クロバーの小箱はルビー.ハートの手に渡る。
クロバーの小箱はルビー.ハートの手に渡る。
上空からポッカリと円い空き地が見える。
梟フクロウの仮面を着けた黒い装いの貴婦人がボクの手を取る。
ボクを誘さそい彼女はそこへ降りて行く。
空き地に集まっている木人と呼ばれる人々。
木の葉や蔦で編んだ冠に緑一色の装いで身を包んでいる。
ボクを伴って空き地に降り立つた梟フクロウの貴婦人。
長い杖をついた木人の長老らしき人物が前に出た。
『一日千秋の思いで、お待ちしておりましたぞ。』
長老は格式のある鍵の掛かった古い小箱を小脇に抱えている。
梟フクロウの貴婦人は、優しくボクの背中を押した。
すると木人の長老は小箱をボクの目の前に差し出した。
『幸福を運ぶ王子よ。』
『この小箱の上に手を置きなされ。』
ボクは梟フクロウの貴婦人の方を一度見た。
暖かな笑顔で見守ってくれている。
ボクは言われるままに手を小箱の上に翳した。
ビユユユュュュユユ))))))))
その時、一迅の強風が空き地をすり抜けた。
長老の手にあった小箱は上空に巻き上げられ行く。
空を見上げる木人の長老と梟フクロウの貴婦人。
『しまった!!』
『待ち伏せておったのか!!』
地団駄踏んで杖を地に叩きつける長老。
空き地の上空を円を描くように舞う大きな紅き鳥。
その上に乗る不敵な笑い声の人物。
その手に小箱は抱えられている。
燃えるような色彩のドレスで装った美しき女王。
黒の貴婦人が手を翳して梟の群れを召喚した。
バタバタと勢いよく紅き鳥の周りを囲む。
『ルビー.ハートよ!』
『これ以上、罪を重ねるでない!』
木人の長老の叫び声。
梟の群れの追尾を振り切る紅き鳥。
『幸せのクロバーとやら、このルビー.ハートが預かる!』
『返して欲しいなら、そのエメラルドの王子を連れルビー山へくるがよい!』
『無事、たどり着ければの話しだが…アハハハハ』
ガックリと膝を落とす木人の長老。
『梟フクロウの貴婦人よ。』
『そなたの、苦労を無にしてしもうた……許してくれ。』
梟フクロウの貴婦人は、そっと長老を支えて立たせた。
『長老さま、まだ希望は絶たれたわけではございません。』
『幸せを運ぶ王子は、ここにおります。』
ボクの胸には、いつからあったのエメラルドのペンダント下がっていた。
『西の海に住む正義の剣を持つ王の
力を借りましょう。』
梟フクロウの貴婦人の言葉に木人の長老も深く頷うなづいた。
『こうなっては、やむおえん。』
『西の海の王、サファイア.スペード』
『彼の者は、かねてより深緑の姫クリスタル.ダイヤに思いを寄せておった。』
『ダイヤ姫が、この婚姻を受け入れてくれればよいのだが……』