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13. 装備って大事だよ

本日2回目の投稿です。

 装備品。

 それは冒険者の身を守り、如何に戦闘を有利にさせるかを決める道具である。

 そして、自分がどれ位のランクにいるかを他人へ認知させるには手っ取り早い手段だ。

 どこぞの貴族のボンボンでもない限り、レア度や値段の高い物を装備していれば「お、あいつギルドランク高いんじゃね?」となるわけだ。

 革製品でもどれくらいのランクの魔獣から剥ぎ取った素材かで値段は変わるし、それほどレアな鉱石じゃなくてもそれをいくつも加工して製作された物とか、炎など耐性が付いている物などは必然的に値が張る。

 時には重剣士が好むガッチガチの"これぞ鎧!"よりも、魔法使いご用達のローブの方が高級品だったりするから、『それなりの目は必要だぞ?』と武器防具店の店主が教えてくれた。


 勇輝達はギルドの依頼をそれなりにこなし、今現在のランクはFからEランクに上がっていた。

 Eランクから上は更に1つ上のランクまでの依頼の受注が可能なので、危険は上がるが素材は高価なものが多くなるし、報酬もおいしいのでほとんどの冒険者はこれを選ぶようだ。


 今までは太田から『取り敢えずこれでも着ておけ』と貰った、どこの初級冒険者でも来ている普通の革服と、ブレイズソードという中級冒険者が好んで装備する片手剣で通していたが、ランクが上の依頼を受けるとなればちゃんとした装備も必要になるだろう、と店へ足を運んでいた。


 勇輝は剣士でもあり魔法使いでもあるという、この世界ではレアな職業に当てはまる。

 もちろん前衛メインで戦うので、攻撃力はもちろん、防御力もあるに越した事はないし、かといって重装備になっては俊敏性に欠ける。

 つまりはバランスが重要なのだが、じゃあ軽さを重視して革製品の防具に盾装備ならバッチリか?と、生まれて初めての装備選びに迷いに迷って……結局買わなかった。




 ▽▲▽▲▽▲▽




「エル! ノア! 冷気の魔法で凍らせられないか?」


「この熱量を抑えるとなると……申し訳ありません」


「私だってこれだけ勢いのあるもの、そんな簡単に出来ないわよ! それに噴き出す部分だけ凍らせても次から次へと──きゃあ! あっつ!」



 勇輝達はDランクの依頼達成の為に[融解の石窟]へ素材採集をしに来ていた。

 所により溶岩が流れ、その溶岩が発する魔気に当てられた石が燃焼鉱石に変性、それを採取する洞窟である。


『この石窟で採れる燃焼鉱石を出来るだけ持ってきて下さい。依頼達成するだけなら拳の大きさ程の物が3つもあれば結構ですが、この鉱石はDランクの中ではそれなりにギルドで高く買い取れる物なのでお得ですよ』


『なるべく高価買取のアイテムをゲット出来る仕事はない?』そうギルドでエルが問い合わせると、ジェナは依頼書と地図を差し出しながら答えてくれたのだった。

 これからの装備の事もだが、エルに一番必要な"魔力回復薬"を買うための資金繰りをどうするか考えていた為だ。


 勇輝が使う魔法は今の所は全般的に補助魔法が多く、攻撃魔法を使えるには使えるが、あまり多くの魔力を必要としないし、魔力が底をつく戦闘はまるでないのでそこはクリアーしている。だが、エルは今ではレベル8までの魔法を使うまでに成長し、強力な魔法となれば消費する魔力は必然と上がる。

 それに加えて念話の消費魔力はどれ位なのか?を調べてみた所、そのレベル8クラスの魔力のさらに上である事が判明したのだ。

 生来からの魔力量が多いエルでも、感覚では1日中念話を使用してみただけで総魔力量の8割を消費するらしい。

『じゃあ、これだけ(・・・・)持って(・・・)おけば(・・・)まず(・・)安心(・・)だろうって量を買い込んでおけばいいんじゃねえの?』と勇輝が提案したのだった。

 どれだけの量になろうが、アイテムボックスがある限り持ち物によって手が塞がる事もないのだから。


 エルとしては自分のせいで勇輝に迷惑をかけたくないという気持ちがあるのだが、『今度そんな後ろ向きなこと言ってみろ? 俺はマジで日本へ帰るからな? それに、お前に陰キャラは似合わねぇよ』と静かに叱られたのだった。

