20日目 川にもマーメイドっているんですか?
ハイハイハイ!やってまいりましたのはおっきな川! これまた綺麗でしっかり底が見えます!
さぁさぁ、淡水魚釣りの時間ですよ! 実を言うと釣りって初めて・・・ワクワクするね!!!
「はい、これ使ってくださいっス、ちょっとボロくて申し訳ないっすけど、釣竿と剣っス!」
「おお!ありがとう!頑張ってお金貯めて返すな!」
拙者、借りた恩義はしっかり返す侍と申す者。 これまでに受けた恩義、冒険者として出世払いさせていただく次第でそうろう!
「気にしないでいっスよ! お父ちゃんの釣竿も兄ちゃんの剣もアニキに使われた方が本意っスよ! 自分、まだ剣術スキル持ってないんで!」
ヨヨヨヨヨヨ; なんていいこだよぉ・・・; 守りたいこの笑顔。 俺!フーリルのためにも冒険者、頑張るぜ!
「それじゃあ、まず餌っス! 餌はと、えーと、おっいたっスよ!」
ふむ、どれどれ。 うえっ!気持ち悪! なんだこのミミズ界のマトゥコデラックスは! ミミズデラックスと呼ぼう・・・。
「こういう大きめの石に結構いるんでこいつを引きちぎって針につければイチコロっス!」
うげぇ・・・。 ヴァイオレンスだよぉ・・・。 恐ろしいよぉ・・・。
これも生きていくためだ! すまない、デラックス! ナムサン!
「ほっ!」
うーむ、この針を遠くまで飛ばす動作・・・なんかいいよね! あとはプカプカと浮かぶウキが沈むのを待つだけ・・・。
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「釣れないですね、マスター。」
「いうな・・・。」
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「連れないd」
「言うんじゃない!」
「よっと。」
ん? フーリルくんに動きが・・・!つ、釣っているぅ!!!! フーリルくん既に釣っているぅぅ!
しかもそこそこでかいぞ! あれはおいしそぉーだー! しかも・・・3匹! この俺が悲しみのままにウミを見ていた間に3匹も釣っているぅー!
なんてことだぁ! くそぉっ! 俺だってアニキとして・・・! きたっ!
「フハハハハハ! 観念するがいいマーメイド! お前の魚生は終わりだぁっ! 今日からはこのフィッシングマスターの恋人としての人生を歩ませてやるっ! とうううっ!」
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「へ、へへへっ。」
「ぷっ、おっと失礼。」
「てめぇぇぇ! π! マスターに向かってなんて態度だァ! いいんですぅ! 初めてだから仕方がないんですぅ! 水草だって立派な魚ですぅー!」
「いえいえ、私は何も言ってませんよ、マスター。 わかってますとも、初めてですもの。 素晴らしい戦果です、マスター。」
ふ、ふむ。 分かればよろしいのだ。 次こそは魚を釣り上げてみせるからな。
「観念するがいいマーメイド!ですって。」
あっ!あっー! ボソリと呟きました今! ボソリと呟きましたー! ヒドイやヒドイや! せんせーに言ってやるー!
「まぁまぁ、次頑張ればいいじゃないですか、フィッシングマスター。」
くぅぅぅぅぅ悔しい! 見てろよっ!次は最高のを釣ってやるんだから!
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なんでだあああああああああああぁぁぁぁ! なぜちゃんとしたのが釣れないんだァ!
変な形の石! 絶対に食えない魚! スライム! 半分おっさんの魚「ういっす。」! まぁた水草! なんかやばそうなカエル!
「いや待ってください!?なんか間に変なのいませんでした!?マスター!?」
「変なのなんかいたか?」
「いやぁ、多分やけど勘違いやと思うでぇ。」
「お前のことだー!? なんで気がつかないんですか!? 目の前目の前! 無駄に貝殻のブラをつけたおっさんが居るでしょう!」
「いやぁすみませんなんか。 今日ちょっとおかしくて・・・。」
「いやいや、気にせんでええて。 まぁそういう日もあるわな。 わいも若い頃はそうやった。」
「なに先輩風ふかしてるんですかこのおっさんマーメイド!? ムカつくんですけど! ムカつくんですけど!」
「ほな、またな。」
「お気をつけて~。」
「え、いやちょっ! マスター! えええええええええええ!?」
いやぁ、いい人だったなぁ。 俺もああいうふうに年をとりたいもんだよ。 釣り上げてしまった俺にも優しくしてくれるなんて。
「いや釣り上げてる時点でおかしいですよね!? おっさんですからね! しかも半分魚の!」
うおっ!急に心読むなよびっくりしたぁ。 全く今日のπは変だなぁ。 あんないい人に何を言っているんだか、もう。 はっはっはっは!
