34日目 アバダケタブラとアブラオオメデってなんか似てるよね、どっちも最悪死ぬし。
「ふーむ・・・えっと、なになに?」
報酬で初級魔法を獲得しました? 初級魔法Lv2になりました! おお! やったぜ! これで使える魔法が増えるのか?
コイツは嬉しいや! オイラ・・・魔法使いとして着実に成長を遂げている・・・。
このまま行けば・・・名前を呼んではいけないあの人も目じゃないぜ! 人は俺をマスターウィザードと呼ぶ・・・。
あっと、そうだった・・・新しいミッションはっと・・・新たなパーティーメンバーの勧誘?
ほほう・・・ここに来て新メンバー投入か! 我ら、チキンヘッズに新たな風が吹く予感! やったろうじゃないですか!
「なぁ、君! 俺たちと一緒に新しい扉を開かないか!」
「あ、いえ。 結構です。」
「なぁなぁ! そこの君! 僕たちのギルドに入らないかい! 今入れば幸福になれるアイテムも付いてくるぞ!」
「あっ・・・そういうのは間に合ってるので・・・。」
ん?
「俺たちと一緒に・・・トサカになってみないかい?」
「うわっなんだこいつ・・・。」
「今加入してくれたらなんと! トイレットペーパーが1ヶ月分もついてきます!」
「は? 興味ないんですけど。」
「あ、あのぅ・・・一緒に冒険してみませんか?」
「言っとくが俺はソロだからな。」
あれ?
「あのぅ・・・すみませぇん・・・パーティーに入ってもらえ・・・?」
「ごっめーん、もうすでに先約がいるんだよねー、私ちゃん。」
「僕らのお仲間になってください!!!! おねげぇしますぅ!!!」
「お、おおう。 そんな顔を上げろって・・・そんな土下座されたって無理なもんは無理でなぁ・・・。」
「ぜんっぜん無理じゃん!!!! 集まる気配ないよ!!!」
くそぅ・・・なんてことだ・・・。 すぐ集まると思ってたのに! パーティーに勧誘するだけのことがこんなに難しいなんて!
「みんな既にパーティー組んじゃってますからねー。 ましてやウッドランクのソロ冒険者なんてなかなか・・・。」
「っていうか途中変なのいませんでした?ねぇ、マスター。」
そうか・・・ソロプレイヤーなんて都合のいい存在はなかなかいないのか・・・。 そうだよな、こんないかにも危なそうな職業で好んで一人でい続けるやつなんて・・・。
「いや、居ましたよね? ソロの変な人いましたよね?ねぇマスターねぇったら!」
「あーあの黒いマントを翻していた彼っスか? 彼は農家のキリトさんっス! 彼の作る野菜は上手くて新鮮って評判っスよ!」
「あれぇ!? あの腰に巻き付けてた二本の剣は!? というかなんで冒険者ギルドにいるんですか!」
きっと彼にも事情があるんだよ。あまり深く人の事情に立ち入るんじゃない!
「趣味っス。」
あ・・・なかった・・・。 立ち入った事情なんてなかったわ・・・めっちゃ暇人じゃん! なにやってんのキリトさん!
うぅ・・・こんなこと話しても始まらないよぉ・・・。 どうしよう、そもそもみんなパーティーメンバーってどうやって集めてんの?
「おう、お前ら、今日はお休みか?」
「あっ、キリューさん。」
兄弟じゃないか! そうか、兄弟なら何か教えてくれるんじゃないでしょうか! 先輩ですもの!
「パーティーメンバーってどうやって集めればいいんですか?」
「あー、なるほどな。 それで項垂れていたわけか。 確かに難しい問題ではあるな。 二人で上がっていくのはなかなかハードルが高いが・・・ウッドのソロは今ウチにはいないからなぁ・・・。」
・・・? あれ? ちょっと何言ってるか聞こえなかった・・・。
「ウッドのソロは・・・・。」
「ああ、いないぞ。」
ガーン ガーン ガーン ガーーーーン。
「お、おう。 そこまで露骨に落ち込まなくても・・・。」
うぅ・・・だって展望が開けないよぉ・・・。 地面に膝もつきたくなりますよぉ・・・これこそはるか太古のテンプレ・・・orz..........
し、しかもだよ! 二人で上がっていくのはハードルが高いって! そうなのぉ!? 二人じゃ難しいのぉ!?
余計にお先真っ暗だよぉ・・・。
だって新しいメンバーの見込み無いのにそんなぁ!
「おっ、そういえば、昨日なんか見ない顔がいたなぁ。 今日も来てるんじゃないか・・・ほれ、アイツだアイツ。」
なにっ!? 切り開かれた一筋の希望! 頼むっ! 俺たちの仲間に・・・!
「あっ! さっきの魔法使いの子!」
「ふぇっっ!?」
おお、急に声かけたからびっくりしてキョロキョロしてるよ。 ごめんやごめん。
「さっきはありがとう! ところで君も冒険者だったのか!」
「え、っと・・・あの・・・。」
「えーとですね・・・この方はちょうど冒険者登録を終え、ギルドカードが発行されたんですよ!」
お、受付のお姉さん! いつも俺たちが話すオバちゃんじゃない! なんだそのチョコンと乗った帽子は! 可愛いだろうが! 惚れちゃうぞ!
「おっ・・・もしかしてじゃあ・・・まだパーティーくんでない?」
「あ、あのっ・・・。 はい・・・。」
こ、これはっっ!!! 運命のお導きか・・・。俺には神の声が聞こえる・・・今こそ神の使いとして目覚める時なのか・・・。
「俺とっ、俺たちとっパーティー組まないか?」
「えっ! えっと・・・・あの・・・。」
30日目!飽き性の自分がここまでやり通せたのって感動です!
さぁ今週いっぱい頑張っていきましょう!