 これにはエルも『……ありがとう』と素直に応えるしかなかった。


 最奥地に辿り着いた勇輝達一行が、とりえずは見える範囲の燃焼鉱石をアイテムボックスへ入れ、ホクホク顔で「さて帰るか!」と言った時。

 突然の大きな地鳴りからエルと勇輝の間にあった石橋が崩れ、溶岩が噴き出る谷間が出来上がった。今は活動も停滞していると話に聞いていたのだが、ここで愚痴っても仕方がない。


「やっぱあの炎ブレス耐性が付いた盾、買っときゃよかったかなぁ? 一本道で他の道はないし……。ま、なんとかなりそうな気もするけどな」


 そう言う勇輝の言葉が耳に届いた訳ではないが、エルは勇輝が今から無茶をするのではないかという雰囲気を読み取ると、念話で制止する。


「『ユウキ! 無理しないで! 何か橋をかけるものでもあれば何とか』」


「『いや、エル達の魔法でどうにもならないなら足場を作っても意味がないだろう。それよりも、ノアと一緒にもうちょっと後ろへ下がっていてくれ!』」


「無茶よ、こんな距離! それに跳べたとしてもいつ溶岩が噴き出すかもわからないのに!」


 勇輝が助走を付けるため、しっか距離を取るのを見て血の気が引く。これだけの熱量と不規則な噴出にタイミングを合わせることも難しいし、もし一瞬でも(たが)えば死に繋がる。どう考えても無謀としか思えない行動だった。


「考えがあるんだよ! まあ見てろって! まぁちょっと気が乗らない方法だけどなー。いくぞ!」


 ダダダダダッ!と助走を付け、谷間の手前2mくらいまで来ると勇輝は魔法を発動する。


速度魔法(ストームブースト)!」


 勇輝は自身の足へ速度強化をかけ、跳躍の飛距離を伸ばそうとする。だが、それくらいで何とかなる距離ではない。噴き出る溶岩が少しずつ石橋を削り続け、今や谷間の距離は10mをゆうに超えているのだ。

 しかし、勇輝にはまだ算段があった。


「うおりゃあ!」


 跳躍をする直前に光に包まれる勇輝を見て、エルは(あ、そういえばそれがあったわね……)と半ば呆れた。


 ズダンっ!


「おっしゃ、成功! ぐはっっ!」


 着地して緋色の鎧に包まれたガッツポーズをする勇輝に、エルが【土魔法(大きめの)LV1(針の石)ストーンアロー(刺さっちゃえ)】をぶつけた。


「な、なんてことしやがる……」


「うっさいわよ! 今の今までセレスレッドの存在を忘れてたわよ、このアホ! いっぺん本当に落ちてしまえ!」


 お忘れになられた方もいるであろうか。勇輝がイタイ姿として変身するのを嫌っているハリオベルの能力である。装備者の能力を数倍に引き上げる効果や、数々の耐性付きアーティファクト先輩(パイセン)だ。


「うん、とりあえず頑張って生還した俺に謝れ」


「普段からそれを使わないユウキが悪いのよ! 全くもう! 心配して損したわよ!」


「ほう。この俺様を心配したと? なかなかうい奴じゃのう? ほっほっほ」


「いやですわお代官様ぁ。あたしはいつでも貴方のお側に。こんな平凡な俗世なんていつでも捨てる覚悟がございましてよ? ってやかましいわ! 誰が金のためならハゲデブにすら魂を売る売女よ!」


「うん。エルのノリツッコミは相変わらず面倒くさ、ぐはっ!」


「ノらせたのは誰よ! ほら、さっさと帰るわよ! ノア、行こっ」


 久しぶりのノリツッコミが自分でも恥ずかしかったのか、心から勇輝の事が心配だった自分の気持ちに照れたのか、エルは再度ちっちゃなトゲトゲを勇輝の顔面へと放つと、そう大して効いてもいないのに大袈裟にのたうち回る緋色の勇者を背にスタスタと歩いていった。


「しかし上手くいって良かったわ。ハリオベル様様だな。……相変わらず痛い格好だけど」


 変身を解き通常の姿に戻りつつも無茶なことをしたなと反省し、エルを追いかける勇輝は、あれ?そういえば何か引っかかる事があるけど……ま、いっか。と流した。



お読み頂きましてありがとうございます!


いつの間にかPVが4桁!?

まさかまさかな出来事でございます。


皆様ありがとうございます。


まだもう少し毎日更新が続きますが、

いかんせんリアルがバタバタしておりまして…

投稿時間がバラついてしまうorz


てかユニーク数まで増えている!

僕はっ

泣くのをっ

やめないっ


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