探ったり学んだり
……とは言っても。
やはりいきなり「エディット・クレッソン」に接触する事も出来ない。
せめて、中に誰かいることをきちんと掴まなくては――うん、それが出来なければ、接触出来ても多分身の破滅。さすがに死罪とまでいかないと思うけど。
それも「ゴール」の一つの形、と開きなって考えてみても、そういった「ゴール」では「採用」されないだろう。
何しろ、
――「クレッソン家の令嬢は中に別人が入っています!」
なんて訴え、そのまま狂人の振る舞いだし。それに狂人エンドを目指すには、あまりにも前振りが足らない。
「うんこ聖女」に関しては……使えるかもしれないけど。
でも、それは基本的には無理があり過ぎるだろう、という事で、私は「エディット・クレッソン」の中に人がいる証拠を集める、という方向で行動を開始することにした。
同時に授業なんかも始まるので、その生活になれながら、という理由もある。
ハラー村にいた頃に受けていた授業は、言ってしまえば「読み・書き・そろばん」といった基本的なところ。
この「アウクスブルク」では、そういった部分を復習しながら、新たな学科が加えられる。
その中で一番多いのは、歴史・地理と言った日本では「社会」の範囲になる科目だ。王国を運営するにあたって、必須な知識と良いだろう。
そうなると教える教師たちはどういう身分なのか? という疑問が出てくるが、多分、実際に王宮で仕事をしていた官吏なんだろう。
いや現役という可能性もあるかも。歴史はともかく地理は……
「社会」と来たからには「理科」と行ってみよう。
と言っても、それよりは専門的なのかも。
まずハーブや薬草について体系的に学ぶ感じみたいだ。これは《聖女》教育の一環になるんだろうな。
各地方の《聖女》たちは実地で、それなりの知識を蓄えている人も多いみたいで。
それを改めて整理していく感じだ。
そういった植物に関して学ぶのは、地球では「本草学」という学問の範疇になるんだろう。
もちろん、私はさっぱりわからないので学べることは素直に嬉しかった。
多分、こうやって知識を蓄える事によって《聖女》の力は効率的に使えるようになるんじゃないかな?
あるいは、そういう仕様になっているというべきか。
だから本当はレルなんかが「アウクスブルク」で学ぶのが一番だと思うんだけどなぁ。この辺りはもう少し詰めて考えてみよう。
そういった「理科」の範囲では、なんとこの世界、単純な「猛獣」では無くて「魔獣」と呼ばれる生物がいることも判明した。
「魔獣」というものは魔力が生物に変異をもたらした、と定義づけられてるみたい。
……巨大熊も、そういった存在が下地にあったんだろう。多分。
で、そういった「魔獣」が出現して、王国防備のための苦労を受け持っているのは《《あの》》「グラナドス侯爵家」と言うではないか。
この王国――複雑すぎないか?




