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こみゅにけーしょん…?


会話メインの息抜き回です。


 僕も、ラナンもアンスリも限界だった。戦闘が終わると同時に全員倒れ込み、横になる。

 仰向けになり、魂が抜けたようにぽけーっと口を半開きにして天井を見上げ、今の戦闘を振り返る。

 

 痛かった怖かった苦しかった。けど、楽しかった。


 「あ゛〜もうほんっとに最悪ぅ……あのイかれ野郎めぇぇ!見てよこの火傷!私のすべすべお肌がぁぁぁ」


 アンスリが悪態をつく。羨ましいくらいに元気、どうやらそこまで限界じゃあなさそうだ。


 「トキくぅん♡さっき飲んでた回復薬、私にもちょーだい♡」


 「ほい」


 可愛いだけじゃ体は癒されない。むしろ何でコイツこんな元気なんだよって少しイラッときた。


 「あり〜」


 テキトーだねぇ!?いいけどさ!


 アンスリだけじゃなく、自分と、ラナンの分も取った。これでもう残りは1本だけだが…多分、ショップに売ってるだろう。てか頼む。

 

 「ラナンさんもどぞ」


 「…ありがとう」


 受け取ったラナンはぐいっと飲み干すと、彼女の負った切り傷や火傷が即座に治っていく。流石に少し重い傷は治り切らなかったが血は止まったようだ。


 「…あの、トキさん。さっきはありがとう。庇ってくれて」


 「いやこっちこそ勝手にすんません。多分、避けれましたよね。むしろ邪魔したかなって」  


 「全然、そんなこと。それにトドメもトキさんがアイツを止めてくれたお陰で…」


 「いやいやむしろ…」


 互いに謙遜?と言うか、戦績を押し付け合っていたらアンスリから叱責が入る。


 「もうっ!勝ったんだからもっとドシッとしなよ!てか私は!?私も頑張ったよね!?」


 「お前何かしてたっけ?木の枝飛ばしたくらい?」


 「ハァ!?」


 それから1時間くらい、こんなバカみたいなやり取りをしながら休憩した。さっきまでの殺し合いが嘘みたいに明るく、楽しい時間だった。

 にしても、あんなに燃えた殺し合いはあの魚人以来かなぁ…うん、良いね…。


 「ねぇ2人とも話聞いてる!?」


 「先、進もっか」


 「ですね」


 僕たちは階段を登り、扉を潜って次の階に進んだ。


 ……………

 ……………


 なんだかんだでもう25階の攻略完了。今日はもうここまでかな。二人はまだ行けそうだけど、僕は辞めといた方が良さげ。貧血っぽい。


 こんなにハイペースで攻略できているのは、やはり彼女たちによるものが大きい。まぁ魅了無双っすよ。

 なんでも、魅了の魔法は使用者の美しさや魅力度の高さによって効果が上下するそう。なので、美の魔族とも称される彼女たち淫魔とは相性が抜群に良いらしい。


 さて。僕はもう当たり前のように受け入れてしまってるが……結局、魔法って何?


 「なぁ、魔法って何なの?」


 そう問うとアンスリとラナンが顔を見合わせ、う〜ん、と悩む。そして、アンスリが答えてくれた。


 「ん〜。魔法って言うのはねぇ〜。う〜ん。言葉にすると難しいんだけど…"法を刻む"って感じ、かなぁ?」


 「ほう?ほうって、法則とかのこと?」


 「そうそう。例えばそうだなぁ〜。あ、ちょっとコレ見へぇ」


 そう言ってアンスリは口を開き、舌を伸ばした。真っ赤で、鮮やかで、艶かしい。つまり…えっちだ。

 

 んっん!切り替えます。

 

 彼女が見て欲しいのは舌そのものではないだろう。その舌に刻まれた、植物―薔薇かな?―の紋様…知ってるもので例えるなら刺青に近いだろう。


 「その、変な紋様が魔法なの?」


 「そ。これは『縁結びの魔法』って言うの。刻まれた法は『言語の翻訳』。私たちが話せてるのもコレのお陰ってこと」


 なァるほど?法って言うと小難しいけど、つまり刺青すれば何か不思議な力が使えるって事じゃろ?くっそ便利じゃねえか。


 「魔法と魔術の違いって?」


 「えっとぉ…魔法は今のヤツみたいにあらかじめ体とかに刻ンどく。魔術は詠唱とかで、その場で法を刻むワケ。だから違うのは法を刻むタイミングだけで、結果は大体同じなんだよね〜」


