「ここはグリーン・ウッド」を知らない世代
「実は……メアリーが実質的な当主の座にいるのって、ギルがそうし向けたからなの。だからログレス家を牛耳っているのは、本当はギルってわけ」
……ほほぅ。
これはあれか。
「スケバン刑事」の、というか神恭一郎の最初の敵組織、「猫」と同じ感じの組織図なのかも。
いや、それは無理があるか。
出来るだけ無理を無くすためには……
「ひょっとしてカーディス地方で、チンピラやってたとか? ええと……つまり不良少年やってたみたいな」
「あ、それ当たり。やってた、じゃなくて今でもそんな感じなんだけど」
そうなんだ。「アウクスブルク」もえらい奴を引き込んでしまったらしい。
あ、それで「内職」か。何かを企んでいて、校外の手下と連絡とり合ってる、みたいな?
その点をエリーに確認してみると、
「多分、そうだと思うわよ。そんな感じの手下がいる、ってシナリオに出てくるから」
「なるほど……それでギルバート・ログレスの目的は? 学校を潰そう、ってこと?」
「いえ、そういうんじゃなくて、はっきりした理由が無いみたい。気まぐれで学校に行ってみることにした、っていう感じのキャラなのよね」
ありそうなキャラ造形と言えるのかもしれない。
危険な香りを漂わせるキャラが、日常に倦んでいる、なんてのも王道と言えば王道だろう。
ただ、そうなると――
「攻略する時はどうなるの? カーディス地方でゴタゴタが発生するとか?」
「それはないわね。ギルはカーディス地方の裏社会を完全に締めてるから」
それでもトラブルを起こすのがシナリオというものだと思うけど……それにそのままだと、
「結局、主人公がやることが無くなるとおもうんだけど……」
「あのシナリオはね。ヒロインのやることは『更生』。ギルの更生の手助け、というか指導? そういう役目になるのよ」
そう言われれば、わからないでもない気もするけど、私はそんな役目ごめんだ。
でもまぁ、シナリオに振れ幅があることは良い事だし。
そこで私は何となく、ギルバート・ログレスの顔を思い浮かべながら、紅茶を口に含んでみる。
思い起こせばギルバート・ログレスは随分たれ目だった。
つまり――
「たれ目のツッパリ……池田光流だな」
「今なんて言ったの?」
あ、いけね。
思わず口に出していたか。
「それを説明するには『ここはグリーン・ウッド』っていう漫画を説明しなくちゃならないんだけど」
「え? 漫画の話なの? そのタイトルもわかんないし」
そうか~
「ここグリ」がわからない世代か~
多分そうなんだろうな、と思っていたが「ここグリ」も知らないって事は、そういう事なのだろう。
だがこれはこれで面白い。
話の途中だけど、少しだけ広げてみよう。
「じゃあ『天使禁猟区』とか『われら混線合唱団』はわかる?」




