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胸のエンジンに火がついた

 忌々しい「エディット・クレッソン」という名を見てしまったことが原因なんだろうな。私、日本人だった頃から積極行動の原動力が「怒り」だったみたいで。


 胸のエンジンに火がついてしまった。


 だからまず、しばらくは生活の場でもあり、ゲームの舞台でもある「アウクスブルク」をちゃんと理解しようと思い立ったんだよね。


 「オーシャンズ11」でも、まずはカジノの設計図入手から始めたわけだし。

 時にノワールものは、実践的な行動の指針になる。


 というわけで「アウクスブルク」の立地から。


 「アウクスブルク」は「首都トレヴォロ」では西に寄った場所に存在していた。トレヴォロを北から西へとかすめて流れてゆく、テレ河に添うようにして建てられているようだ。


 印象的には「郊外」という雰囲気の場所に建っている感じ。

 かといって高級住宅街という感じもない。人口の増加に伴って、開発された区画というあたりなのだろう。


 では、最初からあったに違いない王宮、というか「城」は街の北に寄っている感じだ。

 小高い丘の上に建設されたようで、立派なランドマークになっている。


 そこから丘を下るようにして町が発展してゆき、私は馬車に乗って通り過ぎただけだけど、そこから南門への道路がそのまま目抜き通りになるようだ。


 当然、商店街や職人街。それに教会とかもあるんだろうとは思うけど、これは後々調査の必要性があるだろう。

 諦観に支配されていた私は、かなり時間を無駄にしてしまった。


 でも「アウクスブルク」については、まだ調べることは出来る。

 というか女子寮についてだね。


 まず入寮者の数が、女子だけで百人といったところ。

 多いのか少ないのかはわからないけど、男子の方が多いのは名簿から見て間違いないので、女生徒だけでこれなら多い方なんじゃないかな?


 貴族の為だけの学校ではないとのことだったけど、それが有名無実になっていないのは、やっぱり《聖女》の存在があるからなのだろう。

 女子がここで学問を修めても官吏になる道は……それについては後から調べよう。


 で、女子寮は学校の西側に建設されていて、男子寮はその反対側。

 この辺は日本人的にとっても常識のある構造だ。男女の別がしっかりとある。


 「乙女ゲーム」的に考えても、男子寮が離れていることで、何かしらのイベントを起こしやすいからね。


 ……「乙女ゲーム」では異性の寮に侵入するなんてイベントは無さそうだけど、侵入してくるイベントはありそうだ。

 もしかしたら、そういうイベントを起こしやすいから、一人部屋という設定になったのかもしれないなぁ。


 やはり、本気になって調査してゆくと色々気付くことが出てくるものだ。

 改めて考えてみると、この世界は作り物かもしれないが、私は割と好きになっている気もしてきた。

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