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成果が実感できない仕事はつらい

 本題とは、


「《聖女》の力が羊毛に効果があるかどうか?」


 という事になる。


 言葉にするとずいぶん具体的だけど。やってみると一気にあやふやになるなこれ。

 だって羊の毛が伸びたかどうかなんて見た目ではわかんないし。


 ……それを言うなら、小麦だって成長しているのかどうかわかんないんだけど。


 それでも羊の群れに近付いておこう。

 この年齢では、割と命懸けだな。


 パウルおじさんがフォローしてくれたけど、10分もそうやっていたら、何だか色々と虚しくなってきた。


「これで成果があれば良いんだけどねぇ」


 と、白髪交じりの髭を揺らしながらパウルおじさんが呟く。

 やっぱりおじさんも虚しさを感じましたか。


「あの、牧草が育ってるとか、そういうことは関係ありますか?」


 虚しさを打ち払うように、そう言ってみると、


「そりゃあ関係無いとは言えないよ。でも、それで羊たちがどうにかなるというのはねぇ」


 結局そこだよなぁ。

 変化があるのかどうかわかんないんだもの。


 効果があるとしても、それが実感できるのは何時の事になるのやら。

 パウルおじさんなら、その見込みも出来そうだけども――


「何だ! 何をしてるんだ?」


 突然、胴間声が響き渡った。

 こんな声の持ち主は、ゲルトおじさんでしかありえない。


 片目を眼帯で覆い、顔にも傷がある古強者(ベテラン)みたいな容貌。

 私は多分だけど、ゲルトおじさんはテセウスの関係者だと思ってる。


 で、村での役割は猟師だったりする。

 姿を確認すると、今日も弓を装備しているので、仕事の途中で顔を出したのだろう。


 私、というか子供たちがこの放牧地にいることで珍しく思ったようだ。

 パウルおじさんとオットーおじさん、二人掛かりの説明を受けて「なるほど」なんて頷いている。


 テセウスの関係者なら《聖女》について、色々知ってるんじゃないか、なんて思うんだけど……


 ゲルトおじさんはパウルおじさんと話し込んでいる。


「それでそっちは?」

「ああ、そうだった。あっちの吹き溜まりがどうもな。いらん奴らが集まってくるかもしれん」

「そうか……じゃあ、村のもんみんなで片づけるか」


 何だか危機管理の相談があったようだ。

 だとすると、この場に現れたのも好奇心に釣られて、だけではないみたい。


 帰りにゲルトおじさんがいう「いらん奴ら」というのが野生動物――農作物に被害を与える類の――だという事を教えてもらい、やっぱりハラー村に危険は似合わないらしいと、私は確信してしまった。


 ゲルトおじさんの風貌に引っ張られたせいもあるけど、


 いらん奴ら=ゴロツキ


 って想像したことに比べれば、圧倒的に害獣でも圧倒的に平和と言えると思う。


 もしくはハラー村がそういう「仕様」である可能性だ。

 私はまだ、ヤクいことにこの世界の正体を決めかねている。

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