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電話だお

夜勤業務を終え、僕の大切な眠りを妨げたのは虹男だった。

土曜日の早朝。

僕は夜勤業務を終え、自宅でくつろいでいた。眠い。

汗を流し、寝巻へと着替え、ベッドに入った。さて、寝よう。おやすみzzz

……

………

静寂というガラスを粉々に砕いたのは僕の携帯電話の着信音だった。

僕の着信音は某有名なデスメタルバンドの楽曲。釣られてヘドバンしてしまった。

次はモッシュ、拳を上げろ、頭を振れ、ダイブだぼけぇぇ

……!

はっ、と我に返って電話に出る。

「もしもし、○○(僕の名前)?」

「何だ、虹男か。何か用?眠いんだけど。」

あくびをかみ殺しながら、《虹男は早起きだな。まだ6時じゃないか、寝てろよ》などと思っていた。

「実は、俺、夜勤明けだんけど、ちょっと気分が高ぶって寝れないんだよね。」

興奮気味の声でそんなことを言う。

僕はすぐに見当がついた。

「もしかしてギャル子ちゃん関連?餅は餅屋。僕に言っても無駄だよ。寝ようよ。」

何度目かのあくびをかみ殺した。はぁ、眠いよ。

「まあそう言わずにさ、聞いてくれよ。今まで夜勤でずっと二人で作業してたんだよね。なんかシャンプーの良い香りがしてさ。手なんか触れちゃったりしてさ、もちろん偶然だよ。でへへぇぇ…」


始まった。

虹男の一方的な惚気話のろけばなし

僕は思わず、ため息をついた。もちろん虹男に聞こえるように通話口に向けて。

当の虹男はそんなことも意に介さないという風に、一方的に惚気まくった。なぜ片思いなのに惚気るのか不思議だった。

唐突に虹男が爆弾発言をした。

「でさあ、ゲーム辞めようかと思うんだよ。なんかオタクって思われたくないし。」

本人に自覚なし。それは虹男の存在否定じゃないか!と思う僕はひどい人間なのだろうか?

「ゲーム辞めたら虹男生きていけないよ。唯一の趣味じゃないか、生きがいだろ?」

僕は必死に説得しようとした。辞めたら虹男が虹男でなくなってしまう。

休日は半日以上ゲームセンターに入りびったたり、TVゲームをしている虹男。もはや虹男のアイデンティティと言っても過言ではない。それを辞めるだと!?

僕には正直、信じられなかった。恐ろしや恋愛。

「生きがいとか大げさだし、別にゲームだけが趣味じゃないよ。他にもあるよ。…きっとね。」

他にもと言ったが、それは含みを持たせたのか、それとも本当は他に何も無いのを隠しているだけなのか定かではない。

いい加減に眠さの限界を迎えた僕はこの終わりの見えない話を強制的に終わらせようと思った。

その刹那―

「あ、もう電池切れる。じゃあまた。」

そう言って一方的に切られた電話。結局、虹男のペースに巻き込まれたまま終わってしまった。

僕の携帯電話も音を立てて電池が切れた。何だか出し抜かれた感は否めない。悔しいような腹立たしいような…そんな複雑な心境のまま僕は眠りに落ちた。

時刻は8時を過ぎていた。



電話篇です。まだ続きます。

この後、現実では暫くこんな状態が続いたのですが、物語は時間を超越します。


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