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怯える君らと新武器


 魔力を纏って蹴り飛ばす。魔力を込めて殴る。


 蹴ったゴブリンは折れちゃダメそうな骨が全部折れた音を響かせて壁にぶつかる前に死んだ。

 殴った拳は木人形の体を貫通し、核を砕き、向こう側に飛び出た。


 「うおおおお!喰らえぇ!」


 明さんがうるさい。


 「やばいよやばいよやばいよ」


 中村さんは某有名お笑い芸人みたいになってる。


 早く片付けよう。残りも少ない。


 残るゴブリン2体とネズミ3体を僕が早めに殺して、戦闘終了。


 「お、終わったぁぁ。生きてるぅぅ」


 「もうヤダ…」


 「お疲れ様〜。大丈夫?」

 

 戦闘を終えた2人に労いの言葉を送りながら、散らばる魔石を回収する。

 この5階の階段前のボス戦は、数が多かった。質より量のボス戦。


 僕は剣を明さんに貸したので素手で戦った。中村さんは僕の後ろで隠れて、それを明さんが守る。そういう陣形。


 「朱鷺くん水ぅぅ」


 「私もぉぉ」


 まあ魔石いっぱい稼いだからいいか。攻略サイトのショップで飲料水を購入し、みんなに渡す。僕は飲みかけのやつを飲み干した。


 「いやぁ〜朱鷺くんやばかったね。なんかひとりだけ戦◯無双みたいだったもん」


 「戦◯無双は分かりませんけど、朱鷺くんすっごい強いよねね〜…」


 褒められて悪い気はしない。けど、そんな表情されながら褒められたって、嬉しいわけない。


 表情に、怯えがほんの少し混じっていた。それを僕の人間離れしてきた眼は見逃さなかった。


 やり過ぎた。僕の振るった暴力は、敵を倒す為とは言え、彼らに恐怖を覚えさせるのには十分だったのだろう。

 魔物を殺せる力を持った人間が、魔物よりも恐ろしくなってくる。

 

 今まだほんの少し、頭によぎった程度かも知れない。けれどそれが積み重なれば。

 僕がきっと、恐ろしい怪物に見えてくるだろうね。


 必ず、決別する時が来る。けどそれは今じゃない。


 「そうだ、飯にしましょう!」


 「お、いいねぇ」


 「え、でも良いの?」


 「全然大丈夫ですよ。それに腹が減っては戦はできぬって言うじゃないですか」


 魔石はかなり稼げてる。しかもそれを独占出来てる。えーっと、30個はあるな。

  

 ちょっと贅沢にいくか。サイトのショップで美味しそうなご飯を探す。


 「好きな弁当とかあります?唐揚げとかハンバーグとか」


 「あー…のり弁ある?」


 「ありますね」


 「カレーは流石にない、かな?」

 

 「カレーも、食えます!」


 なんでも売ってんな。ついでに果物も買うか。リンゴと、イチゴにしよう。


 「「いただきまーす」」

 

 ちなみに僕は唐揚げ弁当。白米と唐揚げ、パスタにキャベツの千切りと漬物が入ってる。

 美味い。

 魔石一個するだけあるクオリティだった。デザートの果物も高級品のように甘くて瑞々しかった。

 

 ショップ、サイコー!!


 「「ご馳走さまでした」」


 それからは食後の激しい運動は良くないって事で、30分くらい、喋りながら休憩した。


 その中で、『錬金術師』について詳しく聞いた。

 

 錬金術師は、分類としては鍛治職人と同じ生産系の職業らしい。

 作製出来るのは、『回復薬』、『解毒薬』の2つ。他にもあるけど今は良いだろう。それにしてもまるでファンタジーの魔法の薬だな。

 そして作るのに必要なのはやはり魔石。それも割高で、回復薬1つに魔石2個必要らしい。その分効果は期待できるのだろうか。

 

 「作ってみましょうよ」


 僕がそう提案する。だが、中村さんは心配そうだ。


 「え、でも。失敗するかも知れないし」


 自動作製にすれば、勝手に作ってくれるから多分失敗しないと思うし、してもなんの問題もない事を伝える。


 「あっ。できた」


 出来上がった回復薬は、黄緑色の半透明?有色透明?な液体で、10センチくらいの小さい瓶の中に入っていた。

 魔石2つで何故液体と瓶が出来るのかは本当に謎だけど、それはまぁ置いておこう。

 

