復讐を誓う
ここまでも予想通り。とは言っても落ち込んでいるエリーを見ることが、この説明の目的ではない。
だから「ファンブックは発売されなかったのか?」とかは訊かないでおこう。
「プレイすればわかる。面白いに違いない。エリーは二コラの可愛さに夢中になったんだろうけど、それだってゲームの魅力だよね。コアなファンがいることでそれはわかる。ただ――売り上げだけは付いてこなかった」
ラーメンハゲの名言思い出すなぁ。
「いいものなら売れるなどというナイーブな考えは捨てろ」
だったかな?
そうなんだよ。そんな簡単には行かないものなんだよなぁ。
だけど、それで素直に納得できるかというと、それも別な話で。
「それでどういうコネがあるのか、あるいはとんでもない資金力があるのか。その辺ははっきりしないけどゲーム制作者が復讐を誓った」
ここは強引だけど、そういった前提で私は話を進める。
「復讐……って? どうやって?」
「それは明白だよね。今度こそ『人気ゲームにしてやる』ってこと」
「でも……『アリスの為に鐘は鳴る』はもう……」
そこで私は魔法の言葉を唱えた。
「リブート」
「リブート?」
あ、これは知らないのか。
「簡単に言っちゃうと『作り直し』ってことだね。ゲーム制作者はこのゲームに思い入れがあるんだと思う。“それもひとかたならぬ”ね」
「それでこんなことをしてるっていうの? それはちょっと……」
まぁ、そうなるか。
エリーの瞳孔の無い瞳に、不審さが浮かんでいる。
この辺りは確かに論理が飛躍してる……のかもしれない。
だから私はここでもう一度魔法の言葉を唱えた。
「AI」
「AI? ええっと、人工頭脳だったっけ? それが何?」
「今までなら、恐ろしく手間もかかるし、たくさんの人が協力しないと出来なかった事もAIを使えば、随分手軽に出来るようになる。例えば複数のキャラの過去を詳細に設定し、実際にそういった過去を経験させるとか」
この状態で「今なら」っていうのも変な感じだけど。
ここは日本人の感覚に戻ったという事で。エリーの中の人も、自然とそういう感じになってるみたいだし。
「AIがあって……それがわたしたちの思っている以上に発展してて……」
エリーが私の説明を自分で組み合わせ始めた。
もうしばらく黙ってみようか。
「すると、えっと……ゲーム制作者っていうか――ああ、それで制作“者”なのか。全員で復讐しなくてもいいんだ。誰か一人がこだわっているだけだとしても……」
気付いてしまったようだね。
ではそこに重ねてみよう。
「そのこだわってる人が、コネがあったり凄い資産家である確率は、多分天文学的って事にはならないと思う」
なりそうな気もするけど、この場はエリーを納得させればいいんだから、ここは強気で押し切ろう。
そんな中、エリーが深々とため息をつきながらこういった。
「……わかった。そっちの説もあるとしましょう。で、それがどうしたの?」




