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22. チートとテンプレ、その予兆

風邪を引いたら仕事は休み?え?有給?

なにそのパラダイス。

 

 燃ヤシ、命ヲ喰ライ尽クセ──陽炎斬。


 剣を一振りすると、纏わせた炎と斬撃が魔獣へと飛んでいき、ズゥゥゥ……ンと土埃を上げて数メートルはある巨体を上下真っ二つに絶命させると、さらに炎は燃え上り、息絶えた魔獣を消し炭へと変える。


「ふう、やっと終わったな。さてさてこの元凶は一体全体、何でしょうね?」


 数百体以上はいた魔獣達の大半は二人の少女によって片付けられ、勇輝がラスト一頭の魔獣を倒し終わるとそう問いかける。頭に響いた言葉に気を取られないようにするためだった。


 これだけの魔獣がたまたま偶然に集まり、たまたま進行方向が同じになった。とかはありえないし、何かに追われて逃げていたような感じでもなかった。とすれば、


「いつぞやの輩が狙って来たのか、もしくはセリュー方面へ恨みのある誰かの差し金、でしょうか」


 レイントが言うようにその線が濃厚そうだが、何れにしても魔獣相手では尋問も出来ない。


「取り敢えず、ギルドへ戻って報告を致しますか? もしくはこのまま先へ進んで、昨日の情報にあった魔獣を確認する手もありますが」


「さすがにギルドへの報告が第一でしょうね。これだけの魔獣が一斉に出現するとか異常だし。こういう時にオヤジがいればあの転移薬で一瞬で戻れるのになぁ。今度会ったら何本か貰っておこう」


「便利は便利だけど、あれって頭がふらふらするのよね。でもこれ……このままにしておく訳にもいかなくない? 私が言うのも何だけど、結構な地獄絵図よ?」


 見渡す限りの魔獣の死体の数々。

 よくよく見てみれば今迄に見た事のない魔獣のオンパレードである。


「にしても。流石は皆様でございます。ティアーナ様はお父様より受け継いだ魔法を更に自分のモノとしておりますし、エル殿の魔法もそれは素晴らしい物で御座いました。そしてユウキ殿」


 背筋は正したままで真っ直ぐに勇輝を見据えた。


「エル様やティアーナ様のような大掛かりな魔法ではありませんでしたが、それでもあの技は今迄に見た事も聞いた事もないスキルでした。あれはどうやって習得したのか、それはさて置いても、是非ともご教授を願います」


「その件は……また後にしてもらってもいいですかね」


やっと落ち着いてきたものの、内から湧き上がる力に自分でも少し恐怖すら感じていた。




 ▽▲▽▲▽▲▽




 ギルドへ報告をする為に帰還する道中、勇輝は自分のステータスを開いてみる。レイントが疑問に思った事を自分でも確認する為だ。

気付けば頭の中でこうやったらこうなるんじゃないか、みたいな図式とでも言うか、そんな考えが駆け巡ったのだった。



 ▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽



 ・名前:ユウキ

 ・性別:男

 ・年齢:18

 ・種族:人間族


 ・体力量 :1170

 ・魔力量 :2500

 ・物理攻撃力 :1200

 ・魔法攻撃力 :1500

 ・敏捷力 :670

 ・物理防御力 :800

 ・魔法耐性力 :1100


 ・ギルドランク:C


 ・職業:【剣士】< LV30 > 【格闘士】< LV28 >【魔法師】< 火:LV20 >、< 風:LV20 >、< 雷:LV15 >、< 土: LV15 >、 < 光:LV10 >、< 闇 :LV10 >、< 空間:LV1 >


 ・スキル:【桧山流剣術】【桧山流体術】【魔法剣】【格闘魔法】【連鎖魔法】< LV1 >


 ・適正魔法:ーーーー


 ・オリジナリティ:【異世界者】【ハリオベルに認められし者】【ステータスオールアップ 】+1000【魔力の加護】連続魔法、創造魔法【属性の加護】火、水、風、雷、光、闇、空間【経験値アップ】+2



 ▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽




 (あれ? 久しぶりに見たけど、なんか随分と変わった項目が多くねぇか? あ、やっぱりあの技は魔法剣ってやつだったか)