 解毒薬の方も同じ大きさの瓶に入っていたが、液体の色は違い、薄い青色で半透明な液体だった。


 どっちの色も、自分から進んで口に入れたくはない色をしている。体に悪そうだもん。


 「なんか、不味そうだね」


 明さんが興味深そうに観察している。もしかして、仕事に関係したりするんだろうか。研究者って雰囲気ではないけど。


 おっと、忘れる所だった。武器だよ武器。


 素手でも意外というか、かなり戦えたけど、やっぱり武器があった方が安心だ。

 なので、どうにかして用意したいが…。うーん、どうすれば良いのか。鍛治職人はいないし。

 

 あ、トレード機能。


 攻略サイトにはトレード機能がある。それと、英雄の中に鍛治職人いればベストだな。 

 普通の鍛治職人よりも英雄が作った方が強そうだしな。

 ちょっと聞いてみよう。

 ……………

 ……………

 

 「あ、明さんと中村さん。ちょっとだけ離れてもらえますか?危ないかもしれないので」


 「え、なになに?どうしたの」


 「危ないって…」


 床に魔石を3つ転がす。そして、トレードを開始する。

 転がした魔石が小さい光を宿し、溶け始める。溶けた魔石がひとつになり、水溜りのようになる。

 

 すると、魔石の液体の水溜りから、()()()()が飛び出る。それを掴み、引き抜く。


 「えぇ!?何それ!どうなってんの!?」

 

 僕も原理は全く分からないけど、使えてるからそれでヨシ!


 引き抜いた武器は、剣。もちろんただの剣じゃない。これは英雄が作製した剣だ。

 武器を作ってくれないかと英雄のトークルームで尋ねたところ、ちょうど鍛治職人の英雄がいたので作ってもらった。魔石5個で。

 ちなみに、手動作製で作ったから世界に一つの剣…らしい。つまりオーダーメイドだ。


 剣の大きさは刀身と(グリップ)を合わせて160センチくらいで、かなり大きい。中村さんと同じくらい。その分重く、体感7、8キロはある。

 こういう両手で持つ武器は、僕のやってたゲームでは、ツヴァイヘンダーやツーハンドソードって呼んでたな。

 刀身の材質は鉄っぽいけど、まぁ魔石製とでも呼べば良いのかな?

 柄も大きいし、革っぽいのが巻いてあって握りやすい。

 あと鞘はない。残念。

 

 「そ、それ。ちゃんと振れる、の?」

 

 あ〜…明さんと中村さんめっちゃビビってる。やっちまったなぁ〜。

 そりゃあ平均的な女の人くらいデカいもんな。デカいって怖いもん。

 

 「結構重いけど、ちゃんと振れますね」


 何の強化もなしだと、片手で振るのは厳しい。両手なら振れる。スキルやアビリティ、魔力で強化すれば丁度いいくらいなんじゃないあな。

 空間の広さ的にどうなのかだけど。特に問題無さそう。壁際とかだと流石に無理だ。

 それと、移動の時は担いだ方が良さそう。

 

 にしても。更に2人との溝が深まってしまった感じがあるね!残念!


 息抜きにステータスちゃんと確認すっか。僕は自分の世界に引きこもるとするよ…。


―――――――――――――――――――――――――

水柳 朱鷺  職業ジョブ:狂戦士  レベル:20(↑4)

              身体状態:普通

              精神状態:普通


生命力:280(↑40)

持久力:240(↑40)

魔力:120(↑20)


筋力:105(↑20)

技量:62(↑12)

敏捷:62(↑12)

耐久力:105(↑20)

精神力:62(↑12)

知力:62(↑12)


――――――――――スキル―――――――――――


狂戦精神 バーサーク 生命力強化 身体能力強化


敏捷強化 耐久力強化 英雄 斧術 剣術 槍術 


格闘術 魔力感知 魔力操作 柔軟 直感new[ ]

――――――――――アビリティ―――――――――


闘争本能 狂身狂霊


―――――――――――――――――――――――――

 

 うんうん。ストレスが消えてくわ。猫の動画見てる時くらい癒されるもん。実質アニマルセラピーだよコレ。

 

 レベルが20になったから新しくスキル獲得できるのと、直感スキルを獲得してるね。

 直感ねぇ。つまり勘でしょ?そんなのもスキルになってるんだな。


 他は特になし。


 早速、スキルを獲得しましょっか。んー…そうだね。

 持久力強化でいいかな。うん、良いね。決定。


 「そろそろ進みましょうか」


 塔の攻略開始から約3時間。

 現在5階まで攻略完了。


 残り、195階。



主人公の見た目は、ダクソのレザーシリーズにツヴァイヘンダーってイメージです

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