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そうしろと囁くのよ。私の中の日本人が

 どこで熊と《聖女》の恵みが繋がったのかはわからないけれど。


 畑や果樹園で採れる物を余さず収穫することが出来るとは誰も言えないだろう。

 野生動物が、そういった農作物を盗っていったことは度々あるというし。


 それがこのハラー村であれば、そうやっておこぼれにあずかっていた野生動物たちも、お腹を満たすにしても随分効率が良かった事だろう。


 そしてそうやって栄養を蓄えた草食動物を、熊が食べるという食物連鎖。当然、熊も効率的に栄養を取ることが出来、体が大きくなったと。


 ……熊は雑食性らしいけど。


 とまぁ、そんな理屈が熊が住んでいる山奥で成立したのではないだろうか? というのがハラー村の顔役たちの推測。

 で、その大元をたどれば《聖女》がもたらした恵みにある、という事になる。


 それもまぁ、理屈は合ってる。

 だがそれは《聖女(わたし)》のせいではないというのも、当たり前の理屈だ。


 だが誰もがその理屈で不安が抑えられるかというとそんなこともないわけで。

 ゲルトおじさんはその危険性を感じて、熊の存在を秘密にしておこうと。


 で、ハンナおばさんは、秘密にすると良からぬことを考える者が出てくるから、さっさと知らせた方がいい、というスタンス。


 これに関して、私はハンナおばさんの判断に分があると考えた。

 こういうの内緒にすると大体ろくなことにならないというのは、日本人である私の経験がそう囁く。


 それにこれで嫌われることになっても、それはそれで本望だし。


 ……ただ、お母さんには迷惑かけることになりそうなのがなぁ。何とかいい具合に収まる方向で考えよう。


 それについてはこの世界にも、改めての歎願がありまして。


 どういうことかというと熊が巨大化したのって《聖女》の力が濃縮されたせいではないのか? という疑惑があるからだ。

 食物連鎖の果て、動物たちの体内で毒素が濃縮されるというあれだ。


 いや毒ならまだマシで、これが放射能みたいなものだったりしたら?

 その放射能で、熊がミュータント的に巨大化していたとするなら?


 《聖女》の力=放射能


 なんて推測が「当たり」だった場合、それこそ本当に打つ手がない。

 だから世界よ。その方向性での構築は勘弁してくれ。ただ栄養状態が良かっただけ、という事にしてくれ、とお祈りするしかないわけで。


 ……こういう時「いただきます!」のスーパー小麦とスーパーイナゴの見開きが思い出されるのは何ともはや。


 「いただきます!」のように先物取引で金を稼いでいる場合ではない。

 そういう取引がこの世界にあるのかはわからないけれど!


 だが、手をこまねいて祈っているだけというのも性に合わない。

 それにこういった事態を改めて考えてみて、当然とも言える対応に思い当たった。


 まずはそこから手を付けてみることにする。

 一応コネもあるし。まずはロート村に行ってみよう。

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