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プロローグ

原案:友人

著者:ウェイター

でお送りいたします。

「なあ、本当にここで良いのか?」

「ん?ああ、あの場所に書いてあったんだ、間違いないだろう」


 サービス開始から約2年半が経過している「Another Life Online」通称ALO。…の今ではもう訪れるプレイヤーが全くと言っていいほど居なくなったチュートリアルで最初にお世話になるダンジョンに来ている。さて、ここに居る理由だが、少し時間は遡る。






―――数時間前

「で、今度はハズレなんて言われてた遺跡に来てどうするんだ?トシキ」

「まあまあ、ユージは知ってるだろ?俺のジョブの特徴」

「ああ。というか、俺とお前くらいじゃないか?ハズレと名高い《学者》ジョブの本当の使い方知ってるの」

「かもしれないな。で、ここに来た理由はいつもの、だ」

「ああ、《古言語解析》だろ?」

「正解。遺跡とか洞窟のあちこちにある、一見ただの模様に見えるような物をちゃんとした言語として読み取るんだ。とは言っても学者のジョブを少なくとも上級の中ランクあたりまで育てないと習得できないから気づいてる奴はまず居ないか、攻略に載せないか、だな」


「お前も良くそんな物好きなジョブ育てたよな」

「そういうそっちこそ戦闘職の中では使えない、どころか見向きもされない《ウェポンサモナー》でやってるじゃないか」

「まあ俺は色々な武器を使いたかった結果がこれに落ち着いただけなんだが…」

「俺もお前と同じような理由だよ」

「まあ駄弁るのはこの辺にしておいて、目的の部屋、ここだろ?」

「ん?ああ、もう着いてたのか。じゃあ周りの敵は宜しくな」

「ああ」






―――数十分後


「終わったぞ、サンキューな」

「それほどでもない。でなんて書いてあったんだ?」

「始まりを刻みし時より数刻、汝ら目覚めし大地の意思より、日が通りし光の先の導を進み、

全の法を用い進み拓けた扉の先、誕生を飾った儀式の向こう、祀の祠を陰へと向かえ、

その先に、世の封を破りし珠は待っている…だってさ」

「どゆこと?」

「よし、説明してやろう。


 『始まりを刻みし時より数刻』、これは生まれてから、俺らはここで生まれたわけじゃないからゲーム

を始めた時のことだな。こっから少し時間が経った後のこと。


 『汝ら目覚めし大地の意思より』これは、目覚めし、つまり生まれ育った大地、まあこの国だな。俺達は育ったと言えば育ったからあってるだろう。で、このゲーム内でのここの国王は大地神の加護を得ている。つまり大地の意思ってことだ。『より』、が付いていると言うことは国王に言われたこと、確か「試練を乗り越え資格を見せろ」、だったかな。


 次、『日が通りし光の先の導を進み』だな。日が通る、はこのゲームの設定いあった一番最初の闇を撃ち払った英雄のことだろう。導を進み、導はこの英雄が旅の途中で立ち寄った場所のことだろう。これを進み、と言うことは俺達は一度同じ道を通っているわけだな。


 『全の法を用い進み拓けた扉の先』、これは操作方法を確かめた後、チュートリアルを終えるために行った洞窟、そこに居たボスを倒して進んだ先のこと。


 『誕生を飾った儀式の向こう』、この世界観では冒険者とかになる実力を認められることを誕生って言ったりするんだ。一応王国の図書館の書物に載ってるからな。これの向こうだから、更に進んだ、さらに奥の方のことだな。


 『祀の祠を陰へと向かえ』、祀の祠って言うのは、お告げをくれた女神様の居る神殿、その陰に向かえってことは裏側に周れってことだな。


 『その先に、世の封を破りし珠は待っている』、まあ言わずもがなその先に宝があるってことだ!」


「つまり?」

「一番最初の洞窟に隠された道があって、その先にお宝があるってことだな!」

「なるほど、それにしてもこういうのの解析本当に得意だな」

「学者ですから」

「おk、納得」






 で、現在に至ると。


「実際に神殿の裏に道もあったし、問題はこのさきに目的のものがあるかどうか」

「まあ、あるんじゃないか?お前こういうの一度も外したこと無いだろ」

「それもそうだなっと、どうやら見えてきたみたいだな」


 暫く続いた暗い道の先、ついにその終点が見えてきた。暗い通路を抜けると光源がないにも関わらず、ぼんやりと光っている部屋に辿りついた。そして、その中央にある台座。その上にソレはあった。


「おおおおおおおおお!本当にあったぜ!」

「そうだな、お前自信無かったのか?」

「いや、そんなことはなかったけど、やっぱり実際に見るまで不安ってあるだろ?」

「まあ、理解できなくはないけどな」

「じゃあとっとと手に入れて帰りますか」

「ああ」


 実際に目的の物を見つけたという喜びで満たされていた俺は迷うことなく台座の上に置かれている琥珀色の玉に手を伸ばし、指が触れた瞬間、


「なんだ!?」

「うおっ!眩し!」


 台座に置かれたままの玉が突如目もくらむような光を放ち始め、俺達の視界をつぶす。目を瞑っていてもわかるほどの光に包まれてから、どのくらい経っただろうか、恐る恐る目を開く。


「もう収まったようだな…」

「ん?ああ、ホントだ…って、おい、ここにあった玉は?」

「は?まだ回収してなかったのか?」

「ああ」

「じゃあ、消えたってことか?」

「そうなるんじゃないか?」

「おいおいおいおいおいおい!!なんだよそれ!今回のはハズレだったのか!?」

「まあ落ちつけ。そんな毎回良いことばかりとは行かないだろ」

「チッ、しゃあない、帰るか」


 と、自分たちが持っている鞄から帰還用のアイテムを使用しようと自分の腰辺りに手を伸ばした時、初めて自分たちの違和感に気付く。


「あれ?鞄どこ行った?」

「あ、俺も無い…」

「装備もお粗末な物になってる!」

「うわぁ…マジだ。というかこれ初期装備だろ…」

「そう言われればそうなるな…」


 次々と出てくる問題に頭を抱える俺達。一旦何が起きているのか整理しよう。


「で、結果は装備もアイテムも無くなった、おまけにアバターが現実の容姿と同じものになってる」

「スキルは健在だったが、バグ報告として運営に連絡を取ろうとしたものの…」

「メニューが開けない、だったか?」

「ああ。しかし、だ。今いる場所は間違いなく玉のあった場所と同じところだな」

「じゃあ、メニューが開けず運営にも連絡出来ない状態になって、ゲーム内に取り残されたってところか?」

「結果で言えばそうなるな」

「なんだよ、それ…とんだデスゲームじゃねえか!」



 しかし、この2人、アバター名トシキこと 中島(なかじま) 俊紀(としき)、アバター名ユウジ、 九重(ここのえ)悠司ゆうじはまだ知る由もなかった。2人に何が起こったのか、そしてこれから来るであろう数々の冒険や、乗り越えたはずの不遇が再び訪れることを…








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