幼い頃
昭和60年。
2月の寒い朝に私は20代の若い夫婦の長女として生を受けました。
普通サイズの、元気な女の子だったそうです。
活発でかなり落ち着きのない子だった、と母は、言っていました。
幼稚園に上がる頃、私にとっては嬉しくあって、嬉しくないことが起きました。
弟が産まれたのです。
家で1番は私だったのに、父と母の興味は私から弟に移っていきました。
だんだん弟が1番に優先されるようになっていきます。
私は『お姉ちゃんなんだから。』の一言で、我慢をさせられるようになりました。
その頃から少しずつ、疎外感を感じていました。
弟ばかり可愛がりはじめた両親が、だんだん嫌いになりだし、癇癪を起こすようになりました。
たった一度だけ、暴れて家のガラスを割ってしまったことがありました。
怒られて、私は間違っていない、と思っても言えませんでした。
次第に居場所がない気がして、不安定になりだしました。
おねしょをしてしまうこともありましたし、お漏らし、なんかも、よく幼稚園でしていました。
その度に叱られていた様な記憶があります。
弟は赤ん坊だったので意地悪をしてやろうとしてたりなんかもしました。
大抵母に見つかって叱られていましたが。
小学校に上がる頃には、母も父も、私をほとんど見ていなかった様な気がします。
その頃には1人でお風呂に入っていましたし、お留守番もできていましたから。
弟ばかりだった両親が気に入らなくて、だんだん祖母に甘えるようになって行きました。
祖母には1度だけ、こんなことを言われました。
「あの人達は子供なんだよ。だから、貴女がしっかり大人になりなさいね。あんな風になったらダメよ。」と。
父も母も、子供なんだ、と子供ながらに学習した私は、なら仕方ないよね、と納得をしたのでした。
そうして、私は小学生になりました。