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「アクアリウムのその中で」

第一章です。よろしくお願い致します。

「いらっしゃいませ~!!」

ここは田舎の小さなアクアショップ。

色んな熱帯魚がいて、綺麗な水草水槽があって良い店だ。


そんな私の名前は(めぐる)来世(らいせ)

22歳。社会人。

短大を卒業後、この職場に就いた。

いつも優しい店長さんと奥さんに教えられながら楽しく働いていた。




……そう、今日までは。



「このままは気不味いので巡さんは、やめていただく方向性で……。」

いきなり言われ、一気に背筋が冷える。どうやら私は退職しないといけないらしい。言いたいことは山のようにあるが、私が言えるのはただ一つ。

「確かにそうですね。わかりました。いままでありがとうございました。」

次の日から私は退職に向けてお客様に挨拶や、準備をする。そんな毎日。

でもこれも今日で終わり。

「今までありがとうございました。また遊びに来ます。」

そうお礼を言い、二年近くいた職場から去る。

また遊びに行くなんて嘘だよ。そう思いながら私はその場を後にするのだった。



きっかけは一年くらい前で些細なことだった。

店長が「処女なの?一人でしたりするの?」


と、聞かれた時、全てを悟った。あぁ、私はこれからこれが日常になる。心の中で悟ったんだ。

それからは酷かったなぁ。

「巡さんは耐性なくてかわいいね。」

「いつかやらせてよ。」

「下着買わないの?買ってあげようか。」

「俺には長年培ってきた技術テクニックがある!」

「女性の気持ちのいいところ、知ってる??」

どんどんエスカレートしてきて、最後にはエロゲを見せつけられたところで、私は限界だった。

それを奥さんに相談してやめることになったのだった。

普段は尊敬してて追いかけたいと思っていた店長さんだっただけに、とっても残念だった。

なのでここから去りたかった。


……のだが、何も転職先も引っ越し先も見つかっていないのに、爆速でやめる運びとなってしまった。

「流石に納得がいかないよなぁ。」

でも仕方がない。そう切り替えるように私は頬を叩く。

今日から新しい生活が始まるのだ。くよくよなんてしてられない。

そう考えながら歩いていると突然覚えのある感覚に襲われる。


まただ。たまにある、廃れた水槽に溺れる感覚。

元気のない時だけ襲ってくるので精神的なものなのだろう。

でもあれ?今日はなんか違う。いつもはここで正気に戻るのに、どんどん沈んでいく。

息が苦しい。声も出ない。段々閉じていく目の中に現れたのは色とりどりの水草と熱帯魚達。

例えるなら、アクアリウムの中だった。

漠然とした不安の中、走馬灯のようなものが頭を巡る。

捻くれていて、屑で、最後までだめだめだった。そんな私の人生。

徐々に意識が薄れていく。

ごめんね、

あぁ、ほんとに私は……

言葉にならない声を出し、私の意識は消えていったーーーー





「ーーい」

遠くから声が聞こえる。

「おーーい!」

どんどん近づくその声はかわいくて、不思議と落ち着く声。

「おーーい!起きてってば!ねぇ!」

はっきりとした透き通った声を聞き、私は恐る恐る目を開ける。

眩しさに眩みながら、辺りを見回す。

声の主と目が合う。

「あぁ、よかった。やっと起きた!」

青ともいえぬ、完全な紫とは違う。まるで紫陽花の花のような髪色の長い髪を持つかわいい女の子が、私をまじまじと見つめていた。

異国の少女だろうか。日本では見たことがない髪色だ。

それに透き通った紫色の瞳。凄く凄く綺麗で、気づいたら私は見惚れていた。

ふと、私は正気に戻る。

(顔が、ち、近い……!!)

