32日目 異世界に来たらチート能力使ってドヤ顔したいよね。
お、おおう・・・この広場にはいい思い出がないぜ・・・
そう、ここはあの脱衣スライムと死闘を繰り広げた場所!
いやぁ・・・つい最近のことなのにもうすでに懐かしい感じがしますね・・・思い出したくもないけども!
でも実際、スライムさえいなければいい場所だな、この広場。 まだちょっと早いから空の青色が薄くて空気が澄んでて気持ちいい!
「じゃあアニキ! 特訓っス!」
ふっふっふ・・・俺も安く見られたものよ・・・。 魔法の修練だと? 初級魔法の使用だと?
容易いことよ! さっさと終わらせて次のミッションに進んでくれるわ! ガハハハハハ!
「それッ! バーンッ!」
おおっ! なんかボウってなった! ガスコンロに火がつく時みたいだな。 というか・・・ちょっと火力上がってない!?
「ふっふっふ・・・俺はまた強くなってしまったわけか!」
こいつぁスゲェや! マッチ棒レベルから見よ! このアルコールランプレベルの炎を!
やっとこのテンプレを使えるよね!
「・・・今のはバーンゾーマではない・・・バーンだ・・・。」
ふふふ、決まったな・・・。
「さすがアニキっス! さぁどんどんやっちゃってくださいっス!」
へへへっ、なんてったって俺は兄貴だからな! 兄貴ってのはかっこいいってことだからな!
見せてやろう・・・。 超エリートアニキの圧倒的パワーを・・・!
「フリーズッ!!!」
「す、すごいです! マスター! 今のマスターならばドリンクバーの氷をガーッって出すやつに就職できます!」
またオレ何かやっちゃいました?^^;
いやぁ! 強すぎて困っちゃうなぁ! 見てこれ! 氷の礫がドシドシ湧いて出てくるわ! 勢い強すぎてこれじゃあジュースが溢れること間違いなしだね!!!
やはり才能の塊であったか・・・確かに魔力も結構上がってたしね!
俺って魔法の天才かもかも!
「ウェットォオオ!」
「凄すぎですよ! マスター! 今ならマスターの指は小便小僧のおちんちんに就職できますよ!」
そうだろう! そうだろう! うん? あれ? なんかこれって? 本当に褒められてる? せめてマーライオンとかにしてくれない?
いや確かにちょろちょろって感じだけどさ・・・ほら! 湧き水的な! 多分綺麗だよ!
いやしかし・・・なかなかできるものだな・・・ちゃんと魔法とか使ってなかたしね!
確かに冒険者を続けるのなら魔法をしっかり使えるようになるのは大事なのかもしれない・・・。
「えーっとほかの初級魔法は・・・。」
うふふ、スマホって便利。 どんな疑問にも指先一つでお答えします! わからないことがあるって? コスレカス! コスコスするんだよお!
ふむふむ・・・なるほど。
初級魔法Lv1って少ないのね。 四つしかないじゃない。 だがしかしこれでミッションクリアか・・・。
ちょろい・・・ちょろすぎるぞミッション! まだ10分も立っていないではないか!
俺に失敗はありえないわけだからな! 行くぜぇっ!
「ブロウッッ!」
ヒュウ~~~~~・・・・。
「ア、アニキ・・・ドンマイッス!」
いや・・・違うよ! 何も起こらなくて寂しげな風が吹いたって演出とかじゃないからね!
こういう魔法だから! ちょっと風の威力が弱いだけだから! 大丈夫だ・・・これでも十分使い道はある・・・。
ほら・・・あれだよ。 誰かがギャグを滑った時に使うとか・・・。
「ブロウっ・・・。」
ヒュウ~~~~・・・・。 な、なにっ!? この寂しげな感じ! かっ、悲しいっ! 何とも言えない空気を演出するんじゃない!
πのいつもならからかってくるところだろうが! マジなやつだからからかえないみたいな雰囲気やめてぇっ! 心が痛いっ!
「ミッション・・・達成してない・・・?」
あれ? 本当に失敗だった・・・? でも発動するには発動したよね・・・?
ミッションは・・・スキル:初級魔法Lv1を使用だよね・・・?
使用はしてるはずだよね・・・だってそもそもスキルがあるってことは使えるってことだし・・・。
「なんでっスかねー?」
「不思議ですね、マスター。 とりあえずもう一週行ってみます?」
ううむ・・・考えてもわからん!
もう一週行ってみよーかどー!
「バーンッッ! フリーズ! ウェット! グロウっっっ!」
・・・・・何も起きない。
「バーンッッ! フリーズゥゥゥゥ! ウェッッッット! グロウッッッ!」
・・・・・・・・・・何も起きへんやん!!!
「バーーーーンッッ!!! フリィーーーズゥゥゥゥ!!! ウッエッッッット!!! グロウゥッッッッ!!!」
ぜぇっ・・・ぜぇっ・・・はぁっ・・・はぁっ・・・。
な、なぜだ!? なぜミッション達成にならないのだ! 出来てはいるのに!
なんだ・・・バグなのか・・・?
「システムは正常みたいですけど・・・なんでですかね、マスター。」
・・・・んむむむむっ、上手くいかないっ! 初級魔法なのに・・・なんでっ!
「あ、あのぉ・・・お手伝いしましょうか?」
「え、え、誰?」
な、なんかおどおどした子が来た! なっ、なんていかにもな子なんだ!
深くかぶって顔を隠す帽子・・・このつばの広さ・・・。そしてオーブ・・・体を隠すように覆われた長いオーブ・・・。
そしてなによりっ!!! 杖っ!!! ギュッと両手で握り締められたその1メートルはある杖! というかロッドか?
そう・・・このテンプレ的な見た目はまさかっ・・・。
「魔法使いじゃまいかっっっ!!!」
「えっ、えっ! あの・・・ひゃい!!!」
あ、噛んじゃった。 めっちゃ顔を赤くしてる・・・かあいい。 帽子を深くかぶり直して・・・テレ屋な子なんだな!
しかしそれなのに声をかけてくれるだなんて・・・なんて親切な子なんだ!
あたしゃ感激したよ!
「えっっと、お願いします! お手伝い!」
あっ、なんか嬉しそう。 パァってなった。 今日の天気は晴れって感じですね!
「じゃ、じゃあちょっと見ててくださいね。 フ、フリーズ!」
カ、カキーン・・・?
えっ? えっ? ま、またキミ何かやっちゃいました?^^;
28日目!!あと3日で一ヶ月分ですね・・・なかなか感慨深い!
残りあと少し! 頑張っていきましょう!




