ジョーの側からの答え合わせ
次元の力を借りる前から「乙女ゲーム」するつもりは無かった。
恐らく、こういうゲーム世界であることにも、途中で気付いたし。
う~ん、どうしたものかな。
ちゃんと説明した方が良いんだろうか。エリーが弟との愛の日々を目指しているのなら、盛大に水を差す可能性もあるしなぁ。
でも、ここまで情報を提出するだけでなく、性癖までも詳らかにしてくれたエリーに黙っているというのも……
「ねぇ、どうするの? それで、わたしも考えなくちゃだめだし」
それもあるか。
じゃあ、今度はこっちから説明するしかないな。
多分、エリーにも協力してもらわないとダメだろうし。
「……わかった。こっちも随分長くなるけど、私がこっちに来てから何をしてきたのかを説明する。それが無いと、今私がやりたい事も理解してもらえないと思って」
「うん、それはOK。下準備ってわけね」
確かにそうだ。図書室通いを優先させたことが生み出した副産物だな。
そこで私は、ハラー村での生活を説明を始めた。
デルフリ村については「アルプスの少女ハイジ」の知名度を信じて、名前を出してみる。
「あ~、あの村ね。確かに似てる気がする」
「え? ハラー村知ってるんだ」
「アウクスブルク」入学から始まると思ってたんだけど。
「あ~~、二年の夏季休暇の時に里帰りイベントがあるのよ」
エリーの中の人は最初主人公を通して、この世界を知ったわけだから、そういう事もあるか。
ただこれで説明しやすくなったことは間違いない。改めて色々確認出来る。
……一年の夏季休暇はイベントじゃないのか? とかさらに引っかかりが増えたりもしたんだけど!
とにかく、そこから《聖女》の力と、うんこ聖女についての説明に繋げる。
「……ちょっと待って。そのお下品な聖女って何なの? そんなことしてたの?」
「してました。というか現在進行形です。堆肥は今も発酵中だし」
やはりゲームの主人公には堆肥という発想は無かったか。
「君、かなり無茶苦茶してるわね。それは寮の皆には……」
「当然、教えてるよ。人と関わらないようにすることは大事だったから。でもなぁ」
「でも?」
「皆、真面目で。収穫が増えるのなら、って興味を持つ人が多くて――そういえばエリーは《聖女》じゃないんだよね?」
「ああ、それ……うん、わたしは《聖女》じゃないわ」
となると、「アウクスブルク」に通う意味とは何だろう?
そんな私の疑問を察してくれたのか、エリーは肩をすくめながら説明を続けた。
「一応、領に戻って実務に付くパターンもあるけどね。基本は男漁り……は、言葉が悪いか。あれだ。出会いの場よ」
貴族同士のあれこれね。となると……
「王太子の改革で令嬢たちは、どっちかって言うと令嬢たちは迷惑してる? 《聖女》たちが混ざったから、授業でもやることが増えて」
「それもそうなのよね。だからエルネストはますます貴族から嫌われるってわけ」
でも今は、エリーが婚約者じゃないから、王妃になる可能性もあるわけで。
……やっぱりエリーも結構やらかしてるな、これ。




