ステータス
「お、おう。なるほどねぇ、あー最近流行ってるんだっけ?チート貰うみたいな作品」
めっっっちゃ気になる。さっきのゴブリンとか僕のスキル?と関係あるのか?直接関係なくてもきっとこれからの行動の参考くらいにはなるだろうし。
すると、まっちゃんが嬉しそうに言う。
「そうなんすよ!最近はもうね、主人公がチートなのは基本みたいな風潮あんのよ」
「あ、あと気になったんだけど日本に魔物が現れるってどんな感じ?」
「どんな感じも何もそのままだよ。ゴブリンとかオークとか知ってるでしょ?アレが突然街に現れる訳よ。そんで、そいつらが暴れだすんよ。ただの人間は戦っても殺されちゃうじゃん?でも、それに同時にこの世界の人は全員がジョブに目覚めんのよ!その中で主人公は無職っていうジョブに目覚めるんだけどそれだけじゃなくて「ちょ、ちょっと待って!」
僕は一旦まっちゃんの話を止め、文句を言う。
「まっちゃん早口過ぎなんだよ!まったく頭に入ってこないから!」
「へへ、悪りぃ。興奮しちゃって」
そこでタカシがジュースとコップを持って部屋に入ると同時に会話に加わる。
「なになに?何の話?」
「まっちゃんがアニメお勧めしてきたけど、喋るの早すぎてまったく分かんねぇって話」
「まっちゃんそういうとこあるよな。だから彼女にフラれるんだぞ」
タカシが共感してくれた。続けてまっちゃんの地雷を踏んでいく。
「それは別に関係ねぇから!」
「そうかぁー?」
「絶対あると思う」
僕とタカシ2人からツッコミを受けて、まっちゃんは咳払いして強引に話を戻した。
「ン、ン"ン"。それは置いといて、な。まぁとにかくアニメ観れば分かるから!みんなで見ようぜ!」
そういうことになった。3人でまっちゃんのスマホでアニメを見る。けどその前に、暑くなってきたのでタカシにクーラーをつけていいか聞き、OKが出たのでスイッチをオンにした。
「じゃ、いくぞー」
まっちゃんが再生開始のボタンを押した。僕は未だかつてないほど真剣にアニメを見る。
オープニングが流れ本編が始まる。
なるほど…
うーん?
ふむふむ。
「な、どうだった?面白いだろ?」
いろいろと気になるところはあるが大体理解した。
もちろん前提として、このアニメがフィクションであり、ただの創作物で、今の僕と完全に同じだとは限らないとは理解しているが、主人公の行動はかなり参考になった。このアニメの主人公、キサト君は所謂オタクで、ステータスについてや突然魔物が現代の街に現れるシチュエーションのラノベに詳しく、気になっていたスキルとステータスについて、分かりやすく教えてくれた。
ステータスとは簡単に言えば自分の強さを数値化し、持つスキルなどを確認したり、逆にスキルを得たりするものらしい。それとステータスを確認する時は声に出して言えば良いらしいので後で試してみる。
そしてスキルとは超能力みたいなものだろう。例えばキサト君は作中で剣術スキルを得た瞬間から剣の扱いが達人級に上手くなっていた。この辺は僕もゲームするので何となく分かった。
「どうだった!?面白だろ!?続き見てぇよな!?な?な?」
まっちゃんがかなり推してきた。僕も面白い漫画があったら早口気味になるけど、周りから見たらこんな感じなのか…。次からは気をつけよう。
「うーん、10点中5点くらいかな。作画が気になってねー」
「俺は6点だな。まあまあ面白かった?かも」
僕とタカシはアニメの評価を伝えた。
「低くね!?確かに1話は説明も多いしヒロインも出てこないけどぉー」
「なぁモン◯ンとスマ◯ラしよーぜー。アニメはもう良いってぇー」
タカシはさっき6点と言ったが適当だったのだろう。実際はかなり飽きていたらしい。
「あ、その前にトイレ借りていい?漏れそうなんだけど…」
「おういいぞー。部屋出て右だぞー」
「分かってるって、何回来てると思ってんだよ」
そう言い残して僕はトイレに向かう。もちろんステータスが確認できるか試すためだ。
早足でトイレに入り、扉を閉め、小声で言った。
「(ステータス)」
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水柳 朱鷺 職業:狂戦士 レベル:1
身体状態:通常
精神状態:通常
生命力:100
持久力:50
魔力:25
筋力:10
技量:5
敏捷:5
耐久力:10
精神力:5
知力:5
――――――――――スキル―――――――――――
狂戦精神 バーサーク 生命力強化 身体能力強化
――――――――――アビリティ―――――――――
生存本能 闘争本能
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出ちゃったか……どうすっかなコレ。