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実は事情聴取だったりする

 巨大熊は退治された。さほど被害が出る前に。

 これについては、全く喜ばしいことなので私は嬉しそうにしなければならない。


 「悪巧み」に関しても、あるいは私の望み通りの結果であるとも言えるのだが……とにかく現場を見ていないのが痛い。

 そこで私は足りない情報を手に入れるために、ゲルトおじさんとカルツ卿に直談判することになった。


 その結果、事実上この二人を家に呼び出したような形になってしまったのは、理由が二つある。


 今回、私が提案した罠は、熊退治に実に有効だったらしくて、功労者の言う事だから報わねばならないだろうという心理が二人に働いたこと。


 そしてテセウス経由で、カルト卿もゲルトおじさんも、私にしがらみがあったという事が一番の理由になるだろう。

 何なら、そのしがらみはお母さんにもあるからね。


 熊退治が済んだので旧交を温めよう、何て理由も働いたのだろう。

 お母さんは何だか頑張って食事の用意をしていたしね。村が半ばお祭り状態で、冬の貯えを使ってしまいそうな勢いなんだけど。


「……では、深刻な怪我人はやっぱりいないんですね」

「そうですな。その傷も《聖女》が癒してくれたので、全く問題ありません」


 彼は確実に貴族の範疇だと思うんだけど、カルト卿は平民である私たちにも随分丁寧だ。乱暴なところは何もない。お母さんの質問にも真摯に答えてくれる。


 綺麗に髭もあたっており、粗野な雰囲気は微塵も無いし。


 今は鎧を脱いで平服状態なので、椅子の横に立てかけた剣が無ければ本当に貴族には見えないだろう。


 ……にしてもレルはやっぱり凄いな。


 私はここ最近、全然《聖女》らしいことしてないからな。


「で、ジョーは何が聞きたいってんだ? そういう話だったよな」


 鳥のもも肉を齧りながら、ゲルトおじさんが切り出してくれた。

 これは助かる。


「えっと、熊との戦いはどんな感じだったのか、詳しいところを知りたいなって思いまして」

「何でだ? 上手く行ったのはわかってるんだろ?」

「まぁまぁ。何か思うところがあるのでしょう。さすがテセウスの娘という感じですな」


 酒も用意してくれたお母さんに感謝。

 カルト卿の方が乗り気になってくれた。


 そこでまずはカルト卿から武勇伝を聞く流れになり、そうなるとゲルトおじさんもアレコレ口を出して来る。

 やっぱり戦友みたいな関係なのだろう。


 カルト卿の語りは吟遊詩人が奏でる勲詩みたいに朗々としていた。

 そこにゲルトおじさんがツッコんでゆく感じだ。


 巨大熊がゲルトおじさんの狩猟小屋に入り込む。

 それを確認した見張りが、手筈通り狼煙を上げ、やがて巨大熊を狩猟小屋ごと包囲して……


「寝床を温めるための火が消えたのは確認したんですよね?」

「うむ。それでまずは私が突撃した」


 はい? 何だって?

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