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祈りの痕跡、忘却と継承のはざまで / プロローグ

もはや京は夢の亡骸だった。そして、それは確かに、“終わった”はずだったのだ。

だが――。灰の下には、まだ赤い熱が残っていた。

岡崎の一角では、焼け跡に老庭師が椿を植え直していた。かつて仕えた公家の屋敷の名残をたどるように、静かに土を掘り、苔を敷き直していた。

近くの町家では、若者たちが和琴と笙の音合わせをしていた。古楽の稽古場は仮設の板張りだが、耳を澄ませば平安の風が吹いた。

消えかけた灯を、誰にも見えぬ場所で、わずかに繋ごうとする者たちがいたのだ。

明治二十八年開催予定の「平安遷都千百年紀念祭」

それは忘れられた都に再び灯を点すための、あまりにも壮大な祈りだった。

古都再生の名のもとに掲げられたのは、京の未来を賭した巨大な設計図。

その成就は、二人の男の魂に託された。

二人の対話は、時に静かで、時に烈火のようだった。その熱は、まだ礎も築かれていない岡崎の土に深く、深く染み込んでいった。

「私の最初の記憶は二人の男の溜息から始まる。 

一人は私に『永遠』をもう一人は『心』をくれようとしていた。

やがて、都は目を覚まし始める。それは再生の物語であり、忘却と格闘する都市の現在にも続く記憶の物語である。


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