私の目の前に彼女の顔がある。

恐らく未成年であろう幼い顔つきの彼女とこんなに近いのは何か不味い気がする。

「ちょっと近いかも。もう大丈夫だよ。」

「あ、ごめんなさい!」

彼女は慌てて私の元を離れる。改めて彼女を見る。

紫陽花色の髪でハーフツイン。大きな綺麗な紫色の瞳を持っていて、童顔でかわいい顔立ち。服は純白のワンピースを着ている。身長は意外と高く、私より少し低いくらいだろうか。読モとかにいそうなかわいい女の子だ。

「あの……どうかしましたか?」

彼女は照れて困惑しながら私を見つめる。

「いや、かわいいなぁって思って。」

本音がぽろっと零れる。

それを聞いた彼女は誇らしげにそう言った。

「そうですよね!知ってます!」

どうやら随分楽しい性格をしているようだ。面白い子だなぁと思いながら、私は一つの疑問を口にする。



「ところで、君は……そしてここはどこ??」



彼女にばかり目が行っていて気付かなかったが私は知らない場所で目が覚めたようだ。

辺りは草原が広がっていて、見たことのない植物や、見たことのない蝶が飛んでいる。

まるで地球じゃないような環境に私は心躍る。

状況確認のために彼女に問う。そして予想できるある言葉を待つ。


彼女は待ってました!と言うように嬉々と説明しだす。


「私の名前はシュシュっていうよ。年齢はまだ内緒!でも成人してるよ。そしてここは裏球(りきゅう)。あなたが知っている地球とは似て非なる世界。あなたは死んでここに転生してきた。転生自体は空間の歪みで予測できるから、私は待っていたというわけ!!……あ、一応この世界に地球の人が転生しに来ること自体は数百年に一度で、そんなあなた達をこの世界の人は『使者』と呼んでいる。私はそんなあなたをサポートする『従者』なのだ!!」


説明を終え、えっへんとドヤる彼女、シュシュを微笑ましく眺めながら私は頭の中を整理する。

ここは裏球という場所で、地球とは違う世界。要するに予想通り私は異世界転生したようだ。そんな私のような存在を『使者』と言い、シュシュは私をサポートする『従者』らしい。

つまり、ここは異世界!!!!と私は心躍らせながら辺りを見渡す。この不思議な自然達は異世界のものなのか。生き物好きな血が騒ぐ。

思考をやめ、ちらと彼女の方を見ると、初めてだらけで感激し、喜ぶ私をニコニコと見つめている。

そういう目線に慣れない私は慌ててコホンと咳ばらいをし、話す。


「私は(めぐる) 来世(らいせ)。22歳。……んっと、とりあえず、これからよろしく、ってことだよね。色々教えてね。シュシュ。」


私の話を聞いた彼女は嬉しそうに目を輝かせて言う。

「私に任せて!!これから都市に向かうから歩きながら詳しいことを説明するよ。付いてきてね、らいせちゃん!」

わかった。と言い、私は彼女に付いて歩く。草原の端には薄暗い森があり、その奥へと私達は進む。

慣れた足取りで歩く彼女に尊敬の眼差しを向けつつ、私は彼女の話に耳を傾ける。


「この世界には能力があるんだよ~。まずその能力を開花させる為に都市にある教会に向かいまーす。」

「きょうかい?宗教とかの?」

私の質問に嬉々としながら彼女は話を続ける。

「そう!その教会!!この世界には女神様がいて、彼女が私達の能力を開花させてくれている。そう言われてるの。それは異世界から来たあなた達『使者』にも等しく与えられるもので、今からそれを開花させに行きまーす!今時風に言うと今日から、らいせちゃんも能力者ってわけ!!」

ふむ、そういう系か。私は納得して話を聞き続ける。


「『使者』であるあなた達にはここでの生活が約束される代わりにある目的の為に動いてもらうの。その目的とは異世界から来た魔物『異端魔(いたんま)』を滅すること。」

「『異端魔』……。」

「そう、『異端魔』とはらいせちゃんと同じく異世界から転生してきた人や動物なのだけど、一つ違うのは彼らに意思はなく、暴れまくり暴虐の限りを尽くすの。あなたと私達『従者』は彼らを浄化させてあげるのが目的。使命とも言うかな。軽く説明したけど理解できたかな?」

