きっかけは不意に現れる
とまぁ、そんな感じが当面取り込むことになる授業内容なんだけど。
これって私の「多分、こういう方向性になるんだろう」という見込みが入っている。始まったばかりだからね。
始まったばかりだから「運動」といわれる授業についてはマジで走るだけだった。
リーン女史もそうだったけど、本当にパーツごとに仕上げていく感じ。今の段階では本当に「体力作り」が目的なのだろう。基本中の基本というわけだ。
私みたいに田舎出身者にとっては、何ら意味が無い感じの授業だったわけだけど、貴族の令嬢たちにとっては、歩き続けることも大変だったみたいで、かなりヘタっていた。
新入生だからね~、という理屈は言い訳になるのかどうか。
授業の時間は違うので、はっきりとはわからないけど、男子の方ではこんな情けない状態になっていて欲しくはない。
貴族の子弟なんだから戦う事もあるんだろうし「魔獣」なんて存在まであるならば、運動不足なんて状態は避けていただきたい。
しかもエリートなんだし。
……でも「乙女ゲーム」なら、その点は心配しなくても大丈夫な気がする。
そこで私が改めて注目したのは言うまでもなく「エディット・クレッソン」というわけだ。
授業になれながらも、彼女の観察も忘れていません。
貴族の令嬢で「悪」である彼女の運動神経は如何に――?
~・~
ええ、かなり良い事が判明しました。
何か、ちゃんとした運動をしていたというか。何と言えばいいのか彼女には「運動部」といった雰囲気があるんだよね。
体操服という概念が無いみたいなので、当然ジャージもない。
その代わり「乗馬服」と言えばいいのかな? 長めのキュロットみたいなボトムズで、それをブーツに入れる感じの出で立ち。
言っちゃうとニッカポッカみたいな感じ。
上はセーラー服みたいな感じだね。
そういう日本人にとっては、いまいちピンとこない出で立ちでありながら、彼女は佇まいが「運動部」という。
これは単に彼女が「運動」しただけではなく、何か「武道」というか戦闘訓練を積んできたような過去が見える感じなんだよね。
「悪」らしく、敵を圧倒するような「強さ」がそこにあるような……
だけど。変わらず「エディット・クレッソン」は私を避けてている。
これはもう偶然ではない。私の姿を見てから、回れ右したこともあるし。
だから私が、どんな風に「中の人」の存在を確認しようか? と頭を捻っても、そのとっかかりも掴めなかった。
だからこの日――「運動」の授業が終わり、更衣室へ向かう時に私がその瞬間を目撃したことは全くの偶然と言えるだろう。
……いや、これは「幸運」なんだろうな、やっぱり。




