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精神的鍛練もフォローしております

 とまぁ、多分割と実践的で本格的な教室に参加してから三カ月ほど。

 相変わらず私は歩き続けております。これ頭の上に本か何かを乗せた方がいいのかな? とも思うけど、それは日本人の記憶があるからそれを思い付くわけで。


 現状、手も足も出ません。


 それに、この教室の劣等性のままでいることは、狙い通りとも言えるので、結果として現れるこの学習意欲の低さも原因なのかもしれないなぁ。


 周囲の受講者たちの陰口は、もはや「陰」という文字を当て嵌めて良いのか悩むぐらいのボリュームになってきております。けれど、それについては馬耳東風の私の態度が原因であることは間違いないだろう。


 この陰口状態をリーン女史が事実上放置してるのは、本当に礼儀作法が役に立つような状況では、当たり前に存在するから、ちょうどいいと考えているせいなのかもしれない。


 心を強く持て、みたいな。


 ただそうすると私以外の受講者の精神(こころ)はどう鍛えるのだろう? という疑問に戻ってしまうわけで。


 ……ただこの疑問についても、私はなんとなく答えを見つけているような気がする。


                 ~・~


「どうして、ちゃんと説明しないのです? あなたは、その……つまり《聖女》の務めをこれ以上なく果たしているのだと」


 そう。

 陰口が誰かの精神を鍛えることが目的だとするなら、その誰かとはレルの事なのでは? というのが私の答えだ。


 リーン女史はそもそもレルに礼儀作法を教えることが目的だったはず。

 となれば、それが第一の目的として、他の受講者はそのために利用する考えがあるとしても良いのではないかと思う。


 それで他の受講者たちへの教えがおざなりであるなら問題だが、彼女は平等に厳しいので、レルのレベルになれば自然と扱いが変わってゆく可能性もある。


 そう。


 レルはもう受講も必要無いのではないか? というレベルで礼儀作法を修めているように見えるわけで。

 何しろ最初の受講者なのでそれも必然だ。


 そんなレルが私に受講するようにと誘ったのは、ロート村における私の評判の悪さに腹を据えかねて、みたいなことが動機だったみたいだ。


 真っ直ぐなレルらしい、と微笑ましい気持ちになる。


 ……けれど、策無しで私を礼儀作法教室(爆心地)に放り込むやり方もレルらしいという感じで、げんなりとも出来る。 


「そういうものはハラー(うちの)村でわかっていただければ十分ですし。それにレルも」


 リーン女史が他の受講者を指導している合間に、とうとうレルが私に直接的に詰め寄って来たので、準備していた言葉でそれを反らすことにした。

 

「君が知ってくれればいいんだ」


 という、ド定番の台詞の応用だが、定番になるだけあって効果は抜群だ!


 レルに対してもこの定番の台詞は狙い過たず、彼女の頬を染める。

 だが、レルの勢いは止まらなかった。


「あなたの力の恩恵は我がロート村にももたらされているのですよ? それをわからない者が多すぎるのです!」


 レルの猫のような目が、他の受講者たちを威嚇する。

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