16日目 遠足で食べるサンドイッチってなんか美味しいよね
「なんにも・・・起きない?」
おお、スライム召喚の感覚に習って魔力?を流し込んでみたけど何も効果が無かった?というか手から上手く魔石に入り込まないで飛び出してったような感覚が。
「大丈夫っスかアニキ!なんか手から煙みたいなの出てたっスけど!」
「・・・これは失敗ですかね?おそらくマスターの微々たる魔力じゃ足りなかったんでしょう、プププ。どんまいです、マスター。」
グヌヌヌヌヌヌヌヌ!コヤツ!顔がないのに馬鹿にするような表情がアリアリと浮かび上がるぞ!ムカつくぅ!ドンマイって言われるの腹立つぅ!
「・・・!というかスキルじゃん!スキルがなかったからじゃん!」
「残念ながらマスター、スキルというのは持ってるから出来るのではなく出来た時に獲得するものです。今回はつまりマスターの技術不足で失敗!むしろスキルを獲得していないのが失敗の証明ですよ。ドンマイ!マスター。」
くぅぅぅぅムカつくぅ!なんだそのヤレヤレといった口調は!見える!見えるぞ!俺にはお前が両手を上げて首を左右に振るお前が見える!
仕方ないもん!初めての行為で成功できる方がおかしいんだもん!失敗というでない!部分的成功といえ!実際、魔力的なものが飛び出しただけでもすごいことだと思うな俺は!
「まぁまぁ、仕方ないっスよ!魔法って繊細っスもん!スキルの獲得は努力によってコツを獲得するってことっすから!また次ガンバるっスよ!」
「そーだ!そーだ!この冷血AIが!それに比べてフーリル君は優しいな~。失敗は悪いことじゃないんですぅーいいことなんですぅー。」
「むむむ、仲間を得て急に強気になりましたねマスター!ずるいです!数でマウントとってくるなんて厄介なオタクですか!」
「はっはっは、何とでも言うがいい。この世は何時だって大衆によって正義が決まってきたのだよ。」
「なんたる傲慢です!マスターのような奴がいるから戦争が無くならないんですよ!」
「えっそこまで言うのぉ!?失敗したか失敗じゃないかで世界の問題になっちゃうの!?」
くぅぅまるで俺が悪いみたいに言いやがってぇ!先に煽った来たπが悪いんですぅ。僕は悪くないですぅ。そこまで言われたら俺だって傷ついちゃうんだからヨヨヨヨヨ。
「むぅ確かに大人気なかったですね。ごめんなさいマスター。」
「・・・俺も悪かったよπ。」
「っ!!!マスター!」
「!!!πっ!」
「うぅ、オレッチ感動しました・・・人って分かり合えるんですね。」
「そうさ、人が人にちょっと優しく慣れれば戦争はきっとなくなるのさ・・・。だからπ・・・共に支えあおうな・・・。俺たちはきっといいパートナーになれる。」
「いや私はもうちょっとマスターで遊びたいのでからかい続けますけどね。」
ふえぇぇ、AIの反逆だよぉぉ。シュワルツネッガーが攻めて来るよぉ。堂々と人で遊ぶとか言ってるよぉ・・・血も涙もないよぉ。
「薬草の採取で結構時間がかかったんでスライムをそろそろ探すっスよ!」
おー、そうだったそうだった!本来の目的はスライムだった!争ってる場合じゃない・・・俺たちはエッチな女の子の服を好むスライムを探しに来たのだ!
(そうでしたマスター!一時休戦です!私たちの楽園のためにやったりましょう!)
ふむふむ、依頼書を読めば”薬草が少なく、湖に面してる場所でのスライムの捕獲”か・・・なるほど。同士スライムはそこにいるのだな!
「どこだスライム・・・一体どこにいるんだ・・・。」
うーん、もともと閑散としてて薬草が少ない場所ってのも結構あったからここぞって場所を判断しづらいぞ・・・。仕方ない・・・残りの薬草を抜きつつスライムもさがすか・・・。
くぅー!見つからない!見つからないぞ!!!うぅ・・お腹すいてきたぁ・・・なんだかんだ薬草探しにも時間かかったからなぁ・・・。
「Hey、πいま何時?」
「そうですね、ただいま3時に差し掛かろうってところです、マスター。」
うぅぅ時間を聞いたらとたんにお腹が鳴り始めたぁ・・・お腹がすいたんだなぁ・・・。
「アニキーそろそろ軽く飯にするっスよー!」
やったぁ!!!お昼ご飯だあ!こういう湖のほとりで食べる昼食って・・・いいよね・・・。穏やかな日々って感じする・・・気持ちはアルプスの少年、少女。うふふふふ、ねぇおじいさん?なんであの雲はわたしを待っているの?