「もう!マスターじゃ話になりません! そうだ!フーリル!フーリル早く来るのです!」
「どうしたんっスか、πのアネキ!」
「それがですね、聞いてくださいよ! マスターったら半分おっさんの魚を釣り上げたのにおかしくないって言ってて・・・。」
「それは変っスよ、アニキ! 半分魚のオッサンなんておかしいに決まってるじゃないっスか!」
「うむ、まったくやな。」
「せやせや!」
「「「「「「「変すぎるでそんなん。」」」」」」」
「ふぅ、良かったです。フーリルはまとm・・・・めっちゃおっさんマーメイドいるーーー!?!?!?!?ガビビビーン」
お、おう。 ガビビビーンって口で言うんだ。 全くそんな驚いてどうしたって言うんだπは。 何も変なことなんてないのに何を騒いでいるんだか、全く。
「そいつらのことですよ!あなたの後ろにいる下半身が魚のおっさん達のことですよ!!!フーリル!」
「ちょっと何言ってるかわかんないっス。」
「なんで分かんないんですか! 明らかにおかしいでしょう! わかりましたよ、ほら! よく見てください! みんな顔が同じじゃないですか!!! おかしいでしょう、マスター!」
「でもな、ほらあれだしな。 魚の顔って大体一緒だし。」
「あ!!! 今認めましたね! 魚だって認めましたね、マスター!!」
「いや、ちょっと何言ってるかわかんない。」
「だから分からないんですか! 海馬が爆発でもしたんですか!!!」
今日のπは本当にどうしちまったと言うんだ。あ、もしかしてアレか?アレの日なのか?機械の日なら仕方ないな。
「女の子の日みたいに言わないでください! そんなのありませんよ!」
お、おう。ナチュラルに心を読むようになってきたな。恐ろしい。
全く! 俺のプライバシーはどこに行ったんだい! これじゃあ安心して夜も眠れないよ!
「あ、じゃあそろそろ帰っちゃって大丈夫っスよ!」
「あざーす! お疲れ様でーす。」
「気をつけて帰っるスよー!」
「いやいやいや、なんで事務所の先輩後輩見たくなってるんですか! もういいです!私がおかしいんですよね! もう知りません!」
ふぅ、やっと落ち着いたか。 全く、親切なおっさん達になんて失礼な態度を取るんだ、πは。 礼儀ってやつを忘れたら人間おしまいだよ、まったく!
「おら、さっさと昼飯作れよフーリル。」
「はい、あなた・・・。 全くウチのアニキったらとんだアニキ関白なんですから・・・あのおっさん達を見習って欲しいわ・・・。」
「何なんですかそのやりとり。 考えてることと行動逆ですか。 というか亭主関白みたいに言わないでください。 昭和の夫婦かなんかなんですか。」
よっし、じゃあ俺は準備してもらってる間にもう一釣り頑張るかな! まだヘイメ一匹も連れてないし・・・。
「あ、そうだ。アニキ! ちょっと火をつけてもらってもいいっすか!」
おおう、なんと仕事の早い! 枯れ木がもう積み上がっている! そうか・・・この構え・・・ヘイメの串焼きだな! ウマイに決まっとりますやん・・・モチコース火をつけますよ!
「んむむむ! バーン!」
「その指鉄砲のポーズ必要なんですか、マスター。」
まったく、πはわかってないぜ! こういうのは形からなのさ・・・。 フッ! こうやって最後に息を吹きかけて指先の火を消さばまさにハードボイルド・・・決まったぜ。
それにしたってなんだか前よりスムーズに魔法を使えたな。 思い返せばスライム召喚やらで魔力の流れが感じられるようになってきた・・・。 俺も成長しているのか!
なんだか俄然やる気が沸いてきたぜ! ヘイメもガンガン釣ってやるからな!
「ほっ!」
・・・
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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・来たっ!
16日目!とうとう折り返しですね!
長くなりすぎちゃったので分割して投稿することになりました・・・一様、明日の投稿分も合わせてで1話って感じです。




