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忌まわしきその名は「エディット・クレッソン」

 名簿に載っていた名前は正確には「エディット・フールミ・クレッソン」。

 その名前ではよくわからなかったので、寮母さんに尋ねてみると、彼女――将来的にはやはりこの女子寮に入る予定らしいので――は「クレッソン侯爵家」の令嬢であるらしい。


 では、と、その「クレッソン侯爵家」についても尋ねてみた。

 すると「クレッソン侯爵家」の領地は、リーヒルト王国の北に位置する「イル・ラーリア島」全土を治める大貴族だという事。


 それを聞いて私は、リーン女史が仕えていたという伯爵家の領地とは、海を挟んでお隣になるのかな? という感じの地図を頭の中で描いてみた。


 学校が始まったら、地図を探しても良いだろう。

 エリート校なら、地図ぐらいあっても良いと思うし。


 そして「クレッソン侯爵家」が大貴族であるというなら、その家の令嬢である彼女は「悪役令嬢」たる資格は十分持っているということだ。 


 それに何より「エディット・クレッソン」――という名前だ。

 ミドルネームを省かせてもらうと、日本人にとっては何ともなじみ深い名前になるからだ。


 私はこいつの名前は絶対に忘れない。

 出来る事なら、この手でとどめ――いや、こいつには死すら生ぬるい!!


 このバカがフランスの首相だって言うんだもんなぁ。

 だからこそ私はフランスを全否定できる。こいつを首相に選んだ奴らも同罪だからな。


 「西洋洋菓子骨董店(アンティーク)」では、


 「フランスは個人主義の国」


 なんてことが描き文字で説明されていたけれども、そういう理屈は免罪符にもならない。

 選挙で選んだって事は、選んだ側にも責任があるって事だからな。個人主義がどうとか、そんな理屈は通用しない。


 ……ただ私、フランスの「大統領」と「首相」の違いがよくわかってないので、首相は選挙で選ばれてない可能性はあるのかもしれない。


 それを日本にいる間に確認しなかったのは、この「エディット・クレッソン」がクズ過ぎて、出来ればフランス全体が悪いということにはしたくなかったからなんだろう。


 で、ここで冷静にならなければならないのは、今名簿に載っている「エディット・クレッソン」と、私が知っているゴミであるところの「エディット・クレッソン」は別だという事。


 そして、そんな呪いのような名前を持つキャラクターが、この世界(ゲーム)に登場するということだ。

 つまり、この事実によってゲーム制作者の横顔が見えてくるわけで。


 適当に名前を付けたら「エディット・クレッソン」という名前になった?


 そんな偶然、信じられるはずがない。

 制作者は「エディット・クレッソン」という名前の意味を明確に把握して、その名をゲームで使用したに違いない。


 そして「エディット・クレッソン」という名が相応しい役どころとは――


 ――そう。「悪役」でしかありえない。


 ……正直、令嬢なんて立場ももったいないぞ「エディット・クレッソン」には。

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