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エピローグ

 貴族をギルドに連行した翌日。


 屋敷から連れてきた子供たちは一旦ギルドで保護され、貴族の方は奴隷商人が裏切ったこともあり、後日法廷で裁かれることが決定している。


 そして、ギルドに呼び出しを受けた俊紀達は朝食を済ませた後にギルドへと足を運んでいた。俊紀達が報酬として要求した禁書庫への入場許可証と、それとは別に依頼そのものの報酬を受け取るためである。


「しかし、よくこの短期間で場所を割り出して捕まえる事が出来ましたね」

「まあ、結構頑張ったんで」


 尚、俊紀の対応をしているのは依頼を受けるときにも対応をしたベテランの職員である。彼らの依頼達成の速さに驚いているようなこと言っておきながら、表情はにこやかでまるで想像通りだったかのようである。


 実際、ある程度以上の実力があることを見抜いてはいたこのベテラン職員ではあるが、彼らの実力はその想像を遥かに超えていたりする。


「では、こちらが禁書庫の入場許可証と、依頼報酬15万Gになります」

「ありがとうございます」


 3人分の入場許可証と報酬の入った少々重みのある袋を受け取り頭を下げる俊紀。今回受け取った15万Gに加えて、少し前に売りはらった機械のパーツの金額を合わせると大体50万Gほどになる。


「……ところで、連れてきた子供たちは?」

「人族の子供は親や引き取り手を探しているところです。エルフの子供たちは誰か亜人の大陸に送り届けてくれるような人を募っているところですが、なかなか引き受けてくれるような人が居ないんですよね」


 俊紀が何気なく職員に質問をすると、実に残念そうに答える職員。といっても、誰が見ても分かるほど演技じみている。それどころか、チラチラと俊紀の方を見ているので、要するに俊紀達がこの依頼を受けろと言っているのだろう。


「……分かりました。じゃあ引き受けることにします。こっちで保護する羽目になった原因を作ったのも俺達ですし、次の目的地も亜人の大陸の方なので」

「そうですか、ありがとうございます」


 もちろん俊紀がそれに気がつかないわけもなく、面倒なことを押しつけられたをいう顔をしながらそれを引き受ける。なお、次の目的地に関しては完全に嘘であり、面倒だが引き受ける為の口実を作っただけである。


 俊紀の返事に今までしていた残念そうな顔をにこやかな笑顔に変え、嬉しそうに頷く職員。それを見て俊紀がさらに渋い顔をする。


 なおここまで悠司とシロノは何もしていないどころか、後処理やら何やらを俊紀に押し付け、受付に顔すら出さずギルド2回の喫茶食堂でのんびりしている。自分たちに関わっていることだと言うのに人任せな奴らである。


「終わったぞ」

「そうか。で、どうなった?」

「報酬貰った後に依頼引き受けさせられた」


 3杯目の飲み物を飲み終わった時、悠司達のところに俊紀が戻ってくる。禁書庫の入場許可証を差し出しながら席に付き、また依頼を受けたことを2人に伝える。


「……どんな?」

「エルフの子供たちを送り届けて来いってさ」

「そうか。また面倒な依頼を受けさせられたのかと思ったぞ」


 新しい依頼を受けてきたと聞き、一瞬動きが固まる悠司だったがその内容を聞いほっと息を吐くと4杯目の飲み物を頼もうとメニューを手に取る。


 俊紀は悠司からメニューを奪い取り喫茶食堂担当の職員を呼ぶと、適当に飲み物を頼みその後メニューを悠司に返す。その後悠司も飲み物を頼むとメニューを置き、頬杖をつく。ちなみにシロノは最初に頼んだものをちびちびと飲んでいる。


「とりあえず禁書庫への許可証は貰ったんだから子供たちを送り届けるのは禁書庫を見てからでもいいんだろ?」

「まあ、ギルド側も急かすようなことはしてきてないし多少ゆっくりしてても問題は無いと思うけどな。と言うか、一応難関依頼から帰って来たばっかりなんだから少しくらい休んでも良いはずだ」

「まあ、大丈夫だよな」


 何処か投げやり気味な様子で言う俊紀に頷く悠司。一応職業が学者である俊紀からすれば宝の山とも言えるかもしれない書庫内で本を読む時間が削られるのが残念なのかもしれない。悠司はそれを俊紀が疲れているのかと思っているのだが。


「俺はとりあえず戻るけど、お前は?」

「シロノがまだ飲んでいる途中だ。飲み終わるまで待ってる」

「そうか」


 10分ほど経ち、自分の頼んだものを飲みきると席を立つ俊紀。ギルドから俊紀が出て行くのを見た悠司はこの後追加注文を繰り返し、シロノが自分の飲んでいる物を飲みきる頃にはテーブルの上に20個ほどカップが並んでいたそうな。

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