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災厄さえ育てる恵み

 熊。熊か。日本の動物園で見たのはシロクマであって……リアルでは見たことないな。ただ、この村の周囲に現れることもあるとは聞いている。

 ゲルトおじさんをはじめとして、猟師稼業のおじさんたちが退治してるみたいだけど。


 ……日本でも熊騒動が大変だった。


 その点、ハラー村は自然と共に生きているので、熊ときちんと生存競争をしている。人間だけを勝手に上位に位置すると決めつけて、保護しようなんて言い出す人は誰もいない。


 言い出したら、マジで追放されかねない。


 でも、それをわざわざ私に伝える必要が――


「――もしかして吹き溜まりがあることで熊をおびき寄せてしまったとか、そういう事ですか?」


 だから閉鎖しなければならない、とか?


 そういう事なら、それは私に伝えておこうって話になりそうだ。


「ああ、いいえ、そういう事ではないのよ。それにどんな危険な熊だってあそこには近づかないと思うわ。動物は近づけないんじゃないかしら? ほらクンツだってそうでしょう?」


 クンツというのはハンナおばさんの家で飼っている犬の名前だ。

 要するに鼻が利く動物たちにとっては、堆肥の臭いは耐えられないと。


 地球ではどうなのかはわからないけれど、あの臭いはこっちの世界ではそういう扱いらしい。


 となると吹き溜まり閉鎖という話では無いようだ。

 考えてみれば吹き溜まり閉鎖という話なら確実に私への用事だ。そうするとハンナおばさんも休日を選んでくることもないだろうし、村長が告げに来る気がする。


 ……となると、一体何だろう?


「村の近くにいる熊が、特別なんですね。狂暴とか、体が大きいとか」


 同じ疑問に行き当たっていたらしいお母さんが、ハンナおばさんに具体的な例を挙げながら尋ねてくれた。

 そういえば、さっきから熊についてそんな形容詞をつけて話していたなハンナおばさん。


「ええ、そうなのよメラ。狂暴かどうかはまだはっきりしないんだけど、とにかく大きな熊であることは間違いないみたいでね。爪の跡が随分高いところにあるってゲルトが」


 そしてハンナおばさんは、お母さんの言葉をほとんど肯定した。ゲルトおじさんがそういう見立てをしているなら、きっとその見立ては正しいのだろう。

 そんな熊が村の周りに出没しているとなると……一体どうすれば良いのだろう?


 《聖女》として何かやること、出来ることがあるのだろうか?

 怪我の治癒とかも出来るって話だったけど。


 ゲルトおじさんは、私がそこまでやらなくてもいいと思っているから、私に話さなくても良いと判断したのかな?


「あの、もしかして」


 私が考え込んでいる間に、お母さんが話を続けた。


「その大きな熊は、うちの村の食べ物で大きくなったんじゃ……


 あ。


「ええ、多分そうじゃないか? っていう話になっていてね。村が豊かになると、こういうことが起こってしまうのねぇ」


 そして、ハンナおばさんが再びお母さんの推測を肯定してしまった。


 これは……マジでヤクい?

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