第三話 第二王女
話の内容に少し矛盾があったので訂正しました。
次の日俺はまたしても依頼を受け、森に来ていた。昨日と同じくゴブリン討伐と薬草採取の依頼だ。ところが、ゴブリンの群れを討伐し終わって休憩していたところ比較的近くの方で爆発音が聞こえた。気になるので近くまで行ってみる事にした。
近づくにつれ、剣戟音も聞こえるようになってきた。そして、段々と人と馬車が見えてきた。少し離れたところで様子を見てみる。すると、どうやら馬車の方が襲われているらしい。よくよく見れば馬車にアステル王国の紋章が付いていて豪華だった。戦っている人達も護衛のようだった。
襲っている方は魔族だった。と言っても下級魔族だ。護衛の人達でも勝てるだろう。実際かなり押している。俺はそのまま、依頼に戻ろうとした時だった。
「おやおや、かなり押されている様ですね。ですが、私が来たからには待つのは蹂躙のみ。さぁ行きますよ」
戦場に一人の魔族が現れた。そいつは下級魔族よりも内包魔力が多く明らかな強者だった。実際そいつは中級魔族で護衛の人達には荷が重い相手だった。
「チッ…仕方ないか」
俺は勢いよく飛び出し、そのまま中級魔族の頭を鷲掴みにし、地面に叩きつけた。護衛の人達は新たな敵かと警戒していたが、ギルドカードを見ると警戒を解いてくれた。だが、最低ランクのFランクなので不安なのだろう、微妙な顔をしている。
「…てめぇ!よくも私の顔を傷つけてくれましたね…!お前だけは殺すッ!」
そう言って中級魔法のフレアバーストを放ってきた。フレアバーストは炎魔法であり、炎を圧縮してそのまま放つと言うシンプルな魔法だが威力が高く魔力量によっては上級魔法にまで匹敵する威力だ。
フレアバーストにはそれなりの量の魔力が使われていたので護衛の人達と馬車に結界を張り、自分は魔力で防ぐ。中級魔法を防がれた事に驚いたらしくポカンとしている。
「な…何故だ!?貴様らの様な下等生物に中級魔法が防げる訳が無いだろ!?しかも無傷だと!?」
「一々うるさいな。生物としての格が違うんだよ、格が」
少し威圧を交えながら言う。
「ま…まさか!貴様ァァァァァァ!!」
今ここで正体を知られるのはまずいので雷を落として消滅させた。そして、丁度戦闘が終わった頃に馬車から綺麗なドレスを着た少女が出てきた。
「やっぱりか…面倒くさい事になったな…」
「貴方が私達を救って下さったのですか?」
「……まぁな」
俺の態度が気に食わなかったのか、そばにいた執事が何か言いかけたが少女がそれを止める。
「私はアステル王国第二王女、アリア・アステル。アリーとお呼び下さい。この度私共を助けていただき感謝いたします。」
「ルインだ。俺はまだ依頼が終わってないからもう行くぞ」
「えぇ、今度お礼をしたいので王城に来て下さいね」
俺は返事をせずにそのまま走り去った。やはり執事は俺の事を睨んでいた。
結局この日はさっさと依頼を済ませ、宿に戻って寝た。
* * *
ギルドに行くとまずギルドマスターに呼ばれランクアップの話をされた。まぁこれは金が稼ぎやすくなるので承諾し、Bランクとなった。そして、国王からお礼がしたいから王城に来てくれと王城に招待された。これは断ったら面倒くさい事になるので渋々承諾した。
王城の中は広く案内が無ければ迷うほどだ。今はメイドに案内してもらっている。しばらく歩くと普通の部屋に入れられて十分くらい待たされた。
そのあと広間に通されて国王と対面したのだがなんせ俺は人間の礼儀など知らんから立ったままだ。その事に苛ついた貴族達が文句を言ってくる。
「王の前だぞ、跪かんか!」
「無礼にも程があるぞ!」
「まぁ、落ち着け。少しくらいの無礼は許そう。私はレグルスと言う」
国王がそう言い一時的に収まる。その後国王から感謝の言葉を言われ、褒美を与えると言われたので俺は
「第二王女とやらをくれ」
そう言った。その瞬間貴族どもの怒りが爆発。護衛の者を呼び俺を取り囲む
「どう言うことだ?俺は欲しいものを言っただけだぞ?」
「いくら娘の恩人とは言え、そう簡単には差し出せない」
「お父様、私はそれでも構いません。帝国の貴族に嫁ぐよりかはマシです」
「そうは言ってもな…」
「ん?何か勘違いをしているみたいだな。俺は嫁にもらうと言う意味で言ったのでは無い。その、なんだ…と、友達としてだな…」
「ハッハッハ!なんだそう言うことか!なら全然構わない。娘と仲良くしてやってくれ」
「国王様!いくら友人として出会ってもこんな無礼な奴などと」
「さっきから何が気に食わんのだ?」
「こいつは国王様や姫さまに対して、跪きもせず、挙句の果てにはタメ口で会話をしている。とても許容できるものではありません!」
「何を言っている。さっきから失礼なのはお前の方だぞ。ルイン殿はあの破滅竜ルイン・ブーゲンビリア殿なのだぞ」
「な…」
「そ、それは本当なのですか、国王様」
「お前は知っておろう。この私には鑑定眼があると言う事を」
レグルスが言うには生まれつきその人を見れば、種族から性別、身分と個人情報が分かるらしい。それで俺が破滅竜だと気づいたらしい。アリーは知らなかったらしく驚いている。文句を言ってきた貴族に関しては顔が真っ青になりブルブル震えていた。
「この情報はここにいるもの達だけの秘密とする。決して他言しないように」
そして、俺は疲れたと言って帰らせてもらった。帰る際、白金貨十枚をもらった。何でも形のある報酬があった方がいいから、らしい。
とりあえず受け取り俺は宿に帰った。色々と疲れたのでベッドに横になるとすぐに眠りについた。それはもうぐっすりと。