「乙女ゲーム」は「おしん」で良いのか?
このゲーム、割と整合性がある。鉱毒の発端がテセウスが戦死した戦いだって言うなら、「アウクスブルク」に入学した時にはもう手遅れじゃないとおかしくなる――
――それならまず確実に、鉱毒については全部のシナリオで起こるイベントのはずだ。
「気付いたか。そうなのよね。エルネストのシナリオの時も、これ重要になるわけ」
「貴族連合と、エルネストの戦いになるんだよね。そこに鉱毒騒動が起こるなら……」
貴族連合が弱体化するのか。領地からの収穫が少なくなるわけだし。
というか王国全体が弱体化する? それで王国はグラナドス侯爵家をはじめとして、カーディス地方も離れてゆき……
「エルネストシナリオを一言で言うなら?」
「それはね……ええと、『再構築』かな?」
なるほどね。
王家の威厳が低下して位置的には中央だけれども、地方軍閥の一つになる感じになるんだ。
それは確かに「無茶苦茶」だ。そういう中で《聖女》のやることは鉱毒に侵された大地の再生になるんだろうな。
「乙女ゲーム」だからエルネストと結ばれて、手と手を取り合って共に苦労をしようっていう感じか……
……う~ん、「おしん」?
いや、「おしん」は確か連れ合いには恵まれなかった展開のはず。
となると「おしん」よりはマシか。それが救いになるとは思えないけど。
「……じゃあヘクターの時も同じ展開になるんだ」
「大筋ではそうなる感じかな。ただ、そっちのシナリオではグラナドス領の方では食糧危機にならないじゃない? というか増産になるでしょ?」
同意を求められても。
素直に頷いておくけど。
「すると今度は、グラナドスから王国への援助が始まるのよ。っていうか、そういう方針を主導するのが主人公ってわけ」
「つまり、テセウスのやらかしをそれで償うって感じか。で、グラナドス侯爵家にとっては『ざまぁ』気分になって、でも殺伐とした感じにはならない……」
で、そういう展開をひねくれているヘクターが受け入れて、グラナドス侯爵家で重きをなしていく、と。
これはヘクターの成長譚になりそうだ。まだ、話もしてないから、どれぐらいひねくれているのかわからないけど。
となると残り一つ――一つ?
「ギルはねぇ。あれは本当にわかんない。ただ、カーディス地方からの救援、みたいになる展開はヘクターと同じ」
私の逡巡に構わず、エリーが話を先に進めた。
「中央が危機になるでしょ? それで商売になるって、手を伸ばすのよ――主人公が」
「は? 私が?」
「そういう理屈でもないとギルは助けようともしないのよ。苦労してる中央を朝笑ってる感じ」
うわぁ。それは思い切ったキャラ造形だこと。
図書室で会った時も一体何をしていたのか。鉱毒についてもう把握してるとか?
それで丹念に調べて笑おうなんて「悪」だねぇ……って、ちょっと待って。
「……それで、クレッソン侯爵令嬢の役割は? 全部のシナリオに出てくるんでしょ?」




