3/3
飾り気のない君が好き!
「化粧とかしないの?」
彼女はいつも一つに束ねた黒髪にすっぴんだ。飾り気がなく、色付きリップすら使っていない。つい深く考えずに口に出すと、少し離れて隣を歩く彼女がちらとこちらを見た。
「……したほうがいい?」
「え?」
「化粧」
首を回すと、じっと自分を見ている彼女と目が合った。いつもの真顔だが、こんなに見つめてくるなんて珍しい。少し唇を歪めている気がする。
「……怒ってる?」
「違うけど、派手な方が好きかと」
それは、そうなら挑戦してくれるとか、そういう。まじまじと彼女を見ると、気まずそうに目を逸らされた。白い素肌のおかげで、頬が赤いのがよく分かる。良いかも、すごく良いな、すっぴん。