでね。お前たちには、学園生活の中で講師や繋がりのありそうな者をさぐって欲しいというわけだ。―――― いわゆる潜入調査ってやつだ」



潜入調査…そそられる響きだが、気にするのはソコではない。



「いえ、そうじゃなくてですね。何故〈女生徒〉として、なんですか。内部を調べるならそのままの僕で問題ないでしょう」



それに、男として入学しないと僕の目的から遠ざかってしまう。



「男はレイルがいるから、女生徒側から探って欲しいんだ」



ニコリと笑った王が、さらりと言う。

だが、はいそうですか、と受け入れるわけにはいかない。

学園生活には、僕の人生がかかっているのだから。



「嫌です。無理です!第一、僕の男としての学園生活はどうなるんですか!経験だけがあっても、卒業してから〈シリル・マクドールなんて存在しなかった〉と言われては、今後の人生にだって差し障ります」


「それなら、両方で入学しておけばいい」



笑顔を崩さないままとんでもない提案をしてくる。

さすが王様……できない事は人の心を操ることぐらいですか…?



「そうですね、それでいいかと。――― シリルも、それなら問題ないだろう?」

「ちょ、ちょっと待ってください…ええと」


「俺はそれでいいと思いますけど?」



どうにか女生徒になるのを回避しようと考えていたら、レイルが横から口を挟んできた。



「男同士での腹の探り合いは かなり親しくないと成立しないことが往々にしてあります。私は、女性との交流を楽しみながら話をきくのは問題なくこなせますが、シリルはそうもいかないでしょう。でしたら、王の仰るとおり、シリルが女生徒として近づいたほうが、教員や男子生徒も油断するでしょう」


「おい、レイ、なに言ってるんだ」



父と王が同じようにうんうんと頷いている。

やめてくれ、お前の援護射撃はそっちから撃つものじゃないだろう?



「―― 何って、事実さ。俺のほうが女性扱いは上手いし、オマエは女としての所作は完璧だろ?」

「いや、でも―――」



言いかけたところで、はっと息を呑んだ。

気が付いたら直ぐ傍までリュミエールが近寄っていた。



「何を我がままを言っているんですか、シーラ。王の命を断れないことぐらい、あなただってお分かりでしょう」



豪華なソファの後ろから耳の傍に口をよせ、漆黒の瞳が真横に迫る。

ひっと声を上げるが、三日月にゆがめられた瞳は、そんな僕の態度を楽しそうに見つめる。



「諦めろシリル」

「待ってくれ! 両方なんて――そんなの無理に決まってるだろ。レイは、僕が何をしたいか知ってるくせに…!」


「ああ、いけませんね。もう貴方は断ることなんてできない所に居るんですよ」



そう言うと、リュミエールは僕の身体をふわりと抱き上げる。

執事服を着た〈 男 〉にお姫様だっこされる〈 男 〉なんて、誰もそんなもの誰も見たく無い!

と思うのに、この部屋にいる人間は皆、目を三日月形にゆがめて、早くせよと楽しそうな顔をする。



「さぁ…、シーラになってしまいなさい」



唇が触れるほど耳元に口を近づけて囁かれると、カッと顔に熱が集まる。

そして、ぶわっと体中の毛穴と魔力が広がったと感じた瞬間




――――― 紅茶色の髪がふわりと広がり、僕の身体は女になった…。



9話【閑話】まで投稿したところで、やっと展開がまとまりプロローグを投稿しました。

順序が逆になってしまい恐縮ですが、話を進めるうちに勝手にプロットからどんどんとずれて、こんな流れになってしまいました。


【閑話】あたりでやっと表現の仕方というものが落ち着いてきたと感じている分、そこまでのお話はテンポも悪く読みにくい部分が多々あると思います。

後から修正を入れたいとは思っていますが、力不足な部分も暖かい目で読んでいただければ幸いです。


よろしくお願いします。

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