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渡辺信一郎の歩き方と教育方針

 こうして体育会系の圧力によるものか。それとも私の意志が弱すぎて流されるままになってしまったのか。私は何となく――この「何となく」が大事だ――礼儀作法教室に参加することになってしまった。


 これは負担になるぞ、と最初私が覚悟を決めたのは、これが部活のようなものだと考えたせいだ。つまり体育会系が悪い。


 実のところ、この教室はよくて一月に一回開かれるぐらいの頻度で行われており、部活のようにほぼ毎日、なんてことはなかったのである。


 考えてみればそれも当然で、この世界の文明レベルでは家事一つとっても時間がかかる。毎日毎日、それもすぐには役に立たない礼儀作法の習得に時間を費やすわけにはいかないわけだ。


 それは《聖女》認定されている、私とレルも同じ事で、特に私はロート村に住んではいないから、通うだけで時間がかかる。

 

 そんなわけで、行われるのは月の第三日曜日――という覚え方が有効になる異世界の歪さよ――という従来の開催頻度に私が加わるだけになった。


 月一で、三時間程習う。

 私の場合は往復でプラス三時間といったところになるが、それでもさほどの負担ではない。


 後は習ったことを自分の家で復習してゆけば、暇つぶしのタネにも出来るというわけで、強烈に辞めなければならない、という動機も生じづらく……


 とまぁ、そんな感じでなし崩し的に、参加し続けることになってしまったわけだ。


 不満というか、見込み違いといえば、復習という名の自主練習が出来るほど具体的なことを教えてもらっていないという事だ。


 だって、ずっと歩いてるだけだもの。


「背筋を伸ばして」


 とはよく言われるけど、具体的にどう直せばいいのかは言ってくれない。

 リーン女史は歩き続ければ、自然に直ってゆくという自然治癒の信奉者なのかもしれない。


 その点、私は渡辺信一郎監督の信奉者なので、歩き方が自然に猫背になっている可能性が高くてですね。

 ビバップでもダンディでも歩く姿だけで格好良い。


 ……いや、あんなに猫背にはなっていないと思うんだけど。


 で、他の受講者はどんな具合なのかというと、私と同じようにひたすら歩いている者。それからカテーシーをはじめとして、基本的な挨拶。


 さらにはテーブルマナーとそれに伴う優雅な仕草に、身体を動かす練習、あとはダンスという事になるだろう。


 そこが形になると、上位者に対してはどうすれば良いのか。

 下位者に対してはどう振る舞えばいいのか。


 その辺りを座学で学んでゆく感じだ。

 実践と座学。順番、逆じゃない? とは思うけど、身に付けた動きにどんな意味があるのか確認していくことで、さらに精度が増す――


 ――というのがリーン女史の教育方針なのかもしれない。

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