「おおっ!サンドゥイッチ男爵!これまたうまそうな!」
「中身は朝のベーコンとちょっとスパイシーで美味しいチリウス草っス!絶品っスよ!」
「あぐぐぐぐっ!うんっっ!うまい!やっぱり硬いけどそれでも何度も噛みたくなってしまうほどうまいぞぉ!フーリル!こんな幸せをありがとう!」
噛めば肉汁が溢れて・・・鼻を通っていくちょうどいい辛さ・・・パンに染み込んだ旨みは噛めば噛むほど溢れて、パンから香る麦の香ばしさと絶妙なハーモニを奏でている・・・。
「ずるいですマスター!ずるいですマスター!ぐぬぬぬ・・・なぜ私には口がないんですか・・・。」
「喜んでもらえて嬉しいっス!自分もいつもより美味しくて感動っス!みんなで食べればやっぱ何倍もうまいッスね!」
はー幸せぇぇぇ。最後の一口は水筒に入れてきたお茶で思いっきり飲み込んでご馳走様!なんと・・・なんと最高か・・・俺、フーリルと出会えてよかったよ・・・。
「じゃああともうひと頑張りするっスよ!薬草はだいたい集まったんで、あとはスライムっス!」
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ううむ・・・なかなか見つからない・・・。薬草がない場所・・・薬草がない場所・・・。
「あっ!マスター!奥の方!奥のほう見てくださいあそこ!あそこらへんだけ明らかに薬草が少ないですよ!」
ホントだっ!待ってろよスライム!いまおれがつかまえてやっっ!おおおお!
「ったぁぁぁ。」
なんでこんなところに石があるのぉ!この石が悪いのか!全く!悪い石め!このっ!このっ!
「大丈夫ですかマスター?顔面から思いっきりいってましたけど・・・全くひどい石ですね!」
フフフっこの石め、ビビって声も出せないらしい。どうやら相当俺とπの睨みが効いたと見える。これに懲りたらこんなことをするのは辞めるんだな。
「うん?壁・・・?おおお、おおおおおおおお!」
「マスター!マスター!スライム降臨です!やりましたよ、マスター!」
なんだこのスライムは!この前のスライムより青っぽい?・・・この前のは微妙に茶色かったからな・・・。
急に襲っても来ない!なんだ?
「マスターこのテンプレは知ってますよ!」
「プルプル、僕は悪いスライムじゃないよ。」
「完璧ですマスター!つまりそういうことです!仲間にしましょう仲間に!」
確かにぷるぷる揺れてるな・・・これはやはり俺のYESを待っているということか・・・ははは、ういやつういやつ。
「おわっっっ!なんだっっっ!」
急にズボンに吸い付いてきた!何急に!まさか・・・太もも専門なのか!足フェチとはやるな!お前とはいい酒が飲めそうだ。
「違います、違います!マスター!魔石です!薬草の魔石が取られました!」
おおう!ほんとだ!ポケットに入っていたはずのがなくなっている!
「おおおおっ!なんだなんだ!」
「見てくださいマスター!薬草の魔石とスライムの魔石が溶けていきます!」
急にスライムが沸騰してボコボコしだしたぞ!誰だしっかりと沸騰石を入れなかった奴は!こいつはいったい・・・どうなっちまうんだ!
「アニキー!どうしたんs・・・おお!さすがアニキ、スライム見つけたんスねっ!」
やっと来たかフーリル!別の場所から異変を嗅ぎつけてやってくるとはなかなか優秀な奴め!
「そうなんだけど様子が変なんだ・・・。」
「なん・・・スかこいつ・・・自分スライムは何体も見てきたっすけどこんなの見たことないっスよ!」
おおおおおお、なんだなんだ!勢いが増して破裂するような勢いで沸騰しているぞ!!!
このスライム、一体どうなっちまうんだ!!!
13日目!異世界いったらとりあえず美味しいものいっぱい食べてみたいよねっていう話です。