21日目 いいおっさんわるいおっさん
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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・来たっ!
オラオラオラオラ!どりゃあああああっ!
「あっ、すみません。」
「まぁまぁ気にすんな、アンちゃん。 そういう日もあるさ!」
うぅ・・・。 流るる川に鬼はいないなぁ・・・あっけぇや・・・。
ああいう素晴らしい人のおかげでまた頑張ろうって思えるんだ! さぁもう一回!
(人?あれは結局、人でいいんですかね?これ聞いちゃダメなやつですかね?)
「よっと!」
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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・どりゃああっっつ!
「おお、おおおおおおお!獲ったどおおおおおおおおおおおおおおお!」
「おお!やりましたね! マスター! しかもなかなか大きいですよ!」
「どうしたんスか、アニキ・・・! 卵持ちじゃないっすかコイツ! うまいっすよ~コイツの卵! 夜ご飯は決まりっスね!」
うぅ、ジュルリ。 ヨダレも垂れるわい・・・。 フーリルの太鼓判・・・もはやみシェラん以上・・・いやあのおっさん以上に信頼に足るね! 今日の夜ご飯が楽しみだ・・・。
「ちょうどヘイメも焼けたっスよ! さぁ、アツアツのウチにどうぞっス!」
ふおおおおおおおおおおおおおお、見てくださいこの焦げ目! 光る皮! どんな宝石もこいつにはかなわんでしょう!
「それじゃあいただきます!」
「そういえばずっと気になってたんスけどそのいただきますってなんなんっスか?」
むむむ、そうか。 こっちの世界にはいただきますって言うのがないのか。 そりゃそうか。 同じ地球でさえ海外に行けばアーメンだったりハレルヤだったりピナツバターだったりするからな。
えーと確か・・・。
「あんま正確にはわからないけど、作ってくれた人やその食材の命に敬意を払っていただきますってお礼?を言ってる見たいな感じだ!」
「なるほど・・・。 食材の命にっスか・・・。 いただきます!」
なんと気持ちいい”いただきます”なんだ!さぁ、俺も食材に敬意を払い思い切るかぶりつこう!
もちろん腹からだよね!
「くぅ~~~~うめーーー! ホクホクの身にちょっと焦げた塩がグット! 油の多い身を引き締めて最高に美味しくしてくれている!」
「いやぁ~この時期のヘイメは何匹もいけちゃいそうっスね! 新鮮な魚は冒険者だけの特権っス!」
俺の胃が10個ないのが口惜しい! クソぅ! 最高だぜ釣りスキル! パッとしないだなんて言ってごめんね!
「うぅぅ・・・毎回私だけ食べれないの辛いです・・・。」
あっ!そだ・・・。 パシャリと。 写真撮っときましょうね! こんな美味しそうなの記録に残しとかないと・・・。 あとπちゃんも気分を味わえるでしょ?
「・・・・!マスター! 好きです! 一生ついていきます! というか美味すぎです!」
「πのアネキもありがとうっす!」
「こっちがありがとうだよ・・・だっていま世界で一番うまいもん食ってるもん。」
「それは違うのではないでしょうか?人によって美味しいものは変わりますし世界で一番とは言えないと思います。」
うわっ! あいつは! クソリプマーメイド! クソリプマーメイドじゃないか! くそう!
おっさんマーメイドみたいな見た目をして、その実、毒を持った真っ赤な偽物・・・あいつのせいでおっさん達の評判が下がっているんだぞ!
(毒を持ってるっていうか吐いていきましたけどね。 というかどこで仕入れたんですかその情報。)
さっきのおっさん達がぼやいてたから・・・。 本当に毒を吐くだけ吐いて消えて行きやがった・・・。
「というかπ、写真撮っただけで味を感じられるの?」
「勿論です! 取り込んでるわけですからね! 私の中に入っているということは実質食べたのと同じです!」
写真を撮ったら・・・取り込む・・・閃いた!
(通報はしませんよ。 引きちぎられたいんですか?)
ぅゎπっょぃ
「ふぅ!ごちそうさまでした!」
「ごちそうさまっス!」
いやぁ・・・美味かった! 肉もいいけどやはり魚も最高だったか・・・。 最高だぜ異世界生活!
それじゃあ残りのヘイメ釣りじゃ!
「よっと。」
よっしゃ、ちょっと時間はたったけどこれで4匹目ゲット! コツをつかめば意外と早いぜ! フーリルは・・・13匹釣っている・・・。 さすが冒険者として先輩なだけあるぜ。
「ピロンッ!」
あ、やっぱり通知音はπが口で言うんだ。 なになに?
「初級釣りがLv2へとレベルアップしました? おお! 頑張ったかいがあった!」
これで次回からもっと釣りやすくなるわけだ! 万々歳だぜ!
「アニキー! これでだいたい納品分と夕飯分は揃ったんでそろそろ探すっスよー!」
「ん? 探すって何をだ?」
「何言ってるんスか! ゴブリンっスよ、ゴブリン!」
そうだった、俺はゴブリン退治に来ていたのだった! 初級剣術を駆使してゴブリンを倒したる!
さぁゴブリンくんどこですか!
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んーなかなか見つからない・・・。
「おーいフーリル!このへんでいいんだよなー!」
「依頼書を読む限り間違いなさそうっスよー!」
お互い少し離れて探しているけどなかなか見当たらない・・・。
ゴブリン! それは異世界モンスターテンプレ第2位!
女騎士にウフフなことをしてしまうという同士よ・・・。
さぁ出て来い変態という名の紳士よ! 性癖をぶつけ合い! 勝負するの時間だ!
(紳士ではないような気もしますけどね、マスター。)
確かに・・・紳士に怒られるかもしれない。 あいつらはじゃあ変態無法者だ! なんてどうしようもない・・・! 我が剣で成敗してくれる!
・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・あー見つかんない。
そろそろ日が落ちそうだよ。 まだかろうじて赤くなり始めてはいないけど。
とりあえず暇つぶしに剣とか振ってみるのである!
おおおお、短剣か。 やっぱり最初は取り回しがいい剣で練習しないとね! 大きな剣で動けなくなったら大変ですもの!
しかし、剣か・・・。 包丁より少し長いぐらいでもなんというか・・・重みを感じる。 むやみに振り回しちゃダメだよ!っていう圧を感じるな・・・。
「ほっ!ふんっ!はっ!」
「アニキー、仕方ないんで今日は諦めて帰るっすよー!」
う、もうそんな時間か・・・。 剣の練習してたらもう空が赤と青の半分ぐらいだ・・・。 暗くなったら危ないからな・・・。
仕方ない・・・今日は引き上g
「ぐぎゃっぎゃっ!」
ん?
「マ、マスター・・・。」
ゴクリ・・・自分の生唾を飲み込む音がここまで鮮明に聞こえるとはな・・・。
テンプレだ・・・ゴブリンが現れた!ってやつだよ・・・。




