22日目 ゴブリンさんとの戦いです。
「ぐぎゃぎゃっ、ぎゃっ!」
テンプレそのもの・・・緑の皮膚にビール腹に細い腕と脚。 なんというか悪寒が走るといった見た目!
冒険者がみんな通る道でしょう・・・スライムの討伐、そしてゴブリンの討伐! まさにこの生業のテンプレ!
元ゲーマーとしてはこの道は避けては通れない! ちゃんと飯も食べたからね! ステータスアップ中です! 攻撃力プラス100は間違いないでしょう!
「よっしゃ、やったる!」
「気をつけてっス、アニキ!」
フハハハ! 我はLv2になった勇者やぞ! ゴブリンごときに負けるはずがない!
「おらっ!」
「ぎゃぎゃっ!ぎゅっぎゅっぎゅっぎゅ。」
何!? 俺の閃光の一撃を避けただと!? 馬鹿なっ!
ならばもう一度!!!
「くらえっっ!」
「ぎゅっぎゅっぎゅっぎゅ!」
くそう! さっきは縦薙で横によけられた! だから横薙ぎにした俺の天才的な戦略がバレている!
・・・ハッ! まさかスパイか! 俺の情報が筒抜けになっているのか!? ブルータス!お前もか!
「おらっ!おら!おらぁぁっ!」
「落ち着いてくださいっス、アニキ! むやみに降っちゃダメッス!」
くうぅぅ。 なんど剣を振ってもピョンピョンと跳ねて避られるだけ! 剣が短いから直ぐに躱されちゃう!
「ぎゃぎゃぎゃっぎゃーぎゃー。」
こ、こいつ!笑っていやがる!
俺にはわかるぞ! この嘲笑の顔! なんと生意気な!
「おりゃあああ!おらおらおらぁっっ!」
ぐうぅっ! な、なかなか・・・やるじゃあねぇかぁ・・・。 はぁ・・・はぁ・・・。
くそうぅっ。 空振りってめっちゃ体力持っていかれるなこれ・・・。
「ぜぇ・・・ぜぇっ・・・・。 今度こそっっぅ!」
くらえ! エターナルフォースブリザード! 相手は死ぬ!
あっ、やばいかも、これ! 勢い付けすぎた! コケる・・・!
「ぐへっっ!」
やだ、変な声出ちゃった・・・/// はずかちぃ・・・///
「ぐぎぎぃっ! ぐぎゃぎゃぎゃぎゃー!!!」
ぎゃあああああ! ルパンダイブうううううう! ふじこちゅわぁぁ~~~~ん!
これじゃ女騎士になっちゃうよぉ! くっ、殺せ!
「ぐふっっ!」
勢いよく乗ってきやがってっっ! くふぅうぅ・・・酸素が全部持ってかれた!
というかこの馬乗りの状況! なんかまずいんじゃないですか!
「くそぅ! この距離なら! んぅくらえぇぇっ!」
「やっちゃってください、マスt・・・あっ!」
クルクルクルとハイ。 このテンプレも知ってますとも。 いつもより余計に回しております。 あれっ?これやばい?
やばいのでは!!! はじかれた! というか振り切る前に剣が飛ばされた! まだ加速しきってなかった!
「うぶぶぷぅ・・・くっせぇ! なんだこの匂い!」
「風呂入ってなさそうですからね・・・ってそんなことより早く振りほどいてくださいッ!マスター!」
「グギャギャっ!」
そうです。 突如襲った匂いはゴブリンがなびいて香りが散らばったのです。 なぜなびいたかって? ゴフリンさんが腰当の中から取り出したからですよ。
一体何を取り出したって言うんだ! やめぇ!やめろぉぉぉお! そんなきったないナイフを取り出すなぁ! お前の息子に俺は荷が重すぎるぞォォ!
「ぎゃぎゃあああああっ!」
えっ、ちょっとまって。 何その黒光りする尖った物体。 モザイクですか? そうですか・・・最近は規制が激しいですからね。 現実までモザイクもかかりますよね。
「マスター!避けてっ!」
ちょちょちょちょっ! どこに避ける場所があるの! 馬乗りになられてるんですけどぅ!
「アニキイイイイイッッ! ドケエエエッっス!!! アニキから離れろおおおっっ!」
「ギュゥウギャギャッ!!ギャギャギャっ!!!」
「ぐふぅっ!」
衝撃が走った。 ゴブリンがぶっ飛んだんでしょうね。 ありがとう、フーリルってことですよ。
それでね、ツーって音が脳に響きましたとさ。 事実に気づくまでって時間がかかるらしい。
「・・・・血っ?」
う、うっそだぁ・・・! おいおい! 誰だよこんなところにトマト置いといたやつぅー! 首で潰しちゃったじゃーん!
「マ、マスタアッッッ!慌てちゃダメですよっっ!頚動脈は外れてます!」
ハッハッハ、全く何を言ってるんだ。 これはただのトマトだって。
ほらだって。
首をなぞれば・・・。
あれ?
なんか凹んでね?
「っって・・・?」
痛い?
切れてるっ!!! なんでっ! まだ切られてっ!
「ギャギャギャギャギャっっっギャアァァァァァァァァっ!」
くぅ! うるさいうるさいうるさい! 急に叫ぶなよ!
