プロローグ
「マジ?」
俺のそんな呟きは遠く続く一本道に吸い込まれていった。
気がついたら、一本道の上という不思議すぎる状況になった。
ポケットに手を伸ばし、そこから一枚のお札を取り出す。
表には両端と中央に描かれた円が曲線で繋がれている絵が描かれてあり、
裏面に『我使うもの、万物を合わせるものなり』との文があるお札。
お札と知っているのは、拾った時にあった男がそういったからだ。
『今からあんたは厄介事に巻き込まれる。
だから、その御札を駆使して生き残ってくれ』
この御札を拾った時に会った男がそう言っていたのを思い出す。
なるほど、俺はあの男の言うとおり厄介事に巻き込まれたらしい。
正直に言おう、厄介事にも程が有るというものだ。
気がついたら見に覚えのない場所にいるなんて普通はありえないはずだ。
そんなありえない厄介事なんて、どこかの物語の中だけにしてほしい。
が、今俺の身に起こっているということは、そういってはもらえないのだろう。
今の現状が理解不能なため、パニックは吹き飛んで、何処か思考は冷静だ。
「なんとか人を探そう」
ため息の後にそう言って自分を切り替える。
男に言われたとおりならば、ここで生き残らないといけないのだろう。
が、どちらにしろ一人でいては死んでしまう。こちらは一般の高校生だ。
一緒にいてくれて、頼りになる人間。それを見つけなければならない。
後、家が見つけられれば万々歳だ。俺は虫が苦手だからな。
「がんばろう!」
両手を大きく叩いて気を引き締める。
そして、当たりを確認しようと周囲を見た時、
自分の真後ろには熊とも見紛えるほど大柄の猛獣がいた。
俺には今日は厄介がついて回るらしい。
そんなことを、折れそうな心のなかで呟いた。