長い「報告会」の始まり
で、三日後――
思ったよりもかかったな、というのが私の感想。日数がかかったことで、説得力が増すと考えたのか。
それともちょうど休みになったのか。
はい、そうです。
図書室通いが「もうええでしょ」というタイミングで、休みになったんだよね。
ハラー村でも律儀に守られていた「日曜日」という感じの休みです。
「アリスの為に鐘が鳴る」は日本のゲームらしいし、そういった背景がわかってしまうと、とりあえず納得は出来る。
「それで、理解出来たの? 三日しか経ってないけど」
「ゲーム始まる前のプロローグぐらいは。図書室に全部書いてある攻略本があるはずないし。そこまでは期待してない」
自分で言ってから、このゲームに攻略本はあったのだろうか? という疑問に襲われた。ファンブックという名の原画集とかでもいいけど。
それも確認しないとなぁ、と思いつつエリーが淹れてくれた紅茶に口をつける。
今日の報告会は突発的なものではないので、こういう準備も出来るらしい。
侯爵令嬢、それも「悪」の助けを借りまでもなく、寮ではそういうシステムがあるらしく、今はエリーの部屋での「報告会」というわけだ。
見かけ上でも、実質的にも、まさに「報告会」という感じなのは、なかなか便利。
用意されているのは「紅茶」だけではない。アフタヌーンティーセットみたいに、銀のトレイを重ねたような食器がテーブルの上に鎮座している。
クロテッドクリームとかスコーンとかが載ってるやつだね。
だから用意されていたのが「紅茶」なんだろう。
「珈琲」はないのだろうか? これもまた確認しなければならない。
「それもそうね。各国の歴史とか、そういうのはマニュアルにあった気がする。それがわかったってことか」
私の返答に対して、エリーは納得したと言わんばかりに応じてみせた。
ちなみに今日はフル・フラット状態。アフタヌーンティーセットを返さなくちゃだめだから、フル・フラット形態を維持しているのだろう。
……パブリックイメージを大事にしたい方針があるようだ。
いや、それよりも!
「待って? これってリーヒルト王国が舞台の話のはず。“各”国ってどういうこと?」
「あ……そうか。先を知らないんだ。ええと、これから大変になるのよ。国の形は残るんだったっけ?」
マジか……そんな状態になるのか。
「図書室で手に入れた知識だと、何だか安定してるみたいな感じだったけど」
無駄な抵抗になりそうだとは思ったけど、一応そう返してみる。
「三日間」の苦労もあったし。
「実はね……今の段階で王国はかなりやばいのよ。ここからのシナリオの流れ知りたい?」
「うん。そのための図書室での下準備だから。ゲームを新鮮な気持ちで楽しむ、なんてことは期待してない」
「そうよね……うん、じゃあ説明するわ」