っていうか傷だー!? えぐられているー!?
このテンプレはあれか? やばいよやばいよー!?
うげぇっ! げげげっ!
「ギャギャギャっっ!」
ま、また突っ込んできた!!!!! やばい・・・逃げなきゃっ! 殺されるぅ!
このテンプレも知っているぞ!!! に、逃げるんだよォォォーーーーーッ!
あっ、やべっ。 人間って欠陥だらけだよね。 なんで後ろに目がついてないんですか。 ほら、だって。 後ずさりするときこけちゃうじゃん。 尻餅ついちゃうじゃん。
「ギャギャっ!ギュギュギュッっっっーーー!」
やばいやばい本格的にやばいよ! どうしよどうしよ! そうだ、こんな時のテンプレは!!! ケツだけ歩き! ケツだけ歩きで後ろに下がっていけば!
ほらほら!ブリブリーブリブリーブリブリー!
飛びかかってきたゴブリンも飛距離が足りず地面にダイブってわけだよぉ! 完璧な作戦だっ!!!
「マスター!剣を振って!振ってください!!!」
剣ってさっき飛んだじゃん! ないよぉ! 剣! ないよぉ!
な、なに!? 石ころ? 引っかかって・・・あるよぉ! 剣! あるよぉ!
気づかぬ内に吹っ飛んだとこまで後ずさってたわけだ! 間に合ってっ!!!
「うわぁっ!うゎあっ!ぉゎぁっ!ぐふぅっ!」
あっ、やばい!これ! 空気完全に持ってかれたっ!
力はいらない! やばいっ!
「アニキッッ! 落ち着いて!落ち着いてくださいっス!!!! 乱暴に振り回されたら近づけないっス!」
だってっ!だってっ! これほら見て! やばいよ! R-18になっちゃうよ! こんな黒光りしたぶっとくて鋭いの突き立てられちゃったらラメェッ!ってなっちゃうよ!
逝っちゃうううぅ!ってなっちゃうよ! あれ?洒落になってない?
「やめろやめろぉっ!!!」
「マスター!落ち着いて!!!首を!首を狙って!突いて!!!」
「っっ!アニキッッ!!! グッっっ!」
あっ、噴水だっ。 とうとう俺もマーライオンに転生か? 今度こそこれ喉いったね。
怖くて目をつぶってたからわかんないけどこれは俺死んだねこりゃ。
薄目で見たらもう真っ赤だもん。
いやー転生リセマラですから今の時代。 今回はノーマルだったってことで。 お次に期待ですかね。
「マスターっっ! やってください!!!! 喉をっ!!!」
えらく綺麗に声が聞こえるのう。 走馬灯が流れていくよ・・・えっちなサキュバス・・・セクシーマーメイド・・・知的なエルフのお姉様・・・。
ん? どれもまだだっけ? じゃあこれ走馬灯じゃない? あれ? 死んでない?
「っっ!フーリル!!!」
「ぐうっぅ! アニキっ! 決めてくださいっス!」
なんでフーリルの腕はそんなとこで切れてるんだ? いま、しっかりと後ろからゴブリンを抑えてるじゃないか。 そこにゴブリンの腕は届かないだろう?
なんで耐えられるんだ? ゴブリンはまだお前の腹を刺し続けてるじゃないか。 痛くないのか?
「マスターっっっ!!!」
「あああああああああっっ!」
グジュリですって。 こんなリアルなテンプレはさすがに知らないですね。
「グギュウウゥゥゥウ。」
なんで手を離すんだフーリル? まだ終わってないよ! また襲ってくる・・・。
ああ、そっか。 喉突かれたらもう無理なのか。
「ぐきゅぅぅぅぅぅぅぅ・・・・・。」
ああ、死んじゃったのか。 ごめんね。 ごめんね、ゴブリンくん。
「ううぅぅうわああああああぁぁぁぁぁぁぁあぁ。」
「大丈夫っス! 大丈夫っスから! 俺が付いてるっス! 大丈夫っスから!」
ああ、ああ、そうだった。 回復しないと。 回復しなきゃいけないんだった。
うぅ・・・手が重い・・・何処に入れたっけ。 あった・・・。
「ううぅぅうっぅぅうああぁぁぁぅぅぅぅうううぅ。」
「大丈夫っス。 大丈夫っスよぉ。 もお何も怖くないっス。 ほら、わらび餅ちゃんがオレッチの傷も直してくれたっス。 だからもお、大丈夫っスから。」
暖かい・・・暖かいよ。 なんでお前はまだ俺を抱きしめてくれるんだ。 なんで撫でてくれるんだ。
「ぅぁぁぁぁゎぁぁぁ。」
ぅぅぁっぅぅぁぁぁっぅぁぁっ。 大丈夫だ。 泣いてない。 泣いてないんだ。
なんでだよぉ。 なんでこんなに途切れるんだよぉ。 なんで、なんで普通に息を吸って・・・。 なんで涙が止まんないんだよぉ。
「おっっれっ、もおっぼうっっけんしゃっだめかもっしれないっっ。」
毎日投稿18日目です! 間違って一回投稿しちゃいましたがみなかったことにしてください・・・。
あとちょっと重めの話になってしまって申し訳ないっス!




