世界の出来方
エリーのフル・フラットが何だかしぼんでいるような。それって精神的な理由で髪型が変わるってこと? いやこれは多分、私がエリーがしおれているように見えているせいだと思う。
この状態でエリーにティーカップを持たせてみたい。
かなりガチャガチャ鳴るんじゃないかな?
今は私が外部から強制的に「不信」を行っている感じになるのか。ゲーム的に言うと、それは「幻術」とかの魔法を打ち破るための心構え。
だからこそ、エリーにはここからセービングスローを行って欲しい。+3ぐらいの修正が入っても良いんじゃないだろうか?
……なんて、無益なことを考え続けたんだけど、エリーはまだ判断が出来ないみたい。それなら“これ”も追加するか。
「……あとこれは、エリーが体験してるかどうかはわからないんだけど、私、その違和感について『図書室』でも試したんだよね」
「……図書室?」
お。反応があった。
では、説明を続けよう。
「私、多分『図書室』でも同じ違和感が発生するだろうと思ってたんだよね。何故なら中に入ってやることは一つだけ、と定義できるから。トイレは用を足す。図書室では本を読む。その結果を与えておけば人はそれで納得できる」
「それは……んん? ……で、どうなったの?」
「違和感はあったよ。確かに読んだ。情報も手に入れた。けれど、本当に本読んだのかの確証はもてない」
「それは最初から疑ってたからでしょ?」
「じゃあ、ゲームの中で自由に本が読めた? 凄い数の蔵書があったよ。その一冊一冊に膨大な情報が詰め込まれてる。それでも読めた?」
「読めないわよ。図書室はむしろイベントが起こる場所で……一つ一つの本の内容までは……」
そう。
「図書室にはたくさんの蔵書があった」。その情報と背表紙が並んだ本棚のビジュアルがあればゲームではそれで済むんだよね。
イベントがある時は、それに手を加えれば対応できるだろうし。
私の説明でエリーが揺れている。フル・フラットも揺れている。
けれど、しおれてはいない。
ティーカップを手に取ったけど、震えてもいない。
私の説明が整理されてきたのだろう。そして、私の説明が目指す場所を探り始めた。
「じゃ、じゃあ……君は《《ここ》》がどういう世界だと思っているの? 転生して別の世界――ってわけでもないみたいだし、さっきからゲーム制作者って言葉もよく出てくる。となると君はここがゲーム世界で……いやそれは私も同じなんだけど……」
「そうだね。『ゲーム世界』という言い方だけでは、区別がつかないだろうね。区別をするためには、こう捉えなければ。『世界の出来方が違う』と」
「出来――方?」
「そう。エリーはこの世界が別次元か何かで、元の世界とは関係無いと考えてる」
「それは……そうだね」
「でも私は違う。この世界は日本人が過ごしてきた世界にあると考えてるんだ。だから今は同じ世界にいるゲーム制作者が、この世界を俯瞰していると思ってる」
まぁ、ゲーム制作者という保証はないんだけど、一番蓋然性が高そうであることは間違いないし。