 僕は多分微妙な顔で頷いた。まぁ正直どうでも良くね?だって狂戦士だし。

 いやでも、遠距離攻撃欲しいかも…うん、必要だ。もし飛べたりする敵が出たら何にも出来ないし。


 「魔法って僕にも刻める?遠距離への攻撃手段が欲しいんすよね」


 「無理ですよ」


 ラナンが即答した。否定が速い…!


 「そうだね〜。実は私たちの魔法、自分たちで刻んだんじゃないんだよね。これ、お母様が刻んでくれたの」

 

 「魔法を体に刻むのは超高等技術ですからね。どんな天才でも30年は修行が必要と言われるくらいなんです」


 30年っすか。スケールがデケェ。ファンタジーって感じするわ。


 「じゃあそのお母様って凄い人なワケだ」


 「えぇ。お母様は()()()()…まぁ簡単に言えば()ですから」

 

 さらっととんでもない事言うじゃねえか…。つーか上位存在ねぇ?僕は上位個体らしいけど、それとはまた別なのか。『上位存在』と『上位個体』……難しいのは嫌いなのぉぉ!もうこの話ヤメッ。


 「トキくんはほんっと〜に何にも知らないねぇ?私がセンセイになったげようかぁ?」


 うざっ。



 僕たちはお腹が空くまで雑談したり、少し真面目に戦闘について話し合った。

 ちなみに夕ご飯はカレーを食べました。美味しかったです。あと、ショップで造血剤(魔石2個)を買って飲みました。これで安心。


 「じゃあ結界張っとくねぇ」


 結界…まぁバリアのようなものらしい。アンスリは大体の魔法に適性があり、結構な数を刻んでいるが、普段は『隠蔽』の魔法で隠しているそう。

 魔法の天才のアンスリに対して、ラナンは淫魔では珍しい武闘派で、あまり魔法・魔術は得意じゃないそう。彼女は5歳の頃から鍛えていると語っていた。そりゃあ強いわけだ。


 「ダンジョンなのに安全地帯がないのはおかしいよね〜。少なくとも今まで一度も無かったし…何なんだろ、この塔」

 「それに、魔物がリポップしてないよねぇ」

 「それはトキさんの魔法なんじゃない?ほら。殺した魔物を魔石化するって事は魂の再利用を防げるでしょ?」

 「あ、確かに!それってめっちゃヤバくない?上位存在でもそんな魔法刻まないよねぇ……もしかして超越存在かも?」

 「まさか」

 「だよねぇ」

 

 や、ヤバい。めちゃくちゃ眠たい。何か大事な話をしてるような気がするけど、眠気ヤバいなぁ。薬の副作用かな?先に寝ても良いか聞いとこ。


 「めっちゃ…眠い、から。先に、寝ても良い?」


 そう言うとアンスリがまた揶揄ってやろうみたいな顔をしてたけど、ラナンがポンと肩に手を置いて止めたようだ。優しい。


 「はい、大丈夫ですよ。寝袋はもう貰いましたし。今日はお疲れ様でした、おやすみなさい」


 優しい。


 「おやすみ♡」


 「お、おう…おやすみなさい」

 

 何か、違和感?まぁ…ええか。


 僕は寝袋を開いて、潜り込み目を閉じると1分も掛からずに眠りに堕ちた。


 

 …………

 …………

 

 「どう?魔法刻んであった?」


 「全〜然。隠蔽の気配もないし、多分体には刻んでないんじゃないかな〜?」

 

 「じゃあ、何処?」


 「ん〜……体の()()。どっちかじゃないかな〜?もしかしたら魔法じゃなくて第六特有の可能性もあるし。ていうか魔法はお姉ちゃんの方が得意でしょ〜?」


 「ほら、私天才型だから。何となくで出来ちゃうから理論とかはちょっと、ね?」


 「はぁぁ」



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