鉱毒の被害は二重の意味で連鎖する
鉱毒!?
完全に意表を突かれた。鉱毒、鉱毒か……いや、それなら確認したいことがたくさん出てきた。
というかエリーに詰め寄りたいことが。
「お茶いる?」
「……もらおうじゃないか」
この辺りで仕切り直しも必要だろう。
湯が冷めない、という便利な魔法の道具でエリーに紅茶を淹れ直してもらう。
「――順番に確認していて行くことにする。鉱毒って言うけれど、その大元は前の戦いでグラナドス侯爵家が狙った鉱山でいい?」
「うん、正解」
フル・フラットを揺らしながら、エリーが紅茶を淹れてゆく。
貴婦人っぽい、と思ったけど、そもそも貴婦人って紅茶を淹れるものなのかな?
「それだと、鉱山を採掘する権利があるのはジャコメッティ伯爵だと思うんだけど……」
「うん、ごめん。その辺りはよく覚えてない。ただ王家が中心になって鉄を掘っていいるって話は覚えてる」
鉱山だけ直轄領にする感じかな? あり得ない設定ではないか。
「じゃあ、じゃあ……グラナドス侯爵家が負けたことによって、王国は鉱毒を? それだと王家は『勝ってはいけない戦争に勝った』?」
そんなことを口走ってしまうと、お茶を入れていたエリーの動きが止まる。
「……君は本当にこのゲームしたことないの? その『勝ってはいけない戦争』って台詞、あちこちのシナリオで出てくるんだよね」
「ああ、この台詞は『銀河英雄伝説』っていう作品に出てくるんだよね。シナリオ担当が、銀英伝知らないって言うのはまずあり得ないから」
「銀……うん、それは確かに聞いたことあるわね」
さすが銀英伝。知名度は中々高い。
いや、そんな事よりも、この世界の戦争についてもっと確認しないと。
お茶を淹れ終えたエリーに詰め寄っていくと、鉱毒被害が発生するまでは、段階があったようだ。
グラナドス侯爵家の反乱は王家というか王宮を牛耳る貴族連合にヒステリーを誘発させたらしい。でも、グラナドス侯爵家を除いてしまうと魔獣に対抗することも難しい。
そこで躍起になって、鉄を掘った。周辺環境の悪化に気を配ることもなく。
鉱山を廃坑にしてしまって、グラナドス侯爵家が食指を動かさないようにと思ったのか、もっと締め付けてやろうと思ったのかはゲームでは説明されていないようだ。
そしてその結果として、王国は鉱毒に侵される――
「……となるとテセウスの頑張りが王国を弱めたってことにもなるのか」
「うん、それがジョーの動機にもなるわけよ。ジョー関係無いのにね。で、ジョーは《聖女》でもあるから……」
《聖女》の力で、鉱毒に侵された大地を清めるって寸法になるんだ。
……どうやるのかわからないけど、ゲームでは《聖女》はそういうことが出来たんだろう。今は検討も出来ないしスルー。
話を元に戻して、それらの要素を組み合わせると――
テセウスの頑張りで鉱毒が溢れることになった。
そこで娘が贖罪のように頑張るという事になるわけで――
「――その鉱毒って、ヘクターシナリオだけに出てくるイベントじゃないよね?」




