クレッソン侯爵家について
だからこそ、というわけではないけれど、知りたいからといって男子寮に忍び込もうって判断にはならなかった。
それに基本的に構造は女子寮と変わらないと思うし。
食堂、リネン室、学習室、交友を育むためのホールなんかは共通してるはずだし、もしかしたら男子寮は一人部屋ではなく二人部屋――人数が多いので――になっている、ぐらいの変化はあったとしても、それぐらいだろう。
何しろ私は当面「エディット・クレッソン」に夢中になる予定なのだから。
男子寮については後回し。いるだろうイケメンたちも後回しだ。
そこで改めて「エディット・クレッソン」について聞き込みをしてみる。
何せ、彼女はこのゲームの「悪役」なのだから、他の生徒たちもその存在を知らないはずはない!
……という、見込みだけで動いてみたわけだけど。
何せ手掛かりは「エディット・クレッソン」という名前だけだからね。
でもそれが、見事にビンゴだったようだ。
やはり「エディット・クレッソン」は悪役。はっきりしてんだね、という感じで見事に評判は芳しくない。
そもそも「クレッソン侯爵家」自体があまり評判が良くないみたい。
北の海にある「イル・ラーリア島」がそもそも未開の地で、そこを開拓した結果、王国の領地に編入されたっていう歴史を持っている――
――らしいんだけど、どうも流刑地だった気がする。アメリカやオーストラリア的な。
そこは後々調べてはっきりさせたいところだけど、どうも王国内地からは「イル・ラーリア島」が一段下に見られる風潮があるみたい。
きっぱりと山育ちで田舎者の私の方が扱いが良いというか。
それなのに「侯爵」なんて地位になっているのは「イル・ラーリア島」は貴金属の鉱山を抱えていることが判明したからで。
それによって、王国でも重要な地位に就くことになったわけだけど……
ま、はっきり言ってしまえば「成金」という悪口が、そのまま適用されてしまう。
それが「クレッソン侯爵家」というわけだ。
しかしこの王国、南の「グラナドス侯爵家」ともトラブル起こしてるのは確定的に明らか。だってそのせいでテセウスは戦死してるんだし。
北の「クレッソン侯爵家」と南の「グラナドス侯爵家」。
「クレッソン侯爵家」とは別に諍いにはなってないようだけど……
……大丈夫なのか、この国
さて、そんな「成金」の「クレッソン侯爵家」の令嬢である「エディット・クレッソン」。その経済力をバックにわがまま放題、みたいな感じかと思ったんだけど、どうもそれとは少し違う。
特注の制服で「アウクスブルク」に通わせてもらう、という話だけは聞こえて来るのだけど、それは贅沢とか奢侈とか言うものではなく……
……これは実際に見てみないと判断できないな。