なるほど。つまり私は、私達はこれから一緒に行動し、『異端魔』を倒しつつ生活するというわけか。

納得しながら私はこう言う。

「わかりやすい説明をありがとう。能力を知るのが楽しみだね。」

褒められた彼女は照れながらこう言った。

「うん!……あ!都市が見えてきたよ!」

目線をやると薄暗い道の奥に一筋の光。眩しさに目を慣らしながら私達はその先に向かった。





広がるのは、私の想像する都市とは違う、でも何故か似てる、不思議な場所だった。

ビルのような謎の建築物が沢山あるが、土壁なのか木壁なのかよくわからない素材で出来ていて不思議な建物達。

お洒落なビルにありそうな、よくわからない噴水。

美味しそうな食べ物が売ってる屋台。都市の中にある商店街の一角ってところか。

でもわかるのはここが栄えていること。沢山の人間や見たことない動物が行きかい、良い場所だ。

なんというか、この世界に来てから全てが目新しい。

わくわくとした感情を抑えながら彼女に後を付いていくと、開けた場所に出る。

大きな庭の真ん中に大きなファンタジー風のお城のような建物。


その建物の目の前に来た時、疑問が口から零れ落ちる。

「もしかして、ここが……??」

彼女はニコニコと笑いながら頷き、言った。

「うん!ここが教会。これから、らいせちゃんの能力がわかるよ!」

嬉しそうに言いながら、彼女はドアを開ける。


広がるのは大きな礼拝堂。

奥に鎮座する、聖書のようなもの。

多分きっとこれが能力を開花させる祭壇のようなものってことか。


「普段は係の人がいるけど、今は誰もいないみたい。まぁ、誰もいなくてもあなたがいれば儀式は出来るから大丈夫!」

彼女は喋りながら私に本の前に立ってと言う。

「今から能力の付与を始めるよ。女神様、お世話になります。らいせちゃん、聖書に手をかざしてみて。そうしたらその能力の象徴と『使い魔』と呼ばれる相棒が出てくる筈。」

私は頷き、聖書らしいその本に手をかざす。

その瞬間、眩い光が辺りを照らす。私は驚き、彼女は目を輝かせながら本を見つめる。

まじまじと見つめると何か水の塊みたいなものと、カワウソのような生き物が出てきた。


すると、聖書の周りから女の人の声が聞こえてくる。この人が噂の女神様かな。とか考えながら私は耳を傾ける。

「来世さん、あなたの能力は、『アクアリウム』です。そしてその子は見た目の通りカワウソです。かわいい『使い魔』ですね。この世界では初の能力ですね。恐らく前世が影響しているみたいです。ふむ、興味深いですね……では、あなたの今後を期待しています。」

話を終えると声は消え、光も消えていった。

一緒に全てを見ていた彼女、シュシュが目を輝かせ話す。

「らいせちゃん、すごい!!私、女神さまがあんなに喋ってるの初めて見た!これは凄く珍しいことだよ!!」

「そうなのね。それは光栄なことだね!」

そう言いながら、目の前にいるカワウソに目を向ける。

目が合うとやっと話し終わったか。と言いたげな表情で喋りだす。

「おまえが、俺の主か。よろしく。」


それを聞き、私と彼女は硬直する。

((喋ったーー!?))

彼女は言った。


「らいせちゃん、この子、『使い魔』の中でも上級の喋れる子だよ!!すごい!!!!それにその能力……。」

私達は目の前の水の塊を見る。四角くて、まるでガラスのない水槽みたいだ。中では熱帯魚や海水魚が仲良く泳いでいて、水草とサンゴなどが共生している。どういう原理なのか不明だが、淡水魚と海水魚、淡水と海水の植物や生き物が共存してる不思議な空間のようだ。


『アクアリウム』という名前に納得のいくその塊は凄まじい能力を秘めていた。それに気付いたのはそれから数日後のすぐのことだった。


この能力は水生生物や植物を召喚し、一緒に戦ってくれるという心強いものだった。


これからこの能力を使いこなさなきゃ。そう思いながら私達の生活は始まったのだったーーーー

4~5時間前からいきなり書き始めました。文章は久々ですので暖かい目で見守っていただけると嬉しいです。これからよろしくお願いします。

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