過越祭
インマニエル十二歳
「今日は忙しいわよ!」
いつになくマリアのテンションは上がっていた
過越し祭の支度をするために、街に出てるからであった
「インマニエルも手伝って下さいね」
マリアは微笑んだ
「ええ・・わかりました」
親子3人で一緒に出掛けたのが、人並みにまかれて
インマニエルと途中ではぐれてしまった
「お~い、大変なことになってるぞ!」
「ナザレのヨセフの子が、先生と?」
「なんか、云いやってて~」
ソロモンの回廊にある柱の下が沢山の人だかりなっていた
そこには、数十人のサリファイ派の教授とイエスが論争をしていた
イエスは彼等の言っている事の間違いを正していた
勿論、心の中で思っている事も解っていたので、教授たちの反論をことごとく論破してしまった
『なんて子だ・・・これほど聖書を知っている・・・
しっているどころか、われわれの解釈を聖書の引用を使って
正していく?・・・』
『しかし?おかしいではないか!この子は我々しかしらない聖書の内容も知っている?』
サリファイ派の教授達は驚き以上に恐怖を憶えた
『それに・・・なぜ聖書の言葉(ギリシャ語)が、あんな子供に判るんだ?』
『あの子は・・・救世主?・・いやいや・・』
「おい、あの子は何処の子か知っているか?」
サリファイ派の教授の一人が囁いた
「あの子は・・・・確か・・・・」
「ナザレのヨセフの子?」
「ヨセフって? い ま は 大工の?あのヨセフか?」
「ああ~確か・・・エッセネ派のヨセフか!」
「そうだ!エッセネ派の長老の一人のヨセフだ!」
サリファイ派の教授達は彼の正体を知った
『道理で・・・聖書に詳しいわけだ!』
『エッセネ派の子か・・・いや、こいつはつかえるかも!』
突然、甲高く泣きそうな女性の声が回廊に響いた。
「すいません!
この子!
この子は、うちの子です。」
人だかりの中をかき分け、マリアが息を切らしてイエスに駆け寄った
しかし、イエスは少しも動じず滔々と聖書を諳んじた
マリアは有無も言わずに、イエスの手を掴み、急いでその場を離れようとした。
「お母様ですか?」
しかし、サリファイ派の教授の一人に呼止められた。
「そうですが・・・」
「 実に素晴らしいお子様ではないですか!
是非共、わが教会に来ては戴けませんか?
あっ勿論、お金はいりません
これだけの知識をこの年で理解できているのなら
幹部候補として迎え入れたいのですが?」
サリファイ派の教授はイエスを客寄せパンダにしようと目論んでいた
「 この子は!
この子は、大工の息子です
ご勘弁下さい。」
「そうですか・・・?
非常に~残念です・・・
彼ならユダヤの王に・・・
そうですか~」
『ちッ!いい客寄せになったに~』
マリアはイエスを連れ出し、人影のない辺りまで来ると
疲労のあまり、へたへたとしゃがみ込んでしまった。
『この子は・・・
やぱり、長老たちが言うように
世を救う救世主なの?』
塞ぎ込むマリアの肩に優しくイエスの手が乗せられた
その手をマリアは、ぎゅっと握りかえし
『大丈夫よ』
と笑顔でイエスに応えた
そして、ヨセフのもとへ二人は歩き出した。
このやり取りの一部始終を観ていたエッセネ派の長老は
『間違いない!彼はメシアだ・・・・
しかし
しかし、これは相当な教育が必要である・・・』
その日を境にし、イエスはエッセネ派の拠点であるクムランの洞窟で、さらに聖書の教えを中心に英才教育を受ける事となった。




