独裁者
彼らを憎んでいた訳ではなかった
嫉妬でも、怒りでもなかった
あるのは、蔑みの気持ち
私は違う
彼らとは違うと
同じ人間だと思っていなかった
彼らは虫けらだと
彼らは害虫だと教えられた
たとえ彼らを殺したとて
罪になるはずが無い
そう、自分がやっていることが正しいのだと思っていた
だから、引き金を引いた
少しもためらわずに
虫けらを潰す時のように
自分に痛みや後悔など無かった
それからは何匹も潰してやった
いつしか私は笑っていた
楽しんでもいた
彼らが頭を吹き飛ばして死んでいくのを見ても
恐怖に顔を引きつらせて命乞いするのを見ても
私は引き金を引き続けた
そして彼らは同じように死んでいった
私と同じ紅い血を噴き出して
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