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僕よ永遠に (別に死んでない)


 リーチが長い。即ち最強。


 槍でゴブリンを貫きながらそう思った。いやマジで。


 とはいえ油断大敵、驕りは死に直結する。ジャパニーズ=ザンシンも忘れず、敵からは目を逸らさない。


 「す、すごいね。うん。さらっと殺すね。でも、慣れすぎじゃない…?」


 「そう?」


 母さんが少し引き気味に言った。


 これは別に僕本来の性格とかじゃ無くて、頭弄られただけだから!きっと、戦闘向きの脳みそになるよう邪神に改造されたんだよ!きっと!


 「あ、追加でもう二体来たよ」


 「またぁ?もう疲れた〜。怖いし臭いしグロいし〜」


 「まあまあ、それよりも魔術で攻撃してみてくんない?」


 母さんは渋々と言った感じで、詠唱?を始める。


 何でも魔術を発動するには詠唱、特定の言葉を唱える必要があるらしく、厨二病を患う少年の様にブツブツと囁く。


 「《水よ溢れろ、流れろ。世界を廻る水よ、敵を撃て》 《射出:水球》」


 母さんの前にバスケットボールくらいの大きさの水球が現れる。無重力の空間に放した水の様にグニャグニャしている訳じゃなく、しっかりと丸い形を保っている。


 「《撃て》」


 ゴブリン目掛けてかなりの速さで飛んでいき、腹の辺りに命中した。


 「ギャッ」


 ゴブリンは吹っ飛んだが、致命傷を与えた様子はない。むくりと立ち上がり、威嚇してきた。


 「…」


 「…終わり?」


 う〜ん、弱い!これが一日10回使えるかどうかでしょ?微妙だなぁ。


 まあ良いや、さっさと殺そう。


 そう言えば槍は突きより上から叩きつける方が多いって聞いたことあるし、やってみるか。


 槍を両手で持ち、遠心力を乗せるイメージで叩きつける!


 「ッはァ!」


 槍は少し撓り、ゴブリンの肩に当たる。良い感触、

骨を砕いた。


 「ギィァァ!?」


 そのままゴブリンを槍で左に強く押し、右に足を払えば簡単にすってんころりんと転ぶ。


 槍の持つ位置を変えて刃と逆の先端にある石突で殴り、殴って母さんの方に蹴り飛ばした。


 「トドメ任した!」


 「え?ムリムリムリ!」


 無視してもう一体を殺しに掛かる。


 「ギィャーン…」


 すぐに襲って来ない、警戒してる、逃走も視野に入れてそうだな。それなりに頭が働くタイプだ。


 けどな、人間様の力を舐めるなよ。


 槍は投げることも出来るんだぜぇ!?


 「ッラァ!」


 槍は真っ直ぐ飛ばなかったし、普通に外した。


 「ギィャハ!」


 攻撃を外したことが随分面白かったらしく笑っている。やっぱりそこまで頭は良くないな。


 一気に距離を詰める。


 「レベル7パンチ!レベル7パンチ!」


 Hit!Hit!全部Hit!ボッコボコだぜ!


 よし、気絶したな。トドメを刺す前に母さんの様子を見る。

 

 大丈夫そうだな。預けておいた斧で斬っている。殺せてはいないけど、出血でその内死ぬだろうし。


 槍を拾って心臓に突き刺した。ゴブリンの体は魔石を残して塵となり消えていった。


 母さんの方のゴブリンも心臓を一突きして殺した。


 返り血や匂いごと消えてくれるのが有り難すぎるんだよな。精神的にも衛生的にも。


 「おかん大丈夫?先進むよ?」


 「…はあ。だからウチの子は彼女の一人も出来ないんだわ…」

 

 別にそれは良いだろ!ほっとけ!


 「はいはい余裕そうですね。魔石拾ってしまっといて下さい」

 

 まだ家を出て10分経ってないけど早速敵に遭ったな。昨日で結構殺したけど、増えてんのかな?


 そう言えば魔物はどうやって数を増やすんだろうな。普通に繁殖するのか、神みたいなヤツに造られてるのか。多分普通に繁殖するんだろうけど、アレ付いてるし。


 まあ良いや。目的地、まっちゃんとタカシの家を目指して頑張ろー!


 「頑張るぞー!えいえいおー!」

 

 「…おー」


 声に反応してゴブリンが二体追加されました。


 ……………………

 

 ……………………


 はい。瞬殺!先進もう!


 「静かに行こう…スニーキングだよ…」


 睨まれたけど気にしない。切り替えが遅いと死ぬんだぜ、この世界はよお。


 ……………………


 ……………………


 特に会話もなく静かに移動していたところで、道の真ん中に初見の魔物を発見。


 アレは…何だろうな…木製の人形?かなり人型だし、僕と同じくらいの身長だけど。


 「アレ、なんだと思う?」


 「人型の木?なのかなぁ?分かんないけど」


 名称不明、能力不明、生態不明つまり正体不明。


 弱点は炎だろうな、めっちゃ燃えそう。だが残念なことに使える魔術は水属性。


 とりあえず戦ってみようか。生存本能さんも別に何も言って来ないし。


 「じゃあ母さんはあの罠っぽい魔術使ってよ」


 「はいはい使いまーす」


 母さんはだるそうに詠唱を始める。


 「《水よ溢れよ、流れよ。世界を沈める水よ、敵を呑め》 《設置:水陥穽》」


 木の魔物の足元に水溜りが発生する。また残念魔術かと、ため息を吐こうとした瞬間。


 「《呑め》」


 評価が裏返る。つよつよ魔術だわコレ。


 木の魔物は膝?の辺りまで水溜りまで嵌っている。

 

 詐欺も良いとこだな。設置とか言っておきながらめちゃくちゃ足元に現れたし、即効性抜群だし。


 このチャンスを逃すわけもなく母さんから斧を受け取り斬りかかる。


 ちょうどよく前に倒れて首がガラ空きなのでそのまま首を刎ねる。


 はい終わり。


 「Ooon!」


 首を刎ねた木の魔物が動き出し、殴られる。


 「チッ!」


 痛ぇ!重い!


 脇腹に直撃した。何も防御出来なかった。油断した。


 けど、動けないほどじゃない!


 「ガァアアッ!」


 斧で右腕、左腕を斬り飛ばす!…まだ動く!


 「っくそが!」


 首のあったところから縦に真っ二つに斬ると、ちょうど人の心臓と同じ位置にナニカがあり、それを断つとようやく動きを止め、塵になって消えた。


 「はぁ…馬鹿やらかした…」


 「朱鷺大丈夫!?」


 「大丈夫だから大きな声を出さない。静かにここから移動する。おっけー?」

  

 母さんは頷いて、魔石を拾いリュックにしまった。


 僕は脇腹をさすりながら移動を始める。大丈夫、骨は折れてない。血も出てない。痣はできてそう。


 深呼吸して息を整える。馬鹿やった。調子乗った。馬鹿、アホ、間抜け。


 次は無い。次のやらかしは母さんも殺す。次は無い。 

 

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