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二つ星  作者: 蒼星
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昔々のお話です。ある大きな国がありました。

その国はとても裕福で争いもなくみな幸福に暮らしておりました。

ある日の夜、それはそれはきれいなお星さまが見えました。

そのお星さまがどうしても近くで見たくなった王様は臣下たちにこう言いました。


「あの星がもっと近くで見えるようにしたものに莫大な褒賞金を与えよう。」


それを聞いた臣下たちは大喜び。一斉に仕事にかかります。

その中で巫女だけはやる気がない様子。

どうしたのかと王様が聞くとこう答えました。


「あの星に魅入られてはいけません。あの星は災いをもたらします。」


その忠告をばかばかしいと思った王様は巫女の事はほっておくことにしました。

それから星を近くで見るために様々なことが試されました。

城よりも大きな塔を建てたり、魔術によって星を近づけようとしたり。

その影響でしょうか、最初よりも星が近づいてきました。

それを喜び王様はもっと近くもっと近くと星を近づけていきました。

そして星がかなり近づいたところで気づきます。

星だと思っていたものは星ではありませんでした。

星だと思っていたそれは王国に降り立ち、破壊の限りを尽くしました。

王国の国民はみな殺されてしまいました。

生き残ったのは王様に忠告した巫女だけ。

巫女は必死に祈りました。どうかどうか救いあれと。

その祈りが届いたのでしょうか。

大きな火をまとった人影が”それ”に立ち向かいました。

そして大きな火が燃え上がり、そのあとには何も残っていませんでした。

こうして星に近づいた国は無くなってしまいました。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


日が沈み皆が寝静まったころ、ある部屋の中から光が漏れ出している。

中には白髪の老人がいた。その老人は鬼気迫る様子で本を見続けている。

そこに気品のある一人の男が訪れた。


「サノス、今日もこんな時間まで調べものかい?」


老人は本から少し視線を上げ、誰がきたのか確認するとまた本へと視線を戻す。


「なんじゃアミールか。何も用がないなら帰っとくれ。今は忙しい。」


そういうサノスにはいつものような余裕が見受けられない。

いつもの彼なら少しおちゃらけて見せるがそうする時間も惜しいようであった。


「その調べ物はルドのためだろう?」


アミールの発言で本を読んでいた視線が止まり、代わりに彼を訝しむような視線を送る。

その視線に答えるように言葉が続いた。


「お前がそんな風に何かを調べ始めたのはあの二人が来てからだ。そしてルドには右腕に黒いあざのようなものが浮かんでいる。つまり魔素による浸食を受けているってことだ。」


「そうじゃから儂はこのように・・」


「ただそれだけじゃない。」


サノスは言葉を遮られ嫌そうにしていたが、アミールは気にせず続ける。


「魔素による浸食は体に悪影響は出ても変色か多少の痛み程度だ。どこまでひどくなっても腕が使えなくなるなんてことにはならない。」


「ああ、ふつうはそうじゃな。じゃが、ルドは特別な事例じゃ。じゃからこそ解決策を探すんじゃよ。」


「いや解決策ならもうあるだろう。手を切り落としてからもう一度回復すればいい。前にお前がやったようにな。それなのになぜしない?」


アミールに詰められてもサノスは何も答えない。

ただ静寂だけが二人の間に存在していた。

その静寂を破ったのはアミールだった。


「サノス、何か隠し事をしているだろう?それも俺にすらいえない事を。それはいったい何なんだ?」


アミールの青い瞳がまっすぐにサノスを映し出す。

瞳から感じられるのは疑念。そして長年共に過ごしたであろう友を案じるもの。

その瞳に映し出されたサノスは少しの間黙秘を貫くが、観念したかのように言葉を紡ぐ。


「お前の言う通りルドのあれは魔素によるものだけじゃない。あの右腕には昔話に出てくるような力が含まれておるやもしれん。」


「昔話って・・。まさか・・。」


「そのまさかじゃ。」


アミールはぎょっとした顔でサノスの顔を見る。

その顔には悲壮感が混じっていた。


「昔あったとされる凶星の話。今は亡き国のどうしようもない破滅の話じゃよ。」


「だがそれはおとぎ話のはずだ!」


「これはおとぎ話ではない。実際にあった話じゃ。」


アミールの顔がどんどん青白くなっていく。

それが恐怖によるものか、これから訪れるかもしれない未来への緊張からかはわからない。


「もし本当にあった話だったとしてだ、なぜ俺に隠していた?」


「まだ確証がないんじゃよ。なにぶん古い記録じゃ。公爵家にもないとすれば・・。」


「王家か、それとも魔導図書館か?」


「恐らくそうじゃろうな。さて、どうしたものか。」


そしてまた静寂が訪れる。

深く考え込んでしまうサノス。アミールは今告げられたことをどうにか飲み込もうとしている。

それからしばらくして今度の静寂を破ったのはサノスであった。


「賢人会に戻るしかないか。」


「はああ?おまえ、あんなところに戻るのか?」


賢人会。国内の名だたる魔術師たちの頂点。

この王国において、最上の魔術師たちのための組織である。

そこでは王家の許可さえあればなんでも許される。

また魔術にかかわるならどんな資料でも閲覧可能であり、国政にかかわる機会も少なくはない組織だ。


「今の情報だけでは確証も、ルドからあれを取り除く方法も分からん。」


「だが本当にいいのか?あそこにいるのをあんなにも嫌がっていたのに。」


「仕方ない事じゃよ。ルドのためじゃからな。」


「なあ、こんなことを聞くのも何なんだが・・、そこまでする必要はあるのか?

確かにあの子の事を助けてやりたいとは思うが、ほかにも方法があるんじゃないか?」


アミールの表情からはサノスの事をとても大事に思っているのがわかる。

その表情を見てサノスは悲しそうな寂しいような顔をして夜空を見上げ、こう言い放った。


「あれは()()()()じゃ。きっとあの子は一年と持たんじゃろう。」


投稿遅れてすみません。ライブに行ってました。

おもしろおっちゃん'sがものすごい好き(小声)


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