それは「悪」そのものだった
その印象を、先に言葉にしてしまっても良いのなら、それは「不良」という事になる。あるいは「スケバン」。
当時の日本人の感覚を優先させるなら「茨城」って感じだ。
何しろ制服が白ですらない。かと言って男子と同じような黒でもない。
黒に近いんだけど、灰色っぽいというか……もはや「制服を改造した」のレベルではない事は確かだ。
で、改造の範疇に収まる変化と言えば長めのスカートに、スリットが深く入っているところ。もちろん「学生らしさ」というものは全然無い。
足元は先がとがった黒光りするハイヒールだし。
そうなってみると、制服であるはずのショートコートはもはや「短ラン」にしか見えなくなってしまって。
もちろんジャラジャラと鎖を纏っていますよ。
それはアクセサリーには見えず、喧嘩用の武器に見えてしまうのが何ともはや。
ここまで決めているのに、髪型も自然であるはずがない。
彼女の制服と似たような色の――多分この髪色に制服の色を合わせたんだろうな――黒灰色の髪は9:1ぐらいに分けられていた。
それで、9の側の髪を目一杯逆立てているわけだ。
実は私が最初に驚いたのはこの髪型で、見た瞬間にこう思ってしまったんだよね。
(フル・フラットだ!)
って。
ええ、ポセイダルの愛人である彼女です。
何だか「フルフラット」という名前の競走馬もいるらしいんだけど、そっちは私、全然知らない方面だから。
やっぱり彼女を見て思い出すのは愛人「フル・フラット」の方なんだよね。
そしてあの髪型、再現するとわっさわっさと揺れて、とんでもないことになることに気付いた。
コスプレとかした人はいるのかなぁ?
スプレー一つで足りるのかどうか。
で、瞳の方がまた特徴的で。
何しろ瞳孔がない。私が確認出来なかったと言った方が良いのかな?
瞳の色自体は山吹色というか優しい黄色で。でも瞳孔が無い。
となると思い出されるのは「春歌ちゃん」。ええ、「うたプリ」のヒロインにして驚異の作曲能力を持った彼女です。
それは確かに「乙女ゲーム」っぽい要素なんだけど、他の要素と組み合わせると、何とも妖しい。得体が知れなくなりすぎるというか。
妖しさを感じさせるのは、その瞳だけでは無くて、服の上からも窺えるボディラインの発達さ加減も一役買っている事は言うまでもない。
そもそもスカートのスリットが、そういう役目だし。
で、とどめとして彼女は紙巻を差し込んだ煙管まで持っているんだよね。
これがまぁ、似合っているというか何と言うか。
そんなわけで、もはや彼女は「悪役」では収まらない。
「悪」そのものに見える。
それが私の「エディット・フールミ・クレッソン」の第一印象だった。