 確認すると、基本ステータスは半端なく上がっており、見習いだった職業も変化していた。スキルにしても魔法剣とかは分かるが格闘魔法とか連鎖魔法? 連続魔法とは違うのだろうか。


 わからない事だらけでパンクしそうだ、と頭を悩ましていると『それは、レベル1までの魔法を続けて発動すれば自ずとわかるよ?』と声がした。いつの間にか念話を使っていたようだが、折角なので聞いてみる。


「『続けて発動って、どうやんのさ?』」


「『え? なによいきなり』」


「『エルが言ったんじゃねぇか』」


「『は? ユウキ、あなた大丈夫? 私は何も言ってないわよ?』」


エルの目線がとても冷たい。

そもそも念話というものは対話のコミュニケーションには向いていないと思う。まだ普通の会話をキャッチボールするだけならいいが、今のように一方が「あんたの頭、大丈夫?」的な流れの場合、口にして言われるよりも目で訴えられる分、心に突き刺さるのだ。いや、抉られると言ったほうがいいかも知れない。


『エルトアちゃんに聞いてもわからないわよ。まだ知らないんだし』


「え?」


 皆の視線が一斉にユウキへと向く。


「どうかされましたか?」


「あ、いや、え?」


 (エルじゃない? としたら誰が念話を……?)


『だから私だってば。やっとこうして話せるようになったのに、ショックだなぁ。19年もレディを待たせておいてそれはないんじゃない? 泣いちゃうぞ?」


 (え?……すみませんが、どなたでしょうか?)


 『……グスっ。勇輝の、いじわるー! うえーん』


 (ちょっ、ごめんって、そんな泣かれても。てかマジで誰で…………え? まさかですけど)


「ごめん! ちょっと先に行っててくれ!」


「ちょっとユウキ、どうしたっていうのよ!?」


「マジでごめん! すぐ追いつくから!」


 そう言うやいなや、馬車から飛び降りて走り去る勇輝を皆が怪訝に見送った。


「ホントになによ? 突然すぎじゃない」


「私がユウキ殿へお聞きしたのは不味かったでしょうか。『自分でもよく分かってないからまた今度』とおっしゃられていましたし。もしそうだとしたら申し訳ない事を致しました」


「エルさんに心当たりは?」


「心当たりも何も、さっき突然に『続けて発動ってどうやるんだ』って念話で話し掛けてくるから私も驚いたくらいだもの。何も言ってないのよ? せいぜい頭の中でやり過ぎちゃったかなぁとか、もっと魔力の調整をああしてたらもっと上手にコントロール出来てたかなぁ、とか? そんな考え事をしてたくらいよ」


「それが知らぬ間に伝わっていたとか、そういう事でしょうか」


「ううん。それはないわ。ユウキと会ったばかりの時は確かにそういう事もあったけど、今ではきちんと念話を使おうとしない限りは話せないから。それに関してもオータさんが言うには、ユウキの魔力が安定してなかったからだって言ってたし、今では私もそう思うわ。じゃなきゃ、お互いに考えてることが筒抜けだもの。そんなの落ち着いて食事も出来ないわよ」


「そうですか。ならば、やはりユウキ殿が一人で考えたい事が出来たのやも知れませんし、ここはそっとしておいた方が宜しいでしょう。この一帯にはもう危険もないそうですし、それでももし何かあればエル殿へ一報があるかと」


 エルと勇輝とが使える念話での距離は、今迄に調べてみた結果1ヤーガ。地球換算で言う所の1km以上である。もしかしたらそれ以上かも知れないが、いつも一緒にいる以上、特に困ってもいなかったのでそれより遠くでは試さなかった。


「まぁそうね。さっき探知魔法を全開に広げてみたけど、もうこの一帯には私たち以外に人も魔獣もいないしね」


「ええ。ユウキさんなら大丈夫でしょう」


 3人共にいつものユウキとはちょっと違う感じを覚えながらも、一先ずはセリューへと戻って行った。



お読み頂きましてありがとうございます。


まだまだ続きますよ。

ええ。仕事中でも寝ててもネタを考えてますけども。

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