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あっは〜ん。お色気担当人魚さん。

やっぱりなろうですし、可愛い女の子出したかったんですよね〜。


 木製人形にぶん殴られて殺して逃げて…もう疲れた…ゴブリンでも虐めようか…それはおかしいな…


 疲れてんのは戦闘の疲労が原因じゃなくて、精神的な疲労かも知れない。

 誰かが自分の後ろにいて、更にその人を守らなきゃいけないのは想像以上に精神的に疲れるンだなって。


 「ふぅ…」


 家を出て2、30分くらい。今は公園の茂みに隠れている。


 目的地のタカシの家は、歩きで行けば1時間くらいだけど、魔物との戦闘にその疲労が重なってもう少しかかりそうだな。


 まずタカシ達が生きてるかどうかも分からないし、助けに行ったところでどうするのかと言う問題もある。それでも、友達に生きていて欲しい、助けたい思いが強い。なんだかんだで、世話になってるし、ついでにレベルも上げたい。


 「朱鷺ホントに大丈夫?すごい痛そうだったけど…今からでも帰らない?」


 「帰らない。てか、レベル上がってないの?」


 母さんは僕の答えを聞いて嫌そうな顔をしたけど、すぐにステータスと呟いてレベルを確認し始めた。


 「あ!上がってる!レベル2だよ!」


 「おめでと。ステータスはどれくらい上がってる?」


 母さんの上昇したステータスは、生命力持久力魔力が5ずつで、父さんと同じ。違うのは知力と精神力が2ずつ上昇している点。

 多分職業(ジョブ)による違いなんだろうな。鍛治師は物理系、魔術師は魔力系みたいな感じか。


 狂戦士も物理系の職業なんだろうけど、僕は魔術関係らしいステータスもかなり上昇してる。

 高くて困るモノでも無いだろうけど、宝の持ち腐れだよな…いや、でもあの英雄特権だかなんだかの時は魔力らしいモノを使ってた気がする。そのおかげで強そうな技が使えたんだろう。


 なら、魔力を使いこなせればもっと…


 「朱鷺?朱鷺?大丈夫?」


 「ああ、ゴメン。ぼーっとしてた」


 先に進もう。今は考えるより行動だ。もちろんテキトー過ぎるのもダメだけど。


 魔物との戦闘は最小限に抑えて行こう。体力と武器の消耗は避けようね、帰りの事も考えておかないとね。


 「そろそろ行こうか」


 周りをよく確認してから茂みから抜け、コソコソと歩き始める。

 基本的に会話は無く、静かに移動する。魔物を見つけたり、道を確認する時だけは口を開く事もある。


 さっそく、通り道に魔物がいる。さっきの忌々しい木製人形だ。こちらに気付いた様子はなく、ボーッと立っている。

 この木製人形はさっきのヤツとは違う木なのか、色が異なっている。コイツはさっきのより黒っぽい木だ。

 魔物にも個体差があるってことだよな。


 「アレ殺るわ。母さんは見張りヨロシク。」


 持っていた槍と斧を交換し、息を整える。さっきのように油断はしない、相手が消えるまで目を離さない。


 発動しているスキルは英雄、アビリティは両方。家を出てから発動し続けている。


 「……」


 出来るだけ近寄る。気付かれないよう息を潜め、足音を殺す。


 10メートル…8、5…気付かれたか!


 十分過ぎるほど近づいた。間合いってことだよ。


 目に映る全てがスローモーションに感じるほど集中力が高まっている。所謂ゾーンに入ったと、自分でも感じる。


 身体のバネ、斧に乗る遠心力、全ての力を活かした完璧な技。


 力み過ぎずほどよく脱力した最高の力加減。


 木製人形を横に両断する。更に、勢いをそのままに斧を縦に振るい、頭から胴を斬り裂く。


 心臓の位置にある核を破壊。


 木製人形は魔石を残して消えていく。


 「気持ちいい…」


 「!?」


 あ、声に出てた。いやでもホントに爽快だわ。こんな綺麗に殺したの初めてだ。とても、愉しいと思った。思ってしまった。


 うーんキモい。頭の狂った奴だと思われてしまう、気をつけよう。


 「先進もう」


 「…うん」


 移動を再開し、タカシの家に一番近いコンビニに着くまでに3回、魔物との戦闘し、そのおかげでレベルが8に上昇した。更に槍術のスキルも獲得出来た。

 それと、獲得した武器系のスキルについて感じたのが、明らかに武器の扱いが上手くなっているという事、身体運び、戦闘判断、それら全ても上手くなった実感がある。

 

 こんなに自分の成長を感じた事は今まで一度もなく、正直、とても怖い。

 僕は、そんなに才能溢れた人間ではないと自分でも分かっている。柔道をしていた時だって、技を覚える速度も並み。何度も失敗して、繰り返し繰り返し練習して強くなった。


 だから、今僕が持っている力は偽りの力だろう。例えそうじゃなくとも、僕はこの力を認めない。何の努力もなく得た力は、いずれ自分を滅ぼす。


 とはいえ、この力がなければここまで来る事もできず、死んでいた事は明白。今は受け入れよう。

 

 けれど必ず、この力を持つに相応しい努力、修練を積まなければならない。


 「ねぇ…なんか…感じない?」


 母さんが顔を青ざめながら聞いてきた。異常事態である事は間違いないが、僕には何も感じられない。

 

 何が違う?性別?年齢?いや、職業(ジョブ)か。


 魔術系と物理系の差。全くわからない謎のエネルギー、魔力。


 思考を巡らせていたその瞬間、生存本能のアビリティが反応し、生命の危機を知らせる。


――Gi、Gi、Giha!


 鼻につく、潮と生臭い匂いが混じった異臭。


 今まで感じたことのない圧倒的な存在感。


 視界に映った、その異形の姿。


――ひ、ヒト、だナ?そ、そウだ。ヤッた!ヤッた!オなか、へってルんだ、オれ。


 「……」


 「…日本語、お上手です、ね…?」


 よし、逃げよう。



――イや、チガッタ。ササゲるンダッた。そウだ、そウだ。ササゲる!ササゲる!


 一言で表すなら、()()だろうか。


 魚を無理やり人形にしたような、生命への冒涜。


 鱗が浮かぶ、気色の悪いほど滑らかで濃い青の肌。


 光の宿らぬ瞳、四本指で水掻きがついている手。


 全てが、この世のものとは思えない。


 

 よし、逃げよう。



 「母さん!逃げるよ!」


 そう呼びかけたのだが、反応がない。いや、出来ないのか!こう言うのをまっちゃんは正気度(SAN値)が削れるって言ってたなあ…!


 コイツの足の速さが分かんないから下手に母さんを抱えて逃げれない。母さんは動けないから逃げれない。もちろん一人で逃げる選択肢はない。


 なら、ここで殺すしかねぇ…!


―――――――――――――――――――――――――《スキル「狂戦精神」「バーサーク」が発動しました》

《スキル「英雄」の■■■■が発動します》

――――――――――――――――――――――――


―――――――――――――――――――――――――《人類が種族「人魚」と初遭遇しました!》

《バッドコミュニケーション!関係が悪化。戦闘が始まります!》

――――――――――――――――――――――――


 「死ね!」



 

はい、全裸の女の子です!ピッチピッチでボインボインですよ!!